Atom×GeForceの個性派ミニノート――ASUS「N10Jb」を徹底チェックするNetbookを超えたAtomマシン(1/3 ページ)

» 2009年09月04日 17時15分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]
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Eee PCシリーズの枠に収まらないAtom搭載ミニノートとは?

ASUSの「N10Jb」

 ASUSTeK Computer(ASUS)の「N10Jb」は、CPUにIntel Atomを採用しながら外部GPUを搭載したユニークなミニノートPCだ。特殊な仕様の製品からか、Atom搭載ミニノートPCにもかかわらず、ASUSのNetbookラインアップであるEee PCシリーズには含まれていない。

 もっとも、ASUSは2008年からこうした仕様の製品を手がけてきた。N10Jbは2008年12月に発売された「N10Jc」の後継となり、ボディなどの基本設計を継承しつつ、CPU、GPUを強化したモデルだ。

 ラインアップはオフィススイートの有無で2種類あり、価格は通常モデルが5万9800円、Office Personal 2007(2年間ライセンス版)搭載モデルが6万9800円だ。今回は通常モデルを用いて、その実力や使い勝手は一般的なNetbookと比べてどうなのか、じっくりと見ていこう。

上品なイメージにまとめたコンパクトボディ

天板のカラーは光沢感あるシャンパンゴールドだ

 ボディのカラーリングは、シャンパンゴールドとブラックのツートーンで構成され、上品なイメージにまとまっている。天板とパームレスト面が光沢あるシャンパンゴールド、液晶フレームが光沢ブラック、キーボードと側面から底面がマットなブラックだ。天板と液晶フレームの下部にはASUSのロゴがプリントされている。

 ボディのサイズは、276(幅)×198(奥行き)×29〜37(高さ)ミリだ。フットプリントは、A4サイズよりひとまわり小さく、10型クラスの液晶を搭載したNetbookより少し大きい。ASUSの製品で比較するなら、11.6型ワイド液晶を備えた「Eee PC Seashell 1101HA」に近い大きさだ。最厚部も1101HAよりわずかに厚い程度だが、Eee PC Seahellのような大胆な絞り込みはされていないため、少しずんぐりした印象を受ける。

 重さはバッテリーパック込みで約1.55キロだ。1101HAの約1.38キロよりさらに重く、一般的なNetbookに比べると、手に持った時にずっしりとした感覚がある。こうしたボディサイズは外部GPUを装備した影響によるもので、チップセット内蔵グラフィックス機能のみのミニノートPCより少し大きく重くなってしまうのは仕方がない。

 背面に少し張り出したリチウムイオンバッテリーパックは53ワットアワー(11.1ボルト 4800mAh)で、公称の駆動時間は約6.41時間とされている。ACアダプタはEee PCシリーズより少し大きく、実測でサイズが44(幅)×100(奥行き)×26(高さ)ミリ、重量が約255グラムだったが、モバイルノートPCとしては比較的コンパクトだ。そのほか、ASUSのノートPCではおなじみの専用キャリングケースも付属する。

背面側にリチウムイオンバッテリーを配置(写真=左)。ACアダプタはEee PCのものよりは少し大きいものの、それでも小型軽量といえる。付属のナイロン製キャリングケースはハンドル付きで、内部に仕切りが設けられているなど、標準添付のものとしては使い勝手がいい(写真=中央、右)

NVIDIA GeForce G105Mを搭載、Intel GMA 950との切り替えが可能

 CPUにはAtom N280(1.66GHz)、チップセットにはIntel 945GSE Expressを用いる。先代のN10Jcが搭載するAtom N270と比べると、FSBが533MHzから667MHzに、動作クロックが1600MHzから1666MHzへ向上した。

 メインメモリはPC2-5300 DIMMに対応し、標準で1Gバイトが搭載されている。底面にはSO-DIMMメモリスロットにアクセスできるカバーが用意され、すでに1Gバイトモジュールが装着済みだ。データストレージはSerial ATA対応の2.5インチHDD(回転速度5400rpm)を採用し、容量は160Gバイトを備える。光学ドライブは内蔵しない。

CPU-Z 1.52.1のCPU情報表示画面(写真=左)。「コンピュータの管理」にある「ディスクの管理」画面(写真=中央)。HDDは160Gバイト(OS上では149.05Gバイト)のうち、6.83Gバイトがリカバリ領域として使われている。残りは、85.34Gバイトのシステム領域と56.88Gバイトのデータ領域に分割されている。底面のネジ止めされたカバーを外すだけで、メモリスロットとHDDにアクセスできる仕組みだ(写真=右)

 この辺りのスペックは一般的なNetbookと変わらないが、N10Jbは外部GPUとしてNVIDIAのGeForce G105M(グラフィックスメモリGDDR2 SDRAM 512Mバイト)を別途搭載することで、チップセットのIntel 945GSE Expressが内蔵するグラフィックスコアのIntel GMA 950と切り替えて使うことができる。これこそがN10Jbにおける最大の特徴だ。

 グラフィックス機能の切り替えにはシステムの再起動が必要になるものの、パフォーマンスが欲しいときにはGeForce G105Mの「Performance」モード、バッテリー駆動時間優先で消費電力を抑えたいときにはGMA 950の「PowerSaving」モードというような使い分けが可能だ。なお、グラフィックス機能の切り替えに使うスイッチは、ボディの左側面中央に用意されている。

 GeForce G105Mは、GMA 950よりも高い描画性能を備えるだけでなく、MPEG-4 AVC/H.264やVC-1のハードウェアデコードを含むHD動画の再生支援機能である「PureVideo HD」、GPGPU技術の「CUDA」にも対応しており、対応ソフトではGPUによるアクセラレート機能を使える。

 もっとも、外部GPUとしてはローエンドモデルでストリーミングプロセッサの数も8基と少ない。IONプラットフォームに使われるGeForce 9400M Gチップセットでも16基のストリーミングプロセッサを内蔵していることを考えると、アクセラレート機能はおまけ程度に考えておいたほうがいいだろう。

CPU-Z 1.52.1のGPU情報表示画面を見ると、当然ながらGeForce G105M利用時(写真=左)と、Intel 945GSE Express内蔵のGMA 950利用時(写真=中央)で、表示内容が変わる。左側面の中央部にあるグラフィックス機能の切り替えスイッチを操作すると、このようなメッセージが表示される(写真=右)。切り替えは再起動後に有効になる

デバイスマネージャの情報表示画面(Performanceモード時)

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