世紀のコラボによる注目のiPad電子書籍「太陽系 for iPad」マーカス・チャウン×タッチプレス×イトカワ×ビョーク(2/3 ページ)

» 2011年08月30日 17時53分 公開
[林信行,ITmedia]

太陽系にまつわる100の雑学ストーリー集

―― チャウンさんとタッチプレス、糸川洋氏とビョーク、何だか最強のチームのような気がしますが、ここでこのアプリケーションの内容についても触れられればと思います。普通の電子書籍とはどう違うのでしょう。

チャウン 「太陽系」が目指したのは百科事典ではなく、ストーリーを伝えることです。私や版元である英国の科学系出版社、Faber&Faber社(以下、フェイバー)の担当編集者が最も重視したのは、「そもそも、そこに人に伝えるべき面白いストーリーがあるかどうか」です。

太陽がバナナでできていたら?

 最初にこのアプリケーションの話をもらったときは、ひたすら図の説明文を書かされるんじゃないかと、おっかなびっくりでしたが、フェイバーはきちんと本の本質が分かっている出版社で、アプリケーションは、何よりもまず読みものとして楽しむことを重視して作られました。

 具体的には、「はやぶさ」の話や「プールに浮かぶ土星」の話といった100近くの面白い逸話をまず用意して、そこから、それをどのようにインタラクティブに可視化するかという方向でアプリケーションを構築しています。

―― 本当にいろいろと、雑学のようなものも含めて面白い話が多いですね。

チャウン 面白いといってもらえてうれしいです。ああ見えて、難しいことをいかに簡単に伝えるかにはかなり奮闘しているんです。

 例えば、本の中には「もし、太陽がバナナでできていたとしても何も変わらないという一節があります」(実際の記述は「10億×10億×10億トンのバナナを置いてもその物質は太陽と同じくらい高温になり、太陽のようになります」)。

 これは太陽が熱いのは、大量の物質が一カ所に集まり、中心部で引力によってぶつかり合っているためであって、どれだけの量の物質でできているかは重要だが、それがどんな物質かは関係ないということを紹介したものです。ちょっと読者をビックリさせようと、あえてバナナを例に挙げてみたのです。

 こうみえて、非常に親しみが持てる易しい問いかけをしておいて、それを通して非常に奥深い物事を語ろうとがんばっているんです(笑)。

天王星はジョージだった!?

―― チャウンさん自身のお気に入りのストーリーはどれですか?

チャウン うーん、悩みますね。私は人にまつわるちょっと変わった物語が好きなので、天王星(ウラヌス)の話ですかね。ウラヌスは、かつてジョージと呼ばれていたんです。この惑星を発見したドイツ人の音楽家、ウィリアム・ハーシャルは、当時イギリスに住む移民で、イギリスに永住するために英国王の名前をつけようとしたのです。これに猛反対したのがイギリス嫌いのフランスでした。結局、ドイツ人がウラヌスという名前をつける和解案を提案して、今の名前になったのです。

ストーリーに引き込むインタラクティブな仕掛けも魅力

―― そうした面白い逸話に、ついつい触って遊びたくなるインタラクティブな図解がついていることもこのアプリケーションの魅力だと思います。このインタラクティブなアニメーションでお気に入りはありますか?

チャウン インタラクティブの点では、やはりなんといっても「太陽系儀」という画面が見ものです。開発を手掛けたタッチプレスの人たちがどんな魔法を使ったのか知りませんが、太陽系を自在に回転させたり、惑星にズームしたりといった操作が本当に心地よく、驚いています。もし、私が10才の時に、これを見ていたらビックリしてブっ飛んでいたでしょうね。

―― 画面下にある索引機能も非常に面白いアイディアですよね。これはチャウンさんの発案なんですか?

チャウン 画面下に表示されている太陽系の絵の上でロケットの形をしたスライダーを動かすと、物語を切り替えられる、という機能ですね。こうしたインタラクティブな機能は、開発スタッフ全員で話し合って決めたので、どこが誰の発案だったかはなかなか思い出せません(笑)。でも、残念ながら私の発案じゃないです。

 アプリケーションでは、これに加えて通常の索引も用意されていますし、先ほどの「太陽系儀」からも、惑星なり衛星をタップすることで物語を呼び出すことができます。面白いストーリーを発見するための仕掛けがいくつも用意されているんです。こうした工夫はたいていタッチプレスのスタッフによる発案です。

ロケットの形をしたスライダーで物語を切り替える索引機能もユニークだ

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