プリントエンジンの仕様は先代の「EP-803A」から継承する。インクセットはシアン、ライトシアン、マゼンタ、ライトマゼンタ、イエロー、ブラックの6色構成だ。2色のライトインクを含めて全色染料インクを採用し、特に光沢系の写真用紙へのカラー印刷を得意とする。半面、普通紙へのシャープな印字という点では顔料インク搭載機より少し不利といえる。
インクカートリッジは各色独立タイプで、既存の「IC6CL50」または「IC6CL51」(小容量タイプ)が利用できる。プリントヘッドも仕様の変更はなく、各色とも180ノズルを備えている。印刷速度の公称値にも変更はなく、L判写真用紙(写真用紙<光沢>)1枚で14秒とされている(印刷速度の測定結果は後述)。
A4対応のスキャナは、スキャンエンジンの読み取り部にCIS方式を採用している。解像度は主走査が2400dpi、副走査が4800dpiだ。読み取り階調はRGB各色16ビット入力、8ビット出力に対応する。速度、画質とも不満はないのだが、原稿台の掘りが浅いので、原稿の座りが少々悪いことがあった。

ボディの上部を持ち上げると、右側に6色独立式のインクカートリッジが現れる(写真=左)。プリントヘッドに伸びたチューブでインクを搬送するオフキャリッジ機構だ。スキャナはCISセンサー搭載のシンプルな作り(写真=右)複合機は多彩な機能を詰め込んでいるため、操作が煩雑になりがちだが、EP-804ARには工夫が見られる。
2.5型の液晶モニタとLED付きのタッチセンサー式ボタンが並ぶ操作パネルは従来機と同様、「カンタンLEDナビ」を搭載する。これは操作手順に合わせて、現状で使用できるボタンのみが発光する仕組みだ。キヤノンのPIXUSブランドもこれと似た機能を採り入れていることからも、その便利さが分かるだろう。
新機能としては「先読みガイド」に注目したい。ユーザーのアクションに応じて、メニュー表示を必要なものだけに絞り込むという機能だ。例えば、メモリカードを入れた場合には写真印刷、スキャン、塗り絵印刷など、メモリカードを使用するメニューのみに絞り込まれる。また、原稿カバーを開いた場合にはコピー、スキャンなどスキャナを用いる機能が表示される。地味な機能ではあるが、実際に使ってみるとかなり有用だ。
操作性を直接向上させる機能ではないが、「自動用紙サイズチェック」や「原稿取り忘れアラート」といった機能も用意する。
「自動用紙サイズチェック」は、印刷前に用紙のサイズをチェックし、設定した用紙サイズとトレイにセットされた用紙サイズが異なる場合には警告を出しつつ、用紙を白紙のまま出力する機能だ。これにより、用紙のセットミスでインクや用紙を浪費せずに済むだろう。
「原稿取り忘れアラート」はコピーやスキャンの後に原稿カバーを開けていない場合、1分後に原稿台から原稿を取り除くようアラートを発するというものだ。後になって原稿が紛失したと慌てることがない。実際、筆者もこの原稿を執筆している間に一度ならず世話になった。まさに「いたれり、つくせり」の設計だ。


印刷設定と給紙トレイにセットされている用紙が違う場合、警告が出て、用紙は白紙のまま排出される(写真=左)。コピーやスキャンの後に原稿カバーを開けずに放置していると、1分後に原稿取り忘れのアラートが発せられる(写真=中央)。こうした便利機能は個別にオン/オフの設定も行える(写真=右)さらに、液晶メニューのグラフィカルなアイコン、グリーンに光るLEDボタン、無段階で任意のチルト角度に調整できる「フリーストップパネルチルト」を採用するなど、視認性や使い勝手の向上に努めている。


用途別に8つのアイコンを並べたメインメニューは、メニューの階層が少し深くなっている場合もあるが、1ページにまとまっているので一覧性が高い(写真=左)。小顔や美白補正など、女性にうれしい印刷機能「ナチュラルフェイス」は健在だ(写真=中央)。写真を合成したオリジナル便せんなどが作れる「ノートけい線印刷」、メモリカード内の写真やスキャンした画像を下絵にできる「塗り絵印刷」機能も持つ(写真=右)

メモリカード内に保存された写真のダイレクトプリントは、1枚表示に加えて、9枚のサムネイル表示に対応する(写真=左/中央)。スキャンした画像はメモリカードに直接保存できるほか、接続されたPCにPDF形式で保存したり、Eメールに添付することも可能だ(写真=右)Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.