「LaVie M」でデュアルコアな“CULV”Celeronの実力をチェックするCULVノートPCに肉薄!!(1/3 ページ)

» 2009年10月16日 12時12分 公開
[長浜和也,ITmedia]

国内メーカーでも始動したCULVノートPC

 LaVie Mは、NECがLaVieシリーズで始めて投入するCULV(コンシューマー向け超低電圧)版CPUを搭載したノートPCだ(インテル的なカテゴリーは“モバイル・サブノート PC”であるが、この記事では、多くのユーザーに認識されている“CULVノートPC”と呼ぶことにする)。すでに、ASUSやMSI、Acerなどの台湾ベンダー製CULVノートPCが日本で流通していたが、2009年の秋冬モデルから日本のPCメーカーも本格的に製品をリリースし始めている。

 今回登場したLaVie Mは、上位モデルの「LM350/VG6」と下位モデルの「LM330/VH6」の2機種で、それぞれに、カラーバリエーションとして「グロスレッド」(型番末尾がR)、「グロスホワイト」(型番末尾がW)、「グロスブラック」(型番末尾がB)を用意する。この記事では、LM350/VG6RでLaVie Mの使い勝手とパフォーマンスを検証していくが、評価用の試作機を用いているので、外観やボディの色調、そして、ベンチマークテストで測定した結果などが製品版と異なる場合がある。その点、ご了承いただきたい。

 LM350/VG6とLM330/VH6の違いは、メモリ容量(LM350/VG6は4Gバイト、LM330/VH6は2Gバイト)と、標準で搭載するバッテリーの種類(LM350/VG6は容量78ワットアワーのバッテリーL、LM330/VH6は容量39ワットアワーのバッテリーM)のみで、プラットフォーム構成は共通する。ちなみに、実売価格はLM350/VG6が12万5000円前後、LM330/VH6が9万5000円前後だ。

 搭載するCPUは、デュアルコアのCULV版Celeron SU2300だ。動作クロック1.2GHzで、45ナノメートルプロセスルールを採用する。CULV版のモバイル向けCPUというと、先行して2009年前半に登場したCore 2 Solo SU3500や同SU3300が主流だが(TDPが10ワットクラスのCPUまで含めると、Core 2 Duo SU9000番台もCULV版CPUと呼べるかもしれない)、Celeron SU2300の登場でCULV版もデュアルコア時代に突入することになる(近々、Core 2 DuoシリーズでもCULV版がSU7000番台とSU4000番台が登場するといわれている)。

 Celeron SU2300と動作クロックが同じCore 2 Solo SU3300の仕様を比べると、プロセスルールや構成トランジスタの数(4億1000万個)、ダイサイズは同じだが、デュアルコアだけあって、TDPがCore 2 Solo SU3000番台の5.5ワットから10ワットに増えた(このあたりの事情は、これから登場するCULV版Core 2 Duoも同様と思われる)。また、Celeronであるがゆえに、2次キャッシュメモリの容量がCore 2 Solo SU3300の3Mバイトから1Mバイトへと減らされている。

 CPUに実装された機能でも違いがある。バッテリー駆動時間に影響を与える拡張版Intel Speedstep Technologyや、ビジネスユースやWindows 7のXPモードで効果を発揮するIntel Virtualization Technologyはサポートするものの、ハイパースレディング・テクノロジーは利用できない。(記事掲載時、実装された機能の記述で誤りがありました。おわびして訂正いたします)

光沢のあるUV塗装仕上げを採用したLaVie Mのボディ(写真=左)。評価機は「グロスレッド」だが、ほかに、「グロスブラック」「グロスホワイト」が用意される(写真=右)

A4ノートの使いやすさを実現する液晶ディスプレイとキーボード

 NECが示したLaVie Mのコンセプトに「A4ノートの使いやすさとモバイルの可搬性を両立」とある。A4ノートの使いやすさを実現するために、LaVie Mは13.3型ワイド液晶ディスプレイを搭載し、1366×768ドットの解像度を表示する。キーボードも19ミリピッチを確保して打ちやすくしてある。

 ちなみに、NECの資料によるとキーストローク長は3ミリで、キーサイズは、通常キーの縦幅が実測で約18ミリ、スペースバーの横幅が約51.2ミリ、エンタキーは、横幅が約33〜37ミリ、縦幅が約37ミリとなっていた。また、パームレストの縦幅は約61ミリで、タッチバッドのサイズは約65(横)×39(縦)ミリだった。

 画面の視認性やキーボードサイズは、A4ノートとほぼ同じスペックのLaVie Mだが、本体サイズは330(幅)×220(奥行き)×27.0〜30.5(厚さ)ミリと、ASUSの「U20A」よりやや大きく、MSIの「X340 Super」とほぼ同じフットプリントだ。ただ、厚さはLaVie Mが上回る。ボディの容積でLaVie Mはやや大きめだが、X340 Superで不評だったキーボードの原因の1つが、極限まで本体を薄くしたためとも言われているので、最薄部27ミリというLaVie Mのサイズはバランスが取れているといえる。

 また、U20Aは12.1型ワイド液晶ディスプレイを搭載して解像度1280×800ドット表示だが、LaVie MとX340 Superは13.3型ワイド液晶ディスプレイで1366×768ドットを表示できることも考慮しなければならない。「A4ノートと同じ使い勝手」を重視するならLaVie Mはベストのバランスだろう。

液晶ディスプレイは13.3型ワイドで解像度1366×768ドット(写真=左)。キーボードはほぼ均等ピッチを確保する。実測でピッチ幅が約19ミリ、キートップ幅は約18.5ミリ。ポインティングデバイスはタッチパッドで、クリックボタンは左右一体のバー形状だが、左右のクリックは特に問題なく認識された(写真=右)

HDMIにBluetoothと十分なインタフェースを搭載

 本体の重さは、LM350/VG6で1.77キロ、バッテリーが軽いLM330/VH6でも1.59キロになる。こちらは、X340 Superより重くU20Aとほぼ同じ値だ。バッテリー駆動時間と重さの兼ね合いを考えると、X340 Superが公称値で約3.5時間、U20Aが約8.3時間であるのに対して、TDPが増えたCeleron SU2300を搭載しながらバッテリー容量を増やして(その分、バッテリーは重くなる)約8.5時間の駆動時間を実現したLaVie Mのトータルバランスは優れている。

 本体に搭載されたインタフェースは、SDメモリーカードリーダーに3基のUSB 2.0、アナログRGB出力、ギガビット対応の有線LAN、そしてHDMIと、ビジネスユース、ホームユースで特に不満を感じることはない。無線接続もIEEE802.11b/gに加えて、Bluetooth Ver.2.1+EDR(Class 2)を利用できる。

 本体にHDMIを備えながら光学ドライブは内蔵しない。確かに、X340 Superも光学ドライブを搭載していなかったが、LaVie MよりフットプリントがコンパクトなU20Aは2スピンドルだ。ホームユースでHDMIを使う用途として考えられるのは、PCで再生するDVD-Video、もしくは、Blu-ray Discに収録されたHDコンテンツを大画面テレビで再生するシーンのはず。HDMIを搭載するなら光学ドライブの内蔵も考えて欲しいところだ。

前面左寄りにヘッドフォンとマイク端子、SDメモリーカードリーダー(SDHC対応)を備える(写真=左)。背面のほぼすべてをバッテリーが占めている(写真=右)

左側面にはアナログRGB出力、HDMI、USB 2.0を搭載し(写真=左)、右側面には2基のUSB 2.0、有線LAN(1000BASE-T対応)を備える(写真=右)。USB 2.0が左右側面に用意されるなど使い勝手は良好だ。なお、撮影した機材は評価用試作機なので、製品版とは異なる部分がある

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