“ハイブリッドモーションPC”はアリなのか?――「FMV LIFEBOOK TH40/D」実力診断普通のタブレットに飽き足らない人へ(2/4 ページ)

» 2011年08月15日 16時45分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

基本システムにOak Trailプラットフォームを採用

 PCの基本スペックは、開発コード名「Oak Trail」の名で知られるインテルのタブレット向け最新プラットフォームを採用し、ファンレス設計を実現している。

 Oak Trailは、Atom Z600シリーズのCPUとチップセットのIntel SM35 Expressの組み合わせで構成される。先代にあたるAtom Z500シリーズとIntel US15W/US15Xの組み合わせとの違いは、従来チップセット側に内蔵していたメモリコントローラとグラフィックスコアをCPUに統合し、電力管理を強化することで省電力性能を高めたことだ。

 また、CPUのパッケージサイズをほぼ据え置きつつ(13×14ミリから13.8×13.8ミリへ)、チップセットのパッケージサイズは22×22ミリから14×14ミリへと大幅に小型化し、小型・薄型の端末へ搭載しやすくなっている。

 機能面の強化としては、グラフィックスコアのHD動画再生支援機能(MPEG-4 AVC/H.264、VC-1のハードウェアデコード)が1080pの解像度に対応したことや、HDMI出力を備えたこと、そしてチップセットがSerial ATAインタフェースを標準でサポートしたことなどが挙げられる。

 TH40/DのCPUは、Atom Z600シリーズの現行最上位モデルであるAtom Z670を採用している。動作クロック1.5GHzのシングルコアCPUで、Hyper-Threadingにより2スレッドの同時実行が可能だ。512Kバイトの2次キャッシュを搭載している。45ナノメートルプロセスルールで製造され、TDP(熱設計電力)は3ワット、チップセットのIntel SM35 Expressと合わせてもわずか3.75ワットにおさまる。ちなみに、Atom Z520とUS15Wの組み合わせではTDPが4.7ワット(CPU 2.2ワット+チップセット 2.5ワット)だった。

 Atom Z670内蔵のグラフィクスコアであるIntel GMA 600は、DirectX 9世代でコアクロックが400MHzだ。前述したように1080pのH.264およびVC-1のハードウェアデコードに対応している。

 試しにYouTubeで480p(H.264)の動画を再生したところ、CPU使用率は45〜50%程度だった。AVCHDの動画ファイルは、ほかに何もしなければ再生可能だったが、ほかに何かの作業をするとコマ落ちが激しく再生困難になった。

CPU-Zの情報表示画面。Atom Z670は、開発コード名「Lincroft」の名で呼ばれていたCPUだ。従来のAtom Z500シリーズをベースに、DDR2-800対応メモリコントローラ、DirectX 9世代のグラフィックスコア(Intel GMA 600)を統合している。プロセスルールが32ナノメートルと表示されているが、インテルの公式情報では45ナノメートルだ。最新CPUのため、正しい情報が取得できていないのかもしれない

 メモリはPC2-6400 DIMMに対応し、容量は1Gバイトを搭載する。最低限のメモリ容量だが、1Gバイトのメモリはオンボードで実装され、メモリの増設は行えない。データストレージには1.8インチのHDD(4200rpm)を採用しており、容量は120Gバイトと控えめだ。

 通信機能は、IEEE802.11 b/g/n準拠の無線LANにBluetooth 3.0+HSを搭載する。本体装備の端子類は、SDXC対応SDメモリーカードスロット、2基のUSB 2.0、HDMI出力、ヘッドフォン出力と、薄型軽量のスレートPCとしてはなかなか充実した内容だ。液晶ディスプレイのフレーム部には有効画素数30万画素のWebカメラも内蔵している。

前面には電源、HDD、ワイヤレス通信機能のインジケータを用意(写真=左)。背面にインタフェースは搭載しない(写真=右)

左側面に音量調節ボタン、ヘッドフォン/ライン出力兼用端子、SDXC対応SDメモリーカードスロット、HDMI出力を配置(写真=左)。右側面に電源ボタン、2基のUSB 2.0、ACアダプタ接続用のDC入力を備える(写真=右)。左右側面の手前にはステレオスピーカーを内蔵している

Androidスマートフォンや携帯電話とワイヤレスで接続し、動画や写真をやりとりできる「F-LINK」

 プリインストールOSには32ビット版のWindows 7 Home Premium(SP1)を採用している。オフィススイートのOffice Personal 2010のほか、スマートフォンやケータイとの連携ソフト「F-LINK」、電子辞書ソフトなどもプリインストールしている。

 F-LINKはAndroidスマートフォンや携帯電話とワイヤレスで接続し、写真/動画/活動量データの取り込み、ファイル送受信、ファイル共有が行えるソフトだ。Android搭載スマートフォン側アプリとして「F-LINK for Android」(無料)が用意されている。ExcelやWordなどの任意のデータをPC同士、携帯電話同士でもワイヤレスで送受信が可能だ。対応機種は富士通のサポートページを参照してほしい。


TH40/Dのデバイスマネージャ画面。データストレージは東芝の「MK1235GSL」とある。容量120Gバイト、回転数4200rpmの1.8インチSerial ATA HDDだ

富士通パソコンFMVの直販サイト富士通 WEB MART

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