11.6型WXGA液晶×10.7時間駆動で魅せる貝殻ノート――「Eee PC 1101HA」を駆る元祖Netbookに新展開(1/3 ページ)

» 2009年08月11日 11時15分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

エレガントな貝殻ボディに実用重視の“具”が詰まった「1101HA」

「Eee PC Seashell」シリーズの「Eee PC 1101HA」

 ASUSTeK Computer(ASUS)の「Eee PC Seashell」シリーズは、貝殻風デザインのボディを特徴とした新型Netbookだ。2009年6月に台北で開催されたCOMPUTEX TAIPEI 2009にてリリースされ、日本では同年6月26日に製品発表が行われた

 現在日本で発売されているEee PC Seashellシリーズは2モデルあり、Atom N280(1.66GHz)と10.1型ワイド液晶ディスプレイを搭載した下位モデル「Eee PC 1008HA」については既にレビュー記事を掲載している。今回は、Atom Z520(1.33GHz)と11.6型ワイド液晶ディスプレイを備えた上位モデル「Eee PC 1101HA」を取り上げよう。


パールホワイトのボディは余計な装飾がなく、シンプルな仕上がり。天板に「Eee」ロゴではなく、「ASUS」ロゴがあしらわれているのは、Eee PCシリーズにしては珍しい

 11.6型ワイド液晶ディスプレイを搭載するボディは、1008HAより一回り大きい。フットプリントはジャストA4よりも少し小さい程度で、具体的なサイズは286(幅)×196(奥行き)×21.8〜36.2(高さ)ミリだ。重量は、画面サイズが通常のNetbook(8.9型〜10.2型)に比べて少し大きな点と、6セルタイプの容量に余裕があるバッテリー(11.25ボルト 5600mAh)を採用しているぶん重く、約1.38キロとなっている。

 貝殻をモチーフにしたというEee PC Seashellシリーズ独特の曲面で構成されたボディは1101HAでも健在だ。ただ、大きさのせいもあるのか、1008HAに比べてボディ端の絞り込みは控えめな印象で、見た目のエレガントさでは1008HAが勝る。

 ボディカラーはパールホワイトとクリスタルブラックの2色が用意されている。いずれも表面は美しい光沢処理が施されているが、1008HAとは異なり、側面や底面の表面仕上げは光沢ではなくザラリとしたマットな仕上げだ。また、1008HAは側面の端子がカバー内に収められているが、1101HAではカバーが省略されている。この辺りは好みが分かれるところだろうが、1008HAのほうがデザイン的な一体感があり、より忠実に「貝殻」のイメージを体現している。

 その一方、1008HAではバッテリーパックが着脱できなかったり、端子類がカバー内の奥まった位置にあってアクセスしづらかったりといったマイナス面もあったが、1101HAはバッテリーパックが着脱可能で、端子類にも比較的アクセスしやすい。底面にはSO-DIMMのメモリスロット1基にアクセスするカバーも設けられている。

 一見、似たような貝殻デザインながらも、より見た目にこだわっている1008HAに対し、1101HAには実用性重視の方向性が伺える。なお、ほかのEee PCシリーズと同様、ACアダプタは小型軽量であり、携帯性に文句はない。

上が1101HA、下が1008HAの側面(写真=左)。1101HAにはカバーがなく、端子がむき出しになっているため、アクセスしやすい半面、未使用時の美しさや防じん性では1008HAが上回る。底面のバッテリーは着脱可能で、メモリスロットにアクセスするためのカバーも用意されている(写真=中央)。付属のACアダプタは1008HAと同様に小型軽量で、突起部を含めない実測でのサイズは35(幅)×85(奥行き)×26(高さ)ミリ、電源ケーブル込みの重量が約215グラムだった(写真=右)

Eee PCシリーズでありながら、Atom Z系システムを採用

CPU-Z 1.52の情報表示画面。ほかのEee PCとは違って、1.33GHzで駆動するAtom Z520を搭載する

 基本スペックは冒頭で述べた通り、CPUにAtom Z520(1.33GHz)、チップセットにIntel System Controller Hub(SCH) US15W(グラフィックスコアのIntel GMA 500を内蔵)を搭載する。これまでEee PCシリーズは、初期のCeleron M搭載機を除き、Atom N系のCPUとIntel 945GSE Express(グラフィックスコアのIntel GMA 950を内蔵)チップセットを組み合わせたNetbookのスタンダードな構成を採用してきたが、ここへ来てAtom Z系CPUを搭載してきたのは興味深い。

 Atom Z+US15Wの構成は、Atom N+945GSEの構成に比べて、性能面では不利だが、省電力の面で優位に立つ。また、ULCPCライセンスの枠組みなどに捕われず、仕様の選択肢が幅広いという側面もある。1101HAはAtom Z+US15Wを選ぶことで、パフォーマンスにおいて多少の犠牲を払う代わりに、Eee PCシリーズ最大の画面サイズと画面解像度、そして長時間のバッテリー駆動を実現している(パフォーマンスやバッテリー駆動時間のテスト結果は後述)。プリインストールOSはWindows XP Home Edition(SP3)だ。

 メインメモリはPC2-4200(DDR2-533)に対応し、容量1Gバイトを搭載する。公式には1Gバイトがメモリの最大容量だが、試しに1Gバイトのモジュールを取り外して2Gバイトのモジュールを装着してみたところ、BIOS/Windowsともに正しく認識されて利用でき、数時間の試用中では不具合が見当たらなかった。メーカーの保証対象外の行為にはなるが、メモリを2Gバイトに増量すること自体は可能なようだ。そもそもAtom Z+US15Wの構成ではメモリがオンボード実装の製品が多い中、底面のカバー内からアクセスできるSO-DIMMメモリスロットがあるのはうれしい。

 ちなみに、ほかのEee PCシリーズと同様、1101HAもBIOSでの初期化作業をスキップすることで起動時間を短縮する「BootBooster」を搭載しており、標準で有効になっている。メモリ交換後にはBootBoosterの情報を更新するため、一度起動した直後にF2キーを押してBIOSに入る必要がある。

HDDへのアクセスには分解が必要

「ディスクの管理」画面。HDDのユーザー領域は約83Gバイト(Cドライブ)、約61Gバイト(Dドライブ)の領域に分割されている。そのほか、リカバリ領域に4.89Gバイト、BootBooster用に47Mバイトの領域が確保されている

 データストレージは2.5インチSerial ATA HDD(回転速度5400rpm)を採用し、容量は160Gバイトを確保する。また、Eee PCシリーズではすっかりおなじみとなった無料オンラインストレージ(Eee Storage)の利用権も10Gバイトが付属する。光学ドライブは内蔵しない。

 Netbookでは底面のカバーを開くだけでHDDにアクセスできるものも少なくないが、1101HAの場合は少しやっかいだ。HDDの換装はメーカー保証対象外の行為になるが、一応HDDへのアクセス方法もチェックしておこう。

 ツメで固定されたキーボードユニットをはがし、その下にあるネジとボディ底面のネジを一通り外すと、トップカバーが分離できる。キーボードを取り外すと、1本のネジの上に「はがすと保証が無効になる」ことが記載されたシールがあるが、分解を進めるにはシールの下にあるネジも外さなくてはならない。トップカバーを開くと、ようやく9.5ミリ厚の2.5インチSerial ATA HDDが現れる。後は、HDDの上をまたぐフレキシブルケーブルを注意深く外せば、HDDにアクセスすることが可能だ。

注意

製品を分解/改造すると、メーカー保証は受けられなくなります。内部で使用されている部品などは編集部が使用した製品のものであり、すべての個体にあてはまるものではありません。



ツメで固定されたキーボードユニットを取り外したところ(写真=左)。取り外したキーボードユニット(写真=中央/右)。ネジやシールはなく、ツメだけで固定されていた

トップカバーを外した様子(写真=左)。CPUとチップセットの表面にはヒートシンクが装着されておらず、トップカバー全体を使って放熱し、その隣にあるファンで放熱する仕組みだ。取り外したトップカバーの裏側(写真=右)

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