各種ベンチマークテストは、Performanceモード(GeForce G105M)とPower Savingモード(GMA 950)の両方で行った。省電力機能のPower 4 Gearは、いずれも「High Performance」に設定している。参考までにPCMark05のテスト結果は、Atom N280+GMA 950搭載のNetbook「Eee PC Seashell 1008HA」と、Core 2 Solo SU3500(1.4GHz)+Intel GMA 4500MHD搭載のCULVノート「U20A」も併記した。
PCMark05の結果を見てみると、違いはほぼGraphicsのスコアのみだが、Power Savingモードでは、同じAtom N280+GMA 950の組み合わせ1008HAよりもグラフィック関連のスコアがかなり低くなった。3DMark06でも同じ傾向だが、FF XIベンチだけはNetbook並みとなった。いずれにしても、Power Savingモードはゲームが楽しめるようなグラフィックス性能ではない。
PerformanceモードにおけるPCMark05のGraphicsテストとFF XIベンチのスコアは、GMA 950搭載のNetbookを大きく上回るのは当然として、Intel GMA 4500MHD搭載のU20Aにも大差をつけた。かといって、Performanceモードでもゲームに十分使えるかどうかは微妙なところで、ライトなオンラインゲームなら少し快適になる程度という印象だ。そのオンラインゲームにしても1024×768ドットを基準にしているものが多く、GeForce G105Mを搭載しているから多様なゲームに対応できるとまではいえない。ただし、GeForce G105Mのおかげで、外部ディスプレイをつないだ際には、より高解像度の環境で使いやすいのは確かだ。
バッテリー駆動時間のテストは、BBench1.01(海人氏・作)で行った。グラフィックス機能のモードはPower Savingモード(GMA 950)、Power 4 Gearの設定はディスプレイ輝度設定を53%に変更して測定した。BBenchの設定は「120秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」「20秒間隔でのキーストローク」で行なっている。
結果は225分(3時間45分)だった。Eee PCシリーズと比べると少々物足りない印象だが、モバイルノートPCとしての実用的な水準はクリアしているとはいえる。公称値(6.41時間)とは差があるが、常時接続環境でのテストであり、輝度設定を変更していることなどを考えれば、仕方がないところだろうか。
PCMark05と3DMark06を連続で実行した直後のボディ各部の温度は、下のグラフに示した通りだ。GeForce G105Mを搭載した影響で、昨今のEee PCシリーズよりボディ表面の温度はやや高めだ。GeForce G105M利用時はGMA 950利用時より1〜2度程度高くなる。それでも、ユーザーの手がよく触れるパームレストの温度が抑えられているのは好感が持てる。
騒音に関しては、アイドル時は静かだが、バックグラウンドのタスクやWebブラウザなどの低負荷時でも敏感に反応して冷却ファンが回転する。うるさいというほどではないが、静かなところでは回転したりしなかったりの変化が少々気になる。GeForce G105M利用時は、3DMark06の実行中にさらに回転音が大きくなった。
実売価格はオフィススイートなしで5万9800円だ。通常のNetbookよりも若干高めの価格設定だが、GeForce G105Mを搭載していることを考えれば妥当といえる。さらに、ASUSは2009年9月30日までにN10Jシリーズを購入すると、合計100名にDVDスーパーマルチドライブ、合計400名に3セルバッテリーが抽選で当たるプレゼントキャンペーンを実施中だ。
一方、外部GPUの採用によって、重さや発熱などが少々犠牲になっており、ゲームをしない一般ユーザーにとっては、あまりメリットが感じられないことが多いが、縦解像度600ドットでも遊べるオンラインゲームをさまざまな場所で楽しみたいというユーザーや、ミニノートPCを外部ディスプレイに接続して使うことが多いユーザーにとっては、魅力的な選択肢ではある。
ターゲットが少し狭い印象もあるが、もともとマジョリティを狙った製品でないことは明らかなので、これはこれでいい。ただでさえ、ASUSは豊富なAtom搭載ミニノートPCのラインアップをそろえているので、低予算でも目的に応じてさまざまなモデルが選べる。そのうちの1つに、こういった一部ユーザーの支持を集めるような選択肢も用意されていることは歓迎すべきだ。
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