年頭の事業方針説明会では、通常、インテル代表取締役社長の吉田和正氏がスピーチを行うが、あいにく米国出張で日本を不在にしていたため、今回は同社アシスタント・ジェネラル・マネージャーの宗像義恵氏から、2008年の第4四半期と通年における事業状況と、2009年における事業方針が説明された。
宗像氏が読みあげたワールドワイドにおけるインテルの2008年第4四半期業績は、売上高82億ドル、営業利益15億ドル、純利益2億3400万ドル、1株あたり利益が4セントで、通年では売上高376億ドル、営業利益90億ドル、純利益53億ドル、1株あたり利益が92セントであった。第4四半期の業績は前年同時期と比較して、売上高で23%減、営業利益で49%減、純利益で90%減、1株あたり利益で89%減となっている。
続けて宗像氏は、2009年の投資計画を読みあげ、研究開発には約54億ドル、設備投資は2008年と同等、もしくは微減になるとした。また、2009年第1四半期における売り上げ高の予測に関しては、「不透明な経済情勢により、見通しが困難であるため」予測を行わないと述べた(ただし、70億ドル程度の売り上げを社内目的として設定している)。
宗像氏は、2009年の事業戦略として「PC関連事業の強化」、「インテルアーキテクチャが関与できる事業領域の拡大」、「新規事業の推進」の3つの柱を掲げる。PC関連の強化では、2008年に投入した45ナノメートルプロセスルールの普及を、Core i7をはじめとしてMID(Mobile Internet Device)、Atom、Xeon、Centrino 2といったすべてのプラットフォームで展開し、MIDやNetbook、ノートPC、デスクトップPCでといった幅広いプラットフォームで45ナノプロセスルールを浸透させていくという。
事業領域の拡大では、2008年に投入したAtomが2009年でもNetbookやNettop、MIDといったカテゴリーで新しい活用を創出するとともに、2009年には携帯端末向けでも本格的な開発が行われるだろうという考えを宗像氏は示した。また、先日行われた2009 International CESで展示されたデジタル家電や、市場で高い評価を得ているSSDなども事業領域が拡大していく例として取り上げられている。
新規事業の推進では、2008年から紹介されているデジタルへルス事業への取り組みのほかに、2009年から試験運用が始まるWiMAXに触れ、WiMAXが組み込まれる次世代のモバイルプラットフォームでは新しいPCの利用形態が創出されるだろうとアピールした。
最後に宗像氏は、インテルの“次世代”製造技術に触れ、45ナノプロセスルールとHigh-Kに対応した製造体制は万全であるだけでなく、32ナノプロセスルールに対応した製造技術も完成していて2009年から稼働できることを明らかにした。インテルが進める開発スケジュールを示す言葉に「Tick-Tock」があるが、2009年は32ナノプロセスルールが登場する年に当たる。宗像氏は「Tick-Tockは正確に時を刻んでいる」と、開発が順調に進んでいることを示唆した。
会場では、インテルが取り組んでいる新しいコンピューティングのデモや新製品を採用した製品が多数展示されていたが、なかでも、Linuxを導入したMIDで地図情報を検索するナビゲーションシステムや、2009 International CESでオリオン電機のミーティングブースに展示されていた「19型ワイドの液晶テレビにAtomプラットフォームを組み込んだ」デジタル家電が注目されていた。

MIDのデモでは、Linux(Moblin)を導入した端末を用い、Wi-FiやWiMAXでWebサイトを自動巡回したのち、ローカルで内容をチェックするアプリケーションや、GPSやPlaceEngine(Wi-Fiで位置情報を取得する)と無線LANでアクセスして利用するWebサービスとを組み合わせたナビゲーションサービスが紹介されていた
オリオン電機のブロードバンドテレビ「ROBO」(仮称)は、19型ワイド液晶テレビのボディにAtomを搭載したマザーボードをそのまま組み込んだサンプルが展示されていた。Webブラウザにはクイックサンが開発した「ROBRO」が採用されており、ハイパーリンクに割り付けた3桁の「チャンネル番号」をリモコンで入力するとリンク先にアクセスできる
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