2画面タッチパネルの新感覚ミニPC――「libretto W100」を徹底検証する(前編)実際、どこまで使える?(2/4 ページ)

» 2010年08月25日 10時30分 公開
[鈴木雅暢,ITmedia]
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近未来を感じさせる2画面スタイル

 最大の特徴が、斬新な2画面スタイルだ。ハードウェアキーボードを省く一方、マルチタッチ対応の7型ワイド液晶ディスプレイをデュアルで搭載する。2画面を合わせて大きな1画面として利用できるほか、2つの画面に別々のアプリケーションを表示させて使い分けたり、1画面にソフトウェアキーボードやソフトウェアタッチパッドを表示させて操作することが可能だ。プリインストールOSの32ビット版Windows 7 Home Premiumでは上下に配置したデュアルディスプレイとして認識されている。

 2つの液晶ディスプレイは「Clear SuperView LED液晶」と東芝独自の名前が付けられている。仕様は2画面とも共通で、サイズは7型ワイド、表示解像度は1024×600ドット、バックライトはLEDだ。ディスプレイの表面は光沢仕上げで、くっきりと鮮やかな発色を楽しめる一方、映り込みは気になる。視野角は狭く、少し正面からずれると映り込みがより目立つ。最大輝度は最近のミニノートPCとしてはわずかに暗めに感じるが、実用十分な水準にある。

 液晶ディスプレイのヒンジは角度が180度開くため、2画面合わせて(中央に枠の隙間はできるものの)大きな1画面として利用することも可能だ。この状態ではボディの横幅と高さがiPad(幅189.7ミリ、高さ242.8ミリ)とほとんど同じサイズになる。ちなみに、ボディの重心の関係から、机の上に置いた状態で液晶ディスプレイを安定して開けるのは130度程度までで、角度の調整には少し気を遣う。

2画面タッチパネルのボディはニンテンドーDSを思わせる。液晶のサイズは7型ワイド、解像度は1024×600ドットだ
液晶ディスプレイは180度まで開くことができる。机上で安定して開けるのは130度程度までだ

縦位置表示に切り替えると、見開きの本のようなスタイルで利用できる

 ボディには加速度センサーも内蔵されており、本体を横向きに倒すと、自動的に画面が縦位置表示に切り替わる。電子ブックリーダーの「Flip Viewer」がプリインストールされているほか、IEプラグインの「Flip Viewer Xpress」を用いることで、縦位置表示のまま、本を開いたようなスタイルで電子書籍を読むことが可能だ。縦の解像度が1024ドットもあるので、一般のノートPCよりはずっと読みやすいだろう。

 ただ、この加速度センサーはちょっと敏感な印象で、単に本体を持ち上げて置くといった操作でも画面が切り替わってしまうことがあった。表示方向が切り替わる際に数秒待たされることもあり、ちょっと煩わしく感じるかもしれない。ちなみに内部構造の関係で、縦位置表示で使っている場合はCPU性能より冷却が優先される。

タッチ操作をフォローする多彩な機能

上画面の右に電源ボタン、左にWebカメラを装備。下画面の右にホームボタン、左にキーボードボタンを搭載する

 液晶ディスプレイの周囲には、必要最低限のボタンやWebカメラが配置されている。上画面の右には電源ボタン、左にはWebカメラ(1/6.5インチのプログレッシブ方式CMOSセンサー搭載、有効画素数は約102万画素)を搭載し、下画面の右にはホームボタン、左にはキーボードボタンを備える。ホームボタンを押すと独自ソフトの「TOSHIBA Bulletin Board」、キーボードボタンを押すとソフトウェアキーボードが下画面に表示される仕組みだ。

 このように、W100はハードウェアのキーボードだけでなく、ポインティングデバイスも搭載しないため、何をする場合でも、タッチパネルを搭載した2つの7型ワイド液晶ディスプレイに直接指で触れて操作することになる。

 タッチパネルの感度は指での操作に最適化されており、ペンなどを使っても反応しない。2画面構成ということで、ウインドウのタイトルバーには上画面と下画面を移動させるボタンや上下画面に表示させるボタンが追加されているが、標準の状態ではウインドウのタイトルバーやボタンなどが小さく、操作がままならない印象を受けた。

 しかし、「2画面設定」というメニューからタイトルバーのボタンを大きくすると実用的なサイズになり、使いやすくなる。また、タイトルバーを指でポイントすると、ウインドウにオーバーレイで大きなアイコンを表示し、ウインドウの最小化/最大化、ウインドウの移動、サイズ変更といった操作が指でも簡単に行える「Easy Menu」が用意されている。これを利用する習慣が身につけば、かなり実用的に操作できるだろう。

スタートメニューからアクセスできる「2画面設定」。タイトルバーのボタンを大きくしたり、ウインドウの上下画面移動に関する設定や「Easy Menu」の表示の有無などが決められる
タイトルバーを指でポイントするとウインドウにオーバーレイ表示されるEasy Menu。大きな表示で指でも楽にウインドウ操作が行える

 ホームボタンで起動する独自ソフトのTOSHIBA Bulletin Boardでは、ソフトウェアのショートカットやファイル、Webカメラで撮影した写真、画面キャプチャなどを配置しておける。上画面に通常のWindowsのデスクトップ画面が表示されているので、ついそちらを操作してしまうが、よく使うソフトウェアのショートカットをここに置くほうが使いやすい。

 ただ、初期状態があまりにもあっさり過ぎている。東芝独自のツールだけでなく、ここからWindowsのライブラリや主要な設定などにアクセスできるようになっていれば、もう少し使いやすくなるのではないだろうか。

「TOSHIBA Bulletin Board」のメイン画面。東芝の独自ツールやサポート関連サイトなどにアクセスできる
TOSHIBA Bulletin Boardには、写真やWebページ、よく利用するソフトのショートカットなど、ファイル形式を問わずにドラッグ&ドロップで貼り付けておける

 また、TOSHIBA Bulletin Boardの下やWindowsのタスクバーには、タッチ操作を助ける「libretto Task Bar」が用意されている。ここから、音量の調整、アプリケーションの切り替え、「TOSHIBA Flash Cards」(デスクトップ上部に映し出される輝度調整などのショートカットメニュー)の表示、ズーム、ソフトウェアタッチパッドの起動、ソフトウェアキーボードの起動といった操作が可能だ。

下画面のタスクバーに黒地で表示されている領域が「libretto Task Bar」だ。写真はlibretto Task Barのズーム機能を上画面で利用している例
libretto Task Barを利用したアプリケーション切り替えの様子。上画面に表示されているのはプリインストールの辞書ツール「デ辞蔵PC」だ

デスクトップ上部に表示されるショートカットメニューの「TOSHIBA Flash Cards」では、無線機能のオン/オフや輝度調整、電源プランの設定などが可能。通常のノートPCでは主にワンタッチボタンや、Fnキー+F1〜F12キーで行うような操作に対応したものだ

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