自作PCだから楽しめる“節電チューニング”入門イマドキのイタモノ(1/3 ページ)

» 2011年04月14日 10時34分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]

自作PCで省電力をギリギリと極める

 今の状況になる以前から、豪快な強烈PCが注目される一方で、省電力を実現するパーツ構成の追求も自作PCでは注目されてきた。懐かしい「Be Silent」のような組み込み用マザーボードや、Edenを搭載したMini-ITXマザーボード、Pentium Mを搭載できるMini-ITXマザーボードなど、以前の省電力を意識した自作PCは組み込みやMoDT(モバイル・オン・デスクトップ)が主流だった。

 しかし、現在は、インテルとAMDからデスクトップPC向け省電力CPUが登場している。このおかげで流通量が少なく、性能に比べて価格が高いノート向けCPUを“無理して”使う必要がなくなった。また、マザーボード側でも組み込み向けモデルやノートPC向けチップセットを“無理して”用いることなく、安価なデスクトップPC向けマザーボードを利用できるようになった。こちらの変化は、入手性とコストの改善に加えて、拡張性も大きく向上している。現在使っているマザーボードのCPUを載せ替えるだけでも省電力PCに変身できる導入コストに低さもメリットだ。

 では、デスクトップPC向けのCPUで省電力モデルと呼ばれるものはどのあたりの製品だろうか。これを判断する指標にCPUの「TDP」(Thermal Design Power)という値がある。ハイエンドクラスであれば130ワット前後、メインストリームであれば65ワット前後になる。TDPがそのまま消費電力を示しているわけではないが、およその消費電力の程度を示すと考えていいだろう。省電力モデルというのはこのTDPが65ワット未満、実際には45ワット以下になる。

 店頭で購入可能なTDP45ワットのモデルとなると、インテルではCore i3-2100T(TDPは35ワット)、AMDではAthlon II X2 250e(TDPは45ワット)などがある。どちらもデュアルコアだ。さらにTDPが低いクラスとしては、15ワット前後のAtomやFusionもあるが、これはパフォーマンスが低めであることと、汎用性という点で導入コストが高くなる(マザーボードも変更する必要があるため)。今回はCore i3-2100T、および、Athlon II X2 250eでデスクトップPCを組み、パフォーマンスと消費電力を計測した。

CPU Core i3-2100T Athlon II X2 250e
コア数/処理スレッド数 2/4 2/2
クロック 2.5GHz 3GHz
キャッシュサイズ 3MB 1MBx2
プロセスルール 32ナノメートル 45ナノメートル
消費電力 35ワット 45ワット

Core i3-2100T(2.5GHz)とIntel H67 Express採用マザーボードのMSI「H67MA-E45」

Athlon II X2 250e(3GHz)とAMD 880G搭載マザーボードのMSI「880GMA-E45」

 Core i3-2100Tは、ダイの内部にグラフィックスコアを統合した“Sandy Bridge”世代のCPUだ。デュアルコアだが、Hyper-Threading Technologyに対応して4スレッドの同時実行が可能だ。ただし、Turbo Boost Technologyをサポートしていない。そのため、定格の2.5GHz以上に動作クロックは上がらない。チップセットは統合されたグラフィックコアを利用できるIntel H67 Expressを選んだ。マザーボードはMSIの「H67MA-E45」を用いる。なお、現在流通しているのは「H67MA-E45 V2」でチップセットのリビジョンがB3となった「問題改修済み」モデルだ。

 Athlon II X2 250eは、デュアルコアのCPUで、基本的にはTDPが65ワットの通常版Athlon II X2 250に対してVコア電圧の最大値を1.425ボルトから1.4ボルトに引き下げることで省電力を図っている。

 Core i3-2100Tと違い、グラフィックスコアは統合しない。そのため、チップセットにはRadeon HD 4250を統合するAMD 880Gがベストだろう。今回用いるマザーボードはMSIの「880GMA-E45」だ。H67MA-E45と同様にmicro ATXフォームファクタ対応の製品だ。

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