Windows 7が世界で同時に発売された。中国でもUltimate(中国語で「旗艦版」)からHome Premium(同「家庭高級版」)、そして、日本では扱わないHome Basic(同「家庭普通版」)が店頭に並んだ。Home Basicの価格はAmazon中国で399元、日本円にして4000円強と非常に安価ではあるが、中国ではいつものように“海賊版”が出回った。
北京、上海、香港、深センと、Windows 7のリリース直後から中国各地を街を巡り、Windows 7がどれほど流通しているか調査したが、その多くの大都市にある電脳街でWindows 7の海賊版が早くも販売されていた。北京、上海、香港といった外国人が多く訪れる国際都市の電脳街で海賊版の販売現場を見ることは、ほとんどないが、繁華街から離れた住宅地、特に大学周辺では屋台などでゲリラ的に販売している。今回も、そうした屋台の1つでWindows 7の海賊版を確認した。
中国で流通するWindows 7の海賊版パッケージは、各都市各地域ごとに異なる。それこそ、訪ねた都市の数だけWindows 7の海賊版パッケージがそろう可能性だってある。ただ、パッケージの姿は変われど、中身は総じてRTM版だ。ただ、Windows 95のときに出現した「Windows 97」や、Windows Vistaのときに出現した「Windows Vista“Professional 2007”」などの、想像の斜め上を突き抜けるエディションがついたパッケージは、今回の調査では(残念ながら?)見つからなかった(Windows Vistaが登場したときに確認された、怪しい海賊版パッケージは中国で見つけたWindows Vista“Professional 2007”ってなに?を参照のこと)。
一方で、正規版のWindows 7は、電脳街にある“数少ない”正規版ソフトショップでもほとんどの店が扱っていなかった。ラオックスを買収した蘇寧電器は「Windows 7を発売する!」と大々的に宣言していたが、北京、上海、深セン、そして、内陸奥地のそれぞれにある蘇寧電器の各店舗でも「メイヨー」(没有)と返されてしまった。「正規版を発売する!」と言いながら、実物の入手がほぼ不可能な蘇寧電器の態度は、Windows Vistaのときと変わらない。
このように、店頭でまったく姿を見せない正規版のWindows 7だが、Windows XPやWindows Vistaを売っている店は、意外と数多くあったりする。PCメーカーも、Windows 7導入モデルの投入には消極的で、Windows VistaモデルやDOSモデル(!)を販売し続けている。Windows 7搭載モデルは非常に数が少ない。PCメーカーによっては、「Windows 7のプリインストールPCはリリースするのか?」というIT系メディアの質問に「製品の価格は上がらないので心配ない」という、日本人には的外れな、中国人には的確な回答をしている。そんなわけで、日本で見られるような「Windows 7によるPC特需」は中国では起こりそうもない。
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