デスクトップPC向けLlanoのパフォーマンス測定にあたって、今回比較用に用意したのは、Core i5-2500KとにIntel Z68 Expressチップセットを組み合わせて構成したシステムと、Phenom II X4 980 Black EditionにAMD 880G+SB710チップセットを組み合わせて構成したシステムだ。これと、A8-3850にA75チップセットを組み合わせて構成したシステムを比較する。なお、外付けのGPUとしては、Radeon HD 6670を用意する。
CPU性能の検証には、PCMark Vantage、PCMark 7、Sandra 2011.SP3(17.64)、CINEBENCH R11.5、そしてMediaEspressoを用いた。MediaEspressoは、各種ハードウェアアクセラレーションに対応しているが、今回はCPUによるトランスコード処理で計測している。
CPUとチップセット、グラフィックス以外の測定環境 | |
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メモリ | DDR3-1600 2Gバイト×4枚 |
HDD | Intel SSD 510 120GB |
OS | 64ビット版 Windows 7 Home Premium Service Pack 1 |
PCMark Vantageでは、OverallでA8-3850とA75のシステムがPhenom IIとAMD 880Gのシステムを抜いている。個別のテスト項目を見てみると、MemoriesやTV and Movies、Gaming、そしてMusicなどでA8-3850が優位に立つ一方、CommunicationsやProductivityでは劣っている。今回、サポートされている中で標準的なメモリを使っているため、A8-3850のシステムではDDR3-1600を、Phenom IIとAMD 880GのシステムではDDR3-1333を組み合わせている。メモリに関してはここで差が表面化したものと思われる。
そのほか、グラフィックス機能に関してはRadeon HD 6550DとRadeon HD 4250となるため順当の差といえる。CPUに関しては、同じクアッドコアとはいえ、動作クロックが大幅に異なるほか、Athlon IIベースのLlanoとPhenom IIベースの差が出た。
PCMark 7では、OverallでA8-3850のシステムがPhenom IIとAMD 880Gのシステムを抜いている。ただ、その理由はentertainmentでの大差とsystem_storageの差が効いているだけだ。entertainmentはGPUが大きく影響するし、system_storageはPhenom IIとAMD 880GのシステムがサウスブリッジにSB710を利用していてSerial ATA が3Gbpsとなっているためで、これも当然の結果だろう。
なお、Core i5とIntel Z68 Expressのシステムに対しては、さらに大きな差を付けられている。同じクアッドコアとはいえ、動作クロックはさらに高く、CPU性能では対抗できない。また、グラフィックス性能も、ゲームより汎用アプリケーションにフォーカスしたPCMark 7では同等という結果となっている。
Sandraでは、CPU性能を評価するCPU Arithmetic/Multimediaで、Core i5に対してテストによって半分以下という状況だ。.NET Arithmetic/Multimediaや、Cryptographyも同様の傾向を示している。Memory BandwidthはDDR3-1600を組み込んだA8-3850のシステムがDDR3-1333のPhenom II+AMD 880Gシステムを上回るものの、Core i5とIntel Z68 Expressのシステムには及ばない。
CINEBENCH R11.5は、OpenGLのみ今回の比較対象のなかではずば抜けて高いスコアだが、Multi CPUの結果はSabineで確認してきた傾向と同じく低調だ。MediaEspressoも同様で、A8-3850はCore i5に対して約1.5倍かかっている。
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