3TバイトHDDが1万円割れで「自作PC市場の底上げになる……かも」古田雄介のアキバPickUp!(1/4 ページ)

» 2011年06月13日 08時30分 公開
[古田雄介(ぜせ)&ITmediaアキバ取材班,ITmedia]
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「他店が下げるなら、ウチも下げるしかないんですよ」――WD30EZRXの値下げ競争

PC DIY SHOP FreeTで見かけた「WD Caviar Green WD30EZRX」

 先週、複数のショップでウェスタンデジタルの3TバイトHDD「WD Caviar Green WD30EZRX」の値下げ競争が発生した。ほかの3TバイトHDDが1万2000円前後から1万3000円前後の値をキープするなか、このモデルだけが限定特価ながら「9980円」や「9979円」、さらには「9880円」など、1万円を割る値札がつけられた。

 現行最大容量のHDDが大幅に値下がりしたことで、週末は多くのショップで好調に売れた様子だ。PC DIY SHOP FreeTは「主力はあくまで2Tバイトですが、3TバイトHDDとしては今までにないくらい売れています」と語る。クレバリー1号店も「かなり売れていますね。限定特価ということもあって、この機を逃すまいと考えている人が多いのでしょう」と話していた。

 一方で、今回の動きを複雑な面持ちで眺めるショップも少なくない。某ショップは「大手のショップさんが1万円割れキャンペーンを始めたんですけど、そうなると近所にあるウチも追従しないわけにいかないじゃないですか。赤字とは言わないまでも、かなり無理を強いられていますね。まあ、これまでも何度か似たようなことはありましたし、慣れていますけど……」と漏らす。

 同じ商品を売る以上、近くで大幅に安く売られてると、連鎖的に周辺の店舗でも値下げせざるを得ない状況になるという事情があるわけだ。

 そして、そうした価格競争をきっかけに、HDDの主力容量が更新されてきた過去もある。1TバイトHDDは2008年8月ごろ、2TバイトHDDは2010年3月ごろに1万円割れを記録し、その後のトレンドを動かしてきた。しかし、今回はそこまでの動きを期待する声は少ない。

 クレバリー1号店は「3TバイトHDDは4Kバイトセクタを使っているので、古めのマシンを使っている人は導入しづらいんですよ。それに容量面では2Tバイトで十分というユーザーも多いでしょうから、個人的には主力の切り替わりは当分起きないと思います」と分析する。

 WD Caviar Green WD30EZRXは、5400rpmのSATA 3.0対応ドライブで、4Kバイトセクタの物理フォーマット「Advanced Format」を採用している。Advanced Format非対応のWindows XP以前のOSではフル性能やフル容量が使えないため、推奨環境はWindows 7とVistaとされるのだ。加えて、起動ドライブに使うには、ハード面でもUEFI(Unified Extensible Firmware Interface)をサポートするマザーボードやインタフェースカードが必要になるといった条件もある。

 ただ、“だからこそ”自作市場全体を潤すと期待する声もあった。あるベテラン店員氏は「WD30EZRXの導入をきっかけに、古い構成を一新するという人も出てくると思います。OSやマザーボードを乗り換えるとなると、イチから作ることも多くなるでしょうから、ほかのパーツの売れ行きも底上げされる可能性があります。4Kバイトセクタの壁に阻まれて一時の盛り上がりで終了するか、壁を乗り越えて、市場全体を潤すようになるのか。楽観視はしませんけど、期待したい部分もありますね」とコメントしていた。

ドスパラ パーツ館の店外ポスター。大々的にWD30EZRXの価格を表示していた(写真=左)。クレバリー1号店のHDD POP。2TバイトHDDも6000円前後で売られている(写真=右)

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