日本通信から登場した“通信電池”こと「b-mobile SIM」は 利用期間が限定されたプリペイドSIMカードとしてユーザーに提供されるデータ通信専用のサービスだ。2010年4月時点のラインアップは、有効期限30日の「BM-U300-1MS」(2980円)、有効期限185日の「BM-U300-6MS」(1万4900円)、有効期限365日の「BM-U300-12MS」(2万9800円)の3種類になる。
BM-U300-12MSの価格はBM-U300-6MSのちょうど2倍と、長期間契約によくある「割引」は設定されていない。むしろ、BM-U300-6MSを続けて利用するとBM-U300-12MSと同じ価格で370日使えることになる。BM-U300-6MSとBM-U300-12MSを1カ月当たりで計算すると2483円(端数切捨て)なので、BM-U300-1MSは500円弱割高になる。
なお、有効期限が過ぎたb-mobileSIMはリチャージに対応せず、新たにパッケージを購入するようになると日本通信は説明している。また、今後、b-mobileSIMの新しいラインアップが登場した場合でも、有効期限が残っているb-mobileSIMを新しく登場したプランに切り替えることはできないという。
日本通信は、発表と同時に情報提供を希望するユーザーを募集し、登録したユーザーが対象の先行受付を3月29日に開始した。4月3日の22時までに注文したユーザーには4月5日にb-mobile SIMが発送され、多くの購入希望者は4月6日に入手したという。
b-mobileSIMがリリースされたタイミングにあわせて、にわかに「SIMロックフリー」に関する議論が、総務省やキャリア各社、そして、携帯電話ユーザーなどから活発に噴出し、社会的にも注目を集めているが(実際はb-mobileSIMというよりSIMロックフリーを巡る動きだが)、今回はそういう社会現象とは関係なく、広域データ通信のインフラとして、b-mobileSIMがどの程度使えるのかを検証していきたい。
日本通信によると、b-mobleSIMのメインターゲットは「SIMロックフリーのスマートフォン」とされている。日本通信ではb-mobileSIMの動作が確認された端末を同社のWebページで紹介しており、以前出荷されていた「FOMA F1100」や日本で流通していたノキアの「E61」「E60」から、最近登場したAndroid端末「HT-03A」(HTC)や「T-01A」(東芝)、そして注目の「Xperia SO-01B」などが挙がっている。300kbpsという通信速度もパフォーマンスが限られるスマートフォンならそれほど気にならないというのが日本通信の説明だが、動作確認機種の中には、SIMカードスロットを備えたFOMA HIGH-SPEED対応ノートPCや、FOMA HIGH-SPEED対応のUSBデータアダプタもある。
SIMカードスロットを用意したノートPCを購入してもFOMA HIGH-SPEEDの契約をしていないユーザーも多いと思われる。そのようなケースにおいて、b-mobileSIMは、低価格で定額データ通信が利用できるプランとして有効な選択肢となりうるだろう。
ただ、b-mobileSIMをPCで使うときに懸案になるのが「転送速度が上り下り共に300kbps付近が上限」とされている点だ。最近のWebページは高解像度の画像やJavaスクリプトの利用、Flash動画など“重い”コンテンツが多くなっている。また、Google Mapに代表されるように、Webブラウザで利用するアプリケーションサービスも増えてきている。このように、Webサービスの利用で求められるデータ転送量はこのところ大幅に増えているが、そのような状況において「300kbps」の使い勝手は実用的なのだろうか。
そこで、この記事ではPCで利用するb-mobileSIMの使い勝手を検証するため、GIGABYTEのNotbook「M1022」(Atom N280、Intel 945GSEチップセット、メモリ容量1Gバイト)に、b-mobileSIMカードを差したNTTドコモのUSBデータ通信端末「A2502」(AnyDATA製)を接続した環境で、データ転送速度測定サイトを利用したベンチマークテストやWebページの表示時間、Webページで利用できるサービスの動作速度などを調べてみた。
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