「Eee PC VX6」実力診断――ランボルギーニの世界観を表現したミニノートもはやNetbookとはほど遠い!?(2/5 ページ)

» 2010年11月11日 17時45分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]
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デスクトップ向けのデュアルコアAtom+NVIDIA ION 2を採用

 冒頭でも触れたが、一般的なNetbookに比べて高性能・高機能な基本スペックを搭載するのも大きな特徴だ。ジャストA4サイズで約1.5キロというボディのEee PC VX6がNetbookの範ちゅうに入るかどうかは微妙なところだが、これまでのEee PCシリーズの枠を超えるハイパフォーマンスを実現しており、こうした面からもランボルギーニのブランドイメージを再現しているといえるだろう。

 CPUにはデュアルコアのAtomを採用している。ただし、モバイル向けとして発表されているAtom N550(1.5GHz、2次キャッシュ512Kバイト×2)ではなく、低価格デスクトップ向けのAtom D525(1.8GHz、2次キャッシュ512Kバイト×2)を採用している点がユニークだ。

 Atom D525とAtom N550の主な違いは下表にまとめてみた。Atom D525はTDP(熱設計電力)が13ワットと高いため、小型軽量のボディでは放熱がしにくく、バッテリー駆動時間は不利だが、CPUコア/GPUコアの動作クロックや最大メモリ容量などパフォーマンス面ではメリットが大きい。また、1000個ロット時の出荷価格もAtom D525のほうが低く、価格を抑えることにも貢献している。

Atom D525/N550の違い
モデル Atom D525 Atom N550
動作クロック 1.8GHz 1.5GHz
コア数/スレッド数 2コア/4スレッド 2コア/4スレッド
2次キャッシュ 512Kバイト×2 512Kバイト×2
対応メモリ DDR3-800、DDR2-800/667 DDR3-667
最大メモリ 4Gバイト 2Gバイト
GPUコアクロック 400MHz 200MHz
TDP 13ワット 8.5ワット
1000個ロット時の価格(米ドル) 63ドル 86ドル
Atom D525とAtom N550の主なスペック比較。動画クロックとTDP以外にも最大メモリ容量などさまざま違いがある

CPUはAtom D525を採用。モバイル向けのAtom N550と違い、デスクトップ向けなので、動作クロックなどパフォーマンス面で有利な部分がある一方、TDPが13ワットと高い
Atom D525はデュアルコアで、1コアにつき2スレッドを取り込んで実行するHyper-Threadingにも対応するため、OSからは4つの論理コアが見える。その様子はデバイスマネージャやタスクマネージャから確認できる

 CPUにはグラフィックスコアのIntel GMA 3150を内蔵するが、外部GPUとしてより高性能なNVIDIA ION 2を装備している点にも注目したい。NVIDIA Optimusテクノロジーによって、利用するアプリケーションごとにGPUがシームレスに切り替わる仕組みだ。

 例えば、3Dゲームなど3D描画を行うアプリケーションやHD動画再生支援機能のPure Videoに対応したアプリケーション、GPGPU技術のCUDAに対応したアプリケーションなどの場合には自動的にION 2が使われ、それ以外のアプリケーションではIntel GMA 3150が使われる。この判断はNVIDIAのグラフィックスドライバが行うが、NVIDIAコントロールパネルからカスタマイズすることも可能だ。

 ION 2はローエンドのGPUであるため、NVIDIA製GPUとしては高性能とはいえないが、それでもIntel GMA 3150と比べれば3D描画性能、動画再生能力ともにはるかに上であり、CUDA対応ソフトであれば、動画のエンコードも実用レベルの速度で行なえる。

 ちょっとした息抜きに楽しめるようなカジュアルゲームのプレイや、AVCHDムービー、YouTubeなどの動画再生がAtom Nシリーズを搭載した一般のNetbookよりも格段に快適に楽しめるのは、大きなアドバンテージだろう。

GPUはAtom D525に内蔵されたIntel GMA 3150のほか、NVIDIA ION 2(GeForce GT218)を搭載している。NVIDIA Optimusテクノロジーにより、アプリケーションごとに切り替えて利用できる

NVIDIA Optimusテクノロジーの設定は、NVIDIAコントロールパネルで行なう。基本的に通常はIntel GMA 3150で、3D描画を行うアプリケーションやCUDA対応アプリケーションなどはNVIDIA ION 2で処理するよう最適化されている。すべてのアプリケーションでNVIDIA ION 2を利用したり、アプリケーションごとに手動で指定することもできる

底面のネジ止めされたカバーを開けると、SO-DIMMスロットが現れる

 メモリはPC3-6400に対応しており、標準搭載のメモリ容量は2Gバイト(2Gバイト×1)と控えめだ。ただし、SO-DIMMスロットは2基用意されており、1基は空いている。底面のネジ止めされたカバーを開けるだけで、空きのSO-DIMMスロットにアクセスでき、ここに2Gバイトのモジュールを装着して最大4Gバイトまで増設が可能だ。

 メモリの増設や交換で生じた問題についてはメーカーのサポートの対象外になるが、ユーザーによる増設は比較的簡単に行える。なお、工場出荷時の状態にメモリを戻せば、メーカーの修理は受けられる。

 データストレージには2.5インチのSerial ATA HDDを採用しており、容量は320Gバイトを搭載している。ほかのEee PCシリーズと同様、光学ドライブは内蔵しない。

USB 3.0、Bluetooth 3.0+HSに対応

 本体装備の端子類も通常のNetbookより豪華な内容だ。USBポートは右側面に2基のUSB 3.0ポート、左側面にも1基のUSB 2.0ポートを備え、合計3基を備える。また、左側面の手前にはSDメモリーカードの最新規格SDXCにも対応するSDメモリーカードスロットを装備(ダミーカード装着済み)。ディスプレイ出力はアナログRGBに加えて、HDMIも利用可能だ。液晶フレームの上部には130万画素Webカメラも内蔵している。

 USB 3.0では、従来USB 2.0で規定されていたハイスピードモード(480Mbps)に加えて、新たにその10倍以上(5Gbps)の転送速度を実現したスーパースピードモードを用意しており、同じくUSB 3.0(スーパースピードモード)に対応した外付けHDDなどとのデータ転送が高速に行なえる。広く普及しているUSB 1.1/2.0の下位互換性と高速転送を両立しているため、今後のさらなる普及が期待されている。評価機のデバイスマネージャを見ると、USB 3.0コントローラにはNECエレクトロニクス(現ルネサスエレクトロニクス)製が採用されていた。

 通信機能は、有線LANが100BASE-T対応にとどまるが、IEEE802.11b/g/n対応の無線LANのほか、Bluetooth 3.0+HSにも対応する。Bluetooth 3.0+HSは、無線LANの通信方式を取り入れることで最大24Mbpsの高速データ転送を実現していることが特徴だ。

前面にインタフェース類はなく、すっきりしたデザインだ
背面はバッテリーで占有されている

左側面にSDXC対応のSDメモリーカードスロット、排気口、USB 2.0、HDMI出力、アナログRGB出力、ACアダプタ接続用のDC入力が並ぶ
右側面に音声入出力、2基のUSB 3.0、有線LAN、盗難防止ロック用スロットが配置されている

Eee PC VX6のデバイスマネージャ画面。4つの論理コアを持つCPUや2つのディスプレイアダプタが確認できる。HDDはWestern DigitalのWD3200BEVT、USB 3.0コントローラにはNECエレクトロニクス(現ルネサスエレクトロニクス)製だった

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