各種ベンチマークテストも実施してみたが、スペックからも想像されるように、ノートPCとしては相当に高いパフォーマンスを備えていた。
Windowsエクスペリエンスインデックスのサブスコアを見ると、最低なのがメモリとプライマリハードディスクだが、それでも5.9と十分な値だ。CPUは6.9、グラフィックスとゲーム用グラフィックスは7.1で、上位クラスのデスクトップPCと比較しても遜色(そんしょく)ない。体感速度の面では、システムのストレージにSSDを搭載したマシンには劣るが、普通にWindows 7を使っていて遅いと感じる場面はほとんどない。
グラフに示したベンチマークテストの結果は、3D立体視機能をオフにして計測したものだ。PCMark VantageとPCMark05のCPU関連スコアは、ArrandaleコアのCore i5-460M(2.53GHz/最大2.8GHz)として順当な結果だろう。3Dグラフィックス性能をチェックする3DMark06では、総合スコアで高い値をマークした。ノートPC向けのGPUではハイエンドクラスとなるNVIDIA GeForce GTX 460Mの実力が分かる。
3Dゲームタイトルのベンチマークテストも、まずまず期待通りだ。描画処理が重いとされるFINAL FANTASY XIV Official Benchmarkでも、低解像度(1280×720ドット)なら何とか「普通」(標準的な動作が見込めるとされるレベル)に到達している。なお「普通」に分類されるスコアは、2500〜2999だ。
バイオハザード5(DX10/1280×720ドット)のスコアはAverage FPSが94.5(S:すべてのシーンで非常に快適に動作)、ColinMcRae:DiRT2 Demo(1366×768ドット)のスコアはTOTAL FRAMESが17154、AVERAGE FPSが71.9、MINIMUM FPSが53.5と、十分なFPSが得られている。
現状であらゆる3Dゲームを快適にプレイできるとまではいかないが、よほどのハイスペックを要求するタイトルでなければ、問題なく楽しめるだろう。
なお、冒頭で述べた通り、背面の左右には2つのファンが内蔵されており、高い冷却性能を持つ。高負荷が続くとそれなりの騒音が聞こえてくるものの、耳障りな音ではない。ゲームや動画などのサウンドをヘッドフォンで聴いていればまったく気にならず、内蔵スピーカーや外付けスピーカーを使う場合はボリュームや個人差にもよるが、コンテンツへの集中が削がれることはないだろう。
G53Jwは、基本的にはゲームにフォーカスした、いわゆるゲーミングノートPCだが、総合的な3D立体視を体感できるエンターテインメントノートPCとしても有用だ。NVIDIA 3D Visionに標準対応し、Blu-ray 3Dや3D写真も扱えて、専用エミッターは本体に内蔵と、これ1台で3D立体視に必要な環境が整う。
バリバリのゲーマーにとっては、パフォーマンスが物足りないこともあるだろうが、そうしたコアなユーザーはより高性能なデスクトップPCを導入するケースがほとんどだろう。G53Jwの大きな魅力としては、NVIDIA 3D Visionによる3D立体視の環境を手軽に入手できること、全体のバランスが取れた高性能を備えること、そして独特のボディデザインを採用することが挙げられる。
単にPCの基本スペックだけを見ると、14万9800円という価格に魅力は感じないかもしれないが、3D立体視機能の本体への融合や、細部に至るボディの作り込みまで考慮すると、コストパフォーマンスはなかなかのものだ。
3Dゲームをはじめ、さまざまなコンテンツで3D立体視を楽しみたい人や、ほかとは違ったハイパフォーマンスなPCを求める人は、ぜひチェックしてみてほしい。
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