新型VAIO Zの本体サイズは330(幅)×210(奥行き)×16.65(高さ)ミリ、重量は約1.165キロ(VAIOオーナーメードモデルは約1.15キロ〜約1.69キロ)だ。従来機種の標準仕様モデルは、本体サイズが314(幅)×210(奥行き)×23.8〜32.7(高さ)ミリ、重量が約1.37キロだったため、外部GPUや光学ドライブをドックに逃がしたことで、大幅な薄型化と軽量化を果たしたことになる。
ボディはフルフラットに仕上がっており、前面から背面まで16.65ミリの薄さが均一に保たれる。井口氏によると、設計当初の目標は薄さ17ミリ以下だったが、実際の製品ではそれを確実にクリアした。重量の目標は当初1キロを掲げ、パーツのレイアウトなどを検討していくうちに、約1.1キロという具体的なゴールが見えてきて、こちらもほぼ達成している。さらに、この薄さと軽さで剛性感をいかに出すかが、ボディの設計時に注力したポイントという。
薄型軽量フルフラットボディは新型VAIO Sにも共通した特徴で、側面を六角形の構造にして堅牢性を高めた「ヘキサシェル」デザイン、アルミニウムの1枚板から成形したパームレスト/キーボード一体化ベゼル、使用中に正面から液晶ディスプレイのヒンジが見えない「コンシールドヒンジ」といったデザインは、VAIO Sから受け継いだ意匠だ。
さらに新型VAIO Zでは、バッテリーの固定方法を変えた(詳しくは後述)ほか、液晶ディスプレイ部の背面にSONYロゴが刻まれたアルミニウムのバーを装着したり、天面と底面に軽さと強さを兼ね備えたカーボン素材を用いるといった、VAIO Zならではの工夫により、堅牢性を高めている。
高い剛性を保つうえでベースとなる外装の構成方法について、只野氏は「ボトムのシャシーは側面まで一体成形で、パームレストも前面まで一体成形とした。この2つをしっかりとかみ合わせて、液晶ディスプレイのヒンジがある背面もアルミニウム素材のバーで固定することで、ボディの各面を違うパーツで構成した通常のノートPCより、大幅に剛性を高めることができた」と語る。
井口氏は「薄くなったぶん、これまで以上に頑丈なボディを目指し、それを実現できたと思う。実際にパームレストを片手で持ち上げてみても、持った部分がへこんだり、曲がったりすることがなく、非常に密度の高い剛性あるボディを体感してもらえるはず」と、剛性の高さをアピールする。
なお、具体的な耐久性の数値は公開されていないが、開発時の品質試験としては、平面加圧振動、1点加圧(親指サイズで圧力を連続して加える)、落下(PC動画時/平面落下)、カド落下(PC動作時/パームレストの端を持ち上げた状態から落下)、片持ち振動(パームレストの片側を持ち上げて振動)、ディスプレイ開閉といった幅広いテストを実施し、モバイルシーンでの耐久性にこだわった。Power Media Dockも持ち運びに配慮し、落下と平面加圧振動のテストを行ったという。
製品を分解/改造すると、メーカー保証は受けられなくなります。内部で使用されている部品などは取材した機材のものであり、すべての個体に該当するわけではありません
それでは、新型VAIO Zの中身を少しずつ見ていこう。分解した機材はソニーストア直販のVAIOオーナーメードモデル(カラーはブルー)だ。まずは本体を裏返し、底面にあるネジで固定されたリチウムポリマーバッテリーを取り外す。
VAIOノートのバッテリーは交換しやすいように、レバー操作で着脱できるものが大半だが、新型VAIO Sもネジを外さないと、バッテリーが取り出せない。これはVAIO Sも今回の新型VAIO Zも標準バッテリーの駆動時間が長く、オプションとして交換式の大容量バッテリーの代わりに、底面に装着するシート型の拡張バッテリーを用意したので、ネジいらずでバッテリーを外せなくても大きな問題がないという判断だ。
VAIO Sのバッテリー固定方法と違うのは、VAIO Sのバッテリーが2本のネジで固定されたカバーの下にあるのに対して、新型VAIO Zではバッテリーユニットに8本のネジ穴があり、バッテリー自体が底面カバーの役割も兼ねていることだ。
只野氏は「バッテリー自体を構造体の1つと見なして、しかも8カ所できつく固定することで、薄くてもガッチリと硬いボディを実現した。通常のレバー操作で着脱できるバッテリーではどうしてもすき間が必要で、ここまでしっかり固定できない」とその意義を解説する。
また、井口氏は底面のデザインについて「標準バッテリーを固定するネジや、拡張バッテリーを取り付けるネジは、フットスタンドを兼ねるようにして目立たないよう処理し、スリットやネジは対称に配置、吸気口をヘキサシェル構造をイメージさせる六角形にカットするなど、細部までこだわった」と、その工夫を紹介した。
ちなみにバッテリー駆動時間は、標準仕様モデルが標準バッテリー(6セル)で約9時間、別売のシート型拡張バッテリー(6セル)装着時で約17.5時間、VAIOオーナーメードモデルが標準バッテリーで約8.5〜9時間、拡張バッテリー装着時で約16.5〜17.5時間(仕様によって変動)と、オールインワンモバイルだった従来機種を大きく上回った。
金森氏は「モバイルノートPCのバッテリー駆動時間は、理想として10時間を目指しているが、今回は薄さや重さのバランスも考慮して、それより少しだけ短いところに落ち着いた。しかし、シート型の拡張バッテリーを採用したこともあり、スタミナという点では従来機種よりかなり進化している」と評する。
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