「W2363D」は、4月7日にLGエレクトロニクスから発表された、NVIDIAの3D Visionを利用した立体視表示が可能な垂直同期クロック120Hz対応の液晶ディスプレイだ。ノングレア処理が施されたパネルのサイズは23型ワイドで、最大解像度は1920×1080ドット。最大輝度は400カンデラ/平方メートル(2D表示時。立体視表示では44カンデラ/平方メートル)でコントラスト比は最大70000:1になる。入力インタフェースとしては、DVI-Dと2系統のHDMI、オーディオ入力が用意される。サイズは555.5(幅)×205.95(奥行き)×419.2(高さ)ミリ、重さは約5.2キロだ。
説明会で、LGエレクトロニクス・ジャパン マーケティンググループ マーケティングマネージャーの宇佐美夕佳氏は、W2363Dの特徴について、「リアルな3D(=立体視)、SRS TruSurround HDによるリアルなサウンド、70000:1の高いコントラスト比によるリアルな表示」を挙げ、その中から特に、リアルな立体視を実現するためにW2363Dに導入された新技術を説明した。
W2363Dのスペックで宇佐美氏が訴求したのが、データプロセッシングクロック(3Dグラスのシャッター開閉に合わせた画像処理速度)が172Hzであることと、クロストーク(3Dグラスのシャッターを開閉するとき、右目用画像と左目用画像の映像が重なる割合)が1.9%であること、そして、セルの制御で「デュアルゲートフィーディリング」を採用していることだ。
従来の液晶ディスプレイでは、格子状に並んだLCDのセルを制御するために、横方向の片側に制御用ICを接続してディスプレイの表示を行うが、W2363Dは両側にICを接続することで、セルの開閉を安定させて映像のにじみやぼやけを軽減させる。また、配線素材を従来のアルミから銅に変えることで配線を細くし、それにともなってセルの開口面積を増やして輝度を上げることができた。
クロストークでは、競合他社製品の多くが4〜5%台のところ、2%を下回るレベルを実現したことで、立体視表示において画像の乱れやぼやけが減少した。宇佐美氏によると、目の疲労も軽減されるため、長時間の立体視動画の鑑賞でも負担が少なくなるという。
説明会では、デモ用のPCで協力したマウスコンピューター マーケティング統括部の杉澤竜也氏が、同社の立体視対応製品の取り組みについて説明を行った。
マウスコンピューターは、コンシューマー市場に立体視対応製品を安価に供給するだけでなく、立体視に興味はあるがコンテンツがそろうまで導入するか迷っているユーザーには「3D-READY PC」を用意する予定だ。ハイエンドパーツで構成したシステムにNVIDIAの3D Vision対応GPU搭載グラフィックスカードを組み合わせることで初期購入コストを抑えつつ、立体視コンテンツの数がそろってきた段階で、3D Visionグラスや「W2363D」などの立体視対応ディスプレイを購入する方法を提案するという。
さらに、コンテンツ製作現場のプロユース市場に対しても、NVIDIAのQuadroシリーズを基幹とする立体視コンテンツ作成システムを提供することで、コンテンツ作成コストを削減することを実現し、それが立体視コンテンツ供給数の増加につながると説明する。
説明会では、W2363DとマウスコンピューターのG-TuneベースにNVIDIAのGeForce GTX 280を組み合わせたPC本体と3D Vision対応グラスで構成されたデモマシンが2台用意され、3画面立体視表示のゲームプレイと、現在米国で行われているマスターズ・トーナメントゴルフの3D撮影による実況再放送が紹介された。
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