Radeon HD 6900シリーズとして12月15日に発表されたのは、「Radeon HD 6970」と「Radeon HD 6950」の2モデルで、いずれも2010年10月にリリースされた「Radeon HD 6800」シリーズの上位クラスとなる。AMDが作成したラインアップのポジショニングマップによると、Radeon HD 6970の競合GPUはGeForce GTX 470を想定、Radeon HD 6950はGeForce GTX 470とGeForce GTX 460の間を埋めるとしている。なお、GeForce GTX 580に対してはデュアルGPUで構成するRadeon HD 5970が依然として対応する。
Radeon HD 6970が内蔵するSIMD Engineは24基。ストリームプロセッサユニットは1536基、テクスチャユニットは96基、ROPユニットは32基。リファレンスデザインでは、コアクロックが880MHz、メモリクロックが1375MHzに設定されている。Radeon HD 6950が内蔵するSIMD Engineは22基でストリームプロセッサは1408基、テクスチャユニットは88基、ROPユニットは32基。リファレンスデザインで設定されているコアクロックは800MHz、同じくメモリクロックは1250Hzとなる。どちらも、グラフィックスメモリはGDDR5に対応し、最大で2Gバイトまで対応する。メモリバス幅は256ビット。プロセスルールは40ナノメートルで構成トランジスタ数は26億4000万個と同じだ。
リファレンスデザインで用意される映像出力インタフェースは、Radeon HD 6800シリーズと共通で、デュアルリンクのDVI-IとシングルリンクのDVI-D、2基のMini-DisplayPortとHDMIを用意する。HDMIはVersion 1.4aに対応し、Mini DisplayPortはVersion 1.2に準拠。AMD Eyefinityによる6画面連動表示もサポートする。また、クーラーユニットには、GeForce GTX 580で採用された「VaporChamber」を導入した。
Radeon HD 6900シリーズでは、ストリームコアのアーキテクチャが新しくなり、それにともなって、ストリームプロセッシングユニットの構成も変更した。Radeon HD 6800シリーズまでは、1単位のストリームプロセッシングユニットを4基のストリームコアと1基のSpecial Function ストリームコアで構成したが、Radeon HD 6900シリーズでは4基のストリームコアで構成できるようになった。この変更で、従来の「5基編成」(VLIW五)と比べて、「4基編成」(VLIW4)のストリームプロセッシングユニットでは、面積対性能比が10%向上したという。また、ROPユニットでは、16ビットの整数演算が従来の2倍に、32ビットの浮動小数点演算(単精度も倍精度も)2〜4倍に向上した。
ジオメトリセットアップなどを行うグラフィックスエンジンも変更が加えられ、テッセレータやラスタライザなど、グラフィックスエンジンを構成するユニットが2基ずつ用意されたことで、完全なデュアル化が実現した。
Radeon HD 6900シリーズでは、GPUコンピューティングも拡張され、「Asynchronous dispatch」でマルチコンピューティングカーネルに相当する構成をSIMD Engineで実現するほか、Dual bidirectional DMA Engineの導入でシステムメモリへのアクセスを高速化するなど、こちらでも性能向上が図られている。
電力管理機能では、「PowerTune Technology」が導入された。グラフィックスカードのコアクロックや駆動電圧、メモリクロックを負荷にあわせて自動で調整する機能を有しており、AMDのグラフィックスユーティリティ「Catalyst Control Center」から設定することで、TDPに余裕がある場合にクロックアップを行ったり動作クロックを下げて消費電力を抑える設定などが動的に行われる。
Radeon HD 6970、Radeon HD 6950をそれぞれ搭載したグラフィックスカードが、AMDの発表にあわせてPCパーツベンダーからリリースされる。その実売予想価格はRadeon HD 6970搭載モデルで4万円台前半、Radeon HD 6950搭載モデルで3万円台前半となる見込みだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.