VAIO秋冬モデル“もう1つの目玉機種”――新生「VAIO L」を攻略する(後編)Windows 7世代の最強テレパソか!?(3/4 ページ)

» 2009年12月17日 11時15分 公開
[都築航一(撮影:矢野渉),ITmedia]

推薦技術の弱点は「解析に要する膨大なリソース」

 推薦技術を利用したアプリケーションはVAIO Lの機能面における最大の特徴だが、レビュー前編で取り上げた通り、これらの魅力を存分に味わうには、事前にコンテンツの解析を行なわなければならず、注意が必要だ。

 解析作業そのものは「VAIOコンテンツ解析マネージャ」と呼ばれるユーティリティソフトによって、バックグラウンドで自動的に行なわれるので、ユーザーが操作しなければならない作業はほとんどないものの、解析に要するリソースは決して小さくない。おまけに、初期設定の状態では、Windows Mediaを利用した家庭内ネットワークでのメディアサーバ機能もオンになっており、この準備にもリソースが消費される。

 解析マネージャでは、解析の優先度を高、低、おすすめの3段階に設定できるのだが、外部ストレージなどから大量のコンテンツをVAIOにコピーした直後で、しかもテレビ番組をガンガン録画しているといった場合、優先度を「高」にしていると、CPU使用率はほぼ数日間、100%のまま張り付いてしまって何もできなくなる(テレビ番組の録画中は解析マネージャが自動的に一時停止状態になるので、録画自体はきちんと行なわれる)。

 テレビ番組もデジタルコンテンツも、大量であればあるほど推薦技術の恩恵も深く感じられるだけに、解析が完了するまではじっと我慢するしかないというのがVAIO Lの抱える課題といえる。

 今回はCore 2 Duo E7500(2.93GHz/2次キャッシュ3Mバイト)を搭載した標準仕様モデルの「VPCL119FJ/S」で試したわけだが、コンテンツを大量に取り込みたい場合、ソニースタイル直販のVAIOオーナーメードモデルに用意されている高クロックのCore 2 DuoやCore 2 Quadを選んだほうが満足できるはずだ。

 ただし、利用法を工夫することで、不満を感じないでコンテンツを楽しむことは十分に可能だ。夜中など未使用時に解析作業を行なわせるつもりなら、ディスプレイの電源だけをオフにするボタンが天面にあるので、これを押して放置しておくのもいいだろう。

 また、デジタルカメラやビデオカメラで撮影したデータは、すぐにでもVAIO Lに取り込んで解析を始めたほうがいいし、その一方では視聴もしたいと思う。そんなときは、最近のデジタル一眼レフカメラやHDビデオカメラでは当然のように付いているHDMI端子と、VAIO Lの映像入力端子および外部ディスプレイ機能を活用するといい。

 まずはVAIO Lに撮影済みデータをすべてコピーする。自動解析が始まったら、VAIO Lの入力切り替えボタンを押して、PCから液晶ディスプレイを切り離し、画面表示を映像入力端子に変更する。そしてHDMIケーブルでカメラとVAIO Lを直結して液晶ディスプレイにコンテンツを映せば、コンテンツ解析によるCPU負荷がどれだけあっても、撮影した動画や静止画を大画面で快適に楽しめるというわけだ。

 VAIO LのHDMI入力端子と外部ディスプレイ機能は、プレイステーション 3などのゲーム機などで使えることが訴求されているが、「カメラで撮影してきたら、すぐに大画面で見たい」というニーズにもマッチするだろう。

天面の電源ボタンの隣には、ディスプレイオン/オフ切り替えボタンがある(写真=左)。HDMIとコンポジットビデオの入力端子は背面に配置されている(写真=中央)。右側面の入力切り替えボタンを押すと、VAIO LのHDMI/コンポジットビデオ入力につないだ機器の映像と音声を24型フルHD液晶ディスプレイに出力できる(写真=右)

そのほかの付属アプリとタッチパネルの使い勝手は?

 VAIO Lでは、今回初めての搭載になったアプリケーションがほかにもいくつか存在するが、やはりマルチタッチ対応の強みを生かしたものが面白い。

 画面上方に表示されるアプリケーションランチャーの「VAIO Gate」は、Mac OS XのDockを思わせるデザインと動きではあるものの、タッチ操作で触ってみると、独特のアニメーションがクセになる。

 Webカメラの「MOTION EYE」を使って静止画や動画を撮影し、それにタッチ操作による手書きの文字や絵を書き込んで、ビデオメッセージとしてメールに添付したり、家族間のメッセージボードとして活用できる「WebCam Message Board」もなかなか楽しい。

ランチャーの「VAIO Gate」は、ふだんは画面上部に隠れているが、マウスポインターを近づけるなどの操作で現れる(写真=左)。タッチ機能にも対応しており、選択中のアイコンが拡大表示されるので扱いやすい(写真=右)。もちろん、マウスでの操作も快適に行なえる

「WebCam Message Board」は液晶ディスプレイ上部のWebカメラ「MOTION EYE」を使って静止画や動画のメッセージをメールに添付するためのソフト。タッチ機能に対応しており、画面内にメッセージを書き込むのも簡単だ。動画として保存すれば、書き込んだメッセージやイラストの描いた軌跡を動画で再現できる

Windows 7標準の2本指までのマルチタッチ機能「Windowsタッチ」もサポートしており、Windows 7標準のタッチ対応地球儀ソフト「Surface Globe」なども備えている

 タッチ操作対応の液晶一体型PCは他社が先行しており、やはりVAIO Lでも同じようなアプローチがなされているので、特に目新しいものではないが、Windows 7標準のマルチタッチ機能「Windowsタッチ」も加味され、VAIO自体の使い勝手が上がっていることは間違いない。

 マルチタッチの操作感については、筆者が自宅で試した限りでは誤作動もなく、1本指による基本的な操作は簡単に行なえた。「フリック」(指を画面上に当てて払う動作)によってコピーや張り付けの操作を行うには多少のコツが必要と感じたが、これはVAIO Lに限らず、Windowsタッチの問題と思われる。

 ただし、どうしても光沢パネルを指で触れたりなぞったりする以上、指紋の付着が避けられないのは気になった。特にタッチ操作をいろいろとした後にテレビ番組を視聴すると、指紋が目立ってしまって画面に集中できないことが結構あるのだ。製品にはクリーニングクロスが添付されているが、出番は多いかもしれない。

 ちなみに前編でも触れたが、VAIO Lは液晶フレームの左右上端に内蔵した2つの光学式センサーで指の動きを読み取る仕組みだ。そのため、画面に指を押し付ける必要はなく、軽く触れたり、画面から指がわずかに浮いていてもタッチ操作が行える。画面に指紋が付着するのが気になるなら、指があまり触れないように操作することもできなくはない(操作の難度は上がるが)。

 そのほかにも付属ソフトは充実している。定番オフィススイートの「Office Personal 2007」、フォトレタッチソフトの「Photoshop Elements 7」、動画編集ソフトの「Premiere Elements 7」といったソニー製以外の人気ソフトがプリインストールされており、汎用のオールインワンPCとしての実力も十分だ。

Sony Style(ソニースタイル)


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