インタビュー
» 2011年07月05日 13時15分 公開

完全分解×開発秘話:なぜ薄型軽量ノートPC+ドックなのか?――新生「VAIO Z」を丸裸にする (2/6)

[前橋豪, 撮影:矢野渉,ITmedia]

薄さ、軽さ、強さにこだわり抜いた新設計のボディ

 新型VAIO Zの本体サイズは330(幅)×210(奥行き)×16.65(高さ)ミリ、重量は約1.165キロ(VAIOオーナーメードモデルは約1.15キロ〜約1.69キロ)だ。従来機種の標準仕様モデルは、本体サイズが314(幅)×210(奥行き)×23.8〜32.7(高さ)ミリ、重量が約1.37キロだったため、外部GPUや光学ドライブをドックに逃がしたことで、大幅な薄型化と軽量化を果たしたことになる。

左が新型VAIO Z、右が従来機種のVAIO Z(Z1)。側面から見ると、新型VAIO Zが実現した16.65ミリ厚のフルフラットボディが際立つ

 ボディはフルフラットに仕上がっており、前面から背面まで16.65ミリの薄さが均一に保たれる。井口氏によると、設計当初の目標は薄さ17ミリ以下だったが、実際の製品ではそれを確実にクリアした。重量の目標は当初1キロを掲げ、パーツのレイアウトなどを検討していくうちに、約1.1キロという具体的なゴールが見えてきて、こちらもほぼ達成している。さらに、この薄さと軽さで剛性感をいかに出すかが、ボディの設計時に注力したポイントという。

 薄型軽量フルフラットボディは新型VAIO Sにも共通した特徴で、側面を六角形の構造にして堅牢性を高めた「ヘキサシェル」デザイン、アルミニウムの1枚板から成形したパームレスト/キーボード一体化ベゼル、使用中に正面から液晶ディスプレイのヒンジが見えない「コンシールドヒンジ」といったデザインは、VAIO Sから受け継いだ意匠だ。

側面を六角形の構造にして剛性を高めた「ヘキサシェル」デザイン(写真=左)。アルミニウムの1枚板から成形したパームレスト/キーボードベゼルは前面まで一体のパーツとなっている(写真=中央)。使用中に正面から液晶ディスプレイのヒンジが見えず、画面とキーボードの視線移動がスムーズになるという「コンシールドヒンジ」デザイン(写真=右)

液晶ディスプレイ部の背面にはSONYロゴが刻まれたアルミニウムのバーを装着。デザインのアクセントとしつつ、剛性も向上した

 さらに新型VAIO Zでは、バッテリーの固定方法を変えた(詳しくは後述)ほか、液晶ディスプレイ部の背面にSONYロゴが刻まれたアルミニウムのバーを装着したり、天面と底面に軽さと強さを兼ね備えたカーボン素材を用いるといった、VAIO Zならではの工夫により、堅牢性を高めている。

 高い剛性を保つうえでベースとなる外装の構成方法について、只野氏は「ボトムのシャシーは側面まで一体成形で、パームレストも前面まで一体成形とした。この2つをしっかりとかみ合わせて、液晶ディスプレイのヒンジがある背面もアルミニウム素材のバーで固定することで、ボディの各面を違うパーツで構成した通常のノートPCより、大幅に剛性を高めることができた」と語る。

 井口氏は「薄くなったぶん、これまで以上に頑丈なボディを目指し、それを実現できたと思う。実際にパームレストを片手で持ち上げてみても、持った部分がへこんだり、曲がったりすることがなく、非常に密度の高い剛性あるボディを体感してもらえるはず」と、剛性の高さをアピールする。

 なお、具体的な耐久性の数値は公開されていないが、開発時の品質試験としては、平面加圧振動、1点加圧(親指サイズで圧力を連続して加える)、落下(PC動画時/平面落下)、カド落下(PC動作時/パームレストの端を持ち上げた状態から落下)、片持ち振動(パームレストの片側を持ち上げて振動)、ディスプレイ開閉といった幅広いテストを実施し、モバイルシーンでの耐久性にこだわった。Power Media Dockも持ち運びに配慮し、落下と平面加圧振動のテストを行ったという。

固定方法からオプションまで考えられたバッテリー

注意

製品を分解/改造すると、メーカー保証は受けられなくなります。内部で使用されている部品などは取材した機材のものであり、すべての個体に該当するわけではありません



VAIO Zの分解を行う只野氏

 それでは、新型VAIO Zの中身を少しずつ見ていこう。分解した機材はソニーストア直販のVAIOオーナーメードモデル(カラーはブルー)だ。まずは本体を裏返し、底面にあるネジで固定されたリチウムポリマーバッテリーを取り外す。

 VAIOノートのバッテリーは交換しやすいように、レバー操作で着脱できるものが大半だが、新型VAIO Sもネジを外さないと、バッテリーが取り出せない。これはVAIO Sも今回の新型VAIO Zも標準バッテリーの駆動時間が長く、オプションとして交換式の大容量バッテリーの代わりに、底面に装着するシート型の拡張バッテリーを用意したので、ネジいらずでバッテリーを外せなくても大きな問題がないという判断だ。

 VAIO Sのバッテリー固定方法と違うのは、VAIO Sのバッテリーが2本のネジで固定されたカバーの下にあるのに対して、新型VAIO Zではバッテリーユニットに8本のネジ穴があり、バッテリー自体が底面カバーの役割も兼ねていることだ。

 只野氏は「バッテリー自体を構造体の1つと見なして、しかも8カ所できつく固定することで、薄くてもガッチリと硬いボディを実現した。通常のレバー操作で着脱できるバッテリーではどうしてもすき間が必要で、ここまでしっかり固定できない」とその意義を解説する。

 また、井口氏は底面のデザインについて「標準バッテリーを固定するネジや、拡張バッテリーを取り付けるネジは、フットスタンドを兼ねるようにして目立たないよう処理し、スリットやネジは対称に配置、吸気口をヘキサシェル構造をイメージさせる六角形にカットするなど、細部までこだわった」と、その工夫を紹介した。

8本のネジで固定されたバッテリーが印象的な底面(写真=左)。8本のネジは工具がなくても、コインで回せる仕組みだ。8本のネジを外し、内蔵バッテリーを分離した様子(写真=中央)。バッテリーパックの端にネジ穴を設けているのが目新しい。バッテリーを固定していた8本のネジ(写真=右)。バッテリーのネジは、四隅の4本にゴムキャップが付いており、フットスタンドも兼ねている。また、左上と右上にある2つのフットスタンドは、中に拡張バッテリー装着用のネジを仕込んであり、底面で多数のネジがデザインのノイズにならないよう工夫してある

 ちなみにバッテリー駆動時間は、標準仕様モデルが標準バッテリー(6セル)で約9時間、別売のシート型拡張バッテリー(6セル)装着時で約17.5時間、VAIOオーナーメードモデルが標準バッテリーで約8.5〜9時間、拡張バッテリー装着時で約16.5〜17.5時間(仕様によって変動)と、オールインワンモバイルだった従来機種を大きく上回った。

 金森氏は「モバイルノートPCのバッテリー駆動時間は、理想として10時間を目指しているが、今回は薄さや重さのバランスも考慮して、それより少しだけ短いところに落ち着いた。しかし、シート型の拡張バッテリーを採用したこともあり、スタミナという点では従来機種よりかなり進化している」と評する。

オプションで用意されるシート型の拡張バッテリーは、装着しても24.75ミリ厚の薄いフルフラットボディが維持できる(写真=左)。拡張バッテリーは2本の手回しネジで固定する仕組み(写真=中央)。底面のデザインはフラットで1枚の板のようだ。拡張バッテリーには、単体で充電できるアダプタが付属する(写真=右)。拡張バッテリーの装着時に本体底面の吸気口をふさいでしまわないよう、拡張バッテリー内側には空気を通す溝が掘られている

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