ソースネクストは3月1日、2009年の事業報告および2010年の事業戦略を説明する報道関係者向け説明会を実施した。説明会に登壇した代表取締役社長の松田憲幸氏は、「次の常識をつくる」ことを意味する“ソースネクスト”の社名のもと、これまで同社が行ってきた取り組みを振り返り、ゲーム感覚でタイピングを習得できる「特打」シリーズ(1997年)をはじめ、1980円でソフトウェアを提供する低価格戦略(2003年)や、更新料のかからないセキュリティソフトウェア「ウイルスセキュリティZERO」(2006年)などを紹介した。また、同社の好調な業績をけん引している直近のタイトルとして、2009年6月に発売した「超字幕」シリーズを挙げた。
超字幕シリーズは、ハリウッド映画を教材に“生きた英語”を学べるPC用学習ソフト。パラマウント、ワーナー、ディスカバリーとの提携により、約7カ月でシリーズ全150タイトルを発売、これまでに約30万本を販売している。同シリーズは、発売後も辞書のアップデートや、スピード調節機能の実装、ライブラリ機能の追加といったバージョンアップを無料で行っており、ユーザーの声を反映した機能追加が支持されている理由ではないかと松田氏は分析する。同氏は「超字幕シリーズの発売前(2009年1月〜6月)と発売後(2009年7月〜12月)を比較すると、市場規模そのものも約2倍に拡大している」と好調ぶりをアピールした。
ソースネクストは、1997年の創業からこれまで、実に3000万本以上のソフトウェアを出荷し、現在の製品ラインアップは全297タイトル(2009年12月時点)をそろえる。松田氏はこれまでの取り組みを振り返り「2009年のソフトウェア販売本数シェアは21.2%と20%を超えるシェアを獲得し、7年連続で1位を達成した」と順調なビジネスを強調した。
一方、今後の事業戦略を説明する第2部では、昨今のNetbookの台頭やiPhoneをはじめとするスマートフォンユーザーの増加について触れ、ITを取り巻く利用環境が多様化している現状を受けて、PCソフトの枠組みを超えたサービスの提供を行っていく方針を明らかにした。これに伴い、これまでのスローガンである「みんなわくわくパソコンソフト」を「ソフトでわくわく」に改める。
具体的な施策は大きく2つ。まず1つはiPhoneアプリ事業への参入だ。第1弾ではPC用の「超字幕」シリーズと連携する「超字幕どこでも単語」を提供する。超字幕シリーズの単語登録機能を使って、気になる単語をiPhone側に転送し、発音を聞いたり、複数の映画タイトルの単語を串刺しで閲覧するなど、持ち運べる“単語帳”として使えるのが特徴。また、「映画で学ぶ!ネイティブ厳選表現100」を収録しており、iPhoneアプリ単体でも利用できる。価格は無料で4月中旬に配布される予定だ。なお、今後のラインアップとして、携快電話や筆王、特打、驚速など、同社の主要ブランドを中心に30タイトルを提供していくとしている。
そしてもう1つが、PCサポートのパッケージ製品「パソコン何でも相談サービス ほっ!」の発売だ。これはソースネクスト製品だけでなく、他社製ソフトウェアやPC本体、周辺機器なども含む広範囲のサポートを提供し、3年間のサポート期間中は1年365日、9時から24時まで何度でも電話やメールなどでPC回りのトラブルについて相談できるというもの。複数の製品にまたがるトラブルの場合、製品ごとに問い合わせ先が違うため“たらい回し”にされやすいといった問題があるが、「ほっ!」では問題の切り分けを意識する必要がなくワンストップでサポートを受けられるというメリットがある。価格は4980円で、4月2日に10万本限定で発売される。また、ウイルスセキュリティZEROとのパックも7980円で提供される予定としている。
このほか発表会には、新スローガン「ソフトでわくわく」のイメージキャラクターに起用されたタレントのベッキーさんも登場した。パソコン何でも相談サービス ほっ!について、「どんな製品でもサポートを受けられるのは完ぺき。強力な味方を見つけたって感じです」「年配の人やPCの苦手な若い女性も安心して使える。幅広い人に利用してほしい」などと語り、ソースネクスト製品の親しみやすさをアピールしていた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.