それでは、EP-804ARにおけるプリントおよびスキャンの性能を見ていこう。まずは画質だが、写真プリント、カラーコピー、スキャンの3種のサンプルを掲載した。
まず写真プリントでは、最高品位の設定でインクジェット用の最上級写真用紙「写真用紙クリスピア<高光沢>」に5枚の写真を印刷した。以下の画像は印刷した写真をスキャンしたものだ。これらは画質の特徴を把握するための参考で、色再現性は正確さを欠くため、評価は本文を確認してほしい。
暗部の描写は見事で、黒つぶれは見られない。それでいて黒浮きすることはなく、微妙な階調を残している。無論、細部の再現も文句のないレベルだ。
木々の細かな陰影がしっかりと再現できている。カラーバランスを保つのが難しいサンプルだけに、全体にやや緑がかぶった。シャドーの深い部分はつぶれているが、データ上でも微妙な差しかないので無理もない。空の階調は一応推移しているが、のっぺりとした感は否めない。
シャドーにマゼンタがかぶっており、印象はいまひとつだ。雲の微妙な調子や下生えの細かな部分がしっかりと再現できているだけに残念なところ。
子供の血色がやや悪いが、オブジェクトの色味などは実物に近い。敷物や背景の抜けるような白さは保ちつつ、淡い階調も残せている。一方のシャドーについても、タキシードの硬軟混ざった階調が再現できており、いうことはない。
非常に鮮明な発色ながら、階調を損ねていないため、違和感がない。果物のみずみずしさ、金属やグラスの硬質感が見事に再現できている。トランプやボトルラベル、色鉛筆のケースなど細部の描写も問題がない。
カラーコピーでは普通紙に対して、デフォルトの設定と高速設定の2段階で印刷したサンプルを用意した。
シャドーはつぶれているが、染料インク機に普通紙でこれだけの品位が出せれば文句はない。グラデーションバーさえもかなりの部分まで再現されている。トランプやラベルの文字もある程度までは判読できる。
高速印刷の弊害か、なぜか一様に色が乗ってしまった。またハイライトとシャドーは飛び、つぶれが見られる。標準モードでも十分に高速なので、合わない原稿では素直に標準設定で印刷するのがベターだろう。
印刷物のスキャンでは写真を600dpiで取り込んだデータを掲載している。スキャンドライバの設定はすべての補正機能をオフにしている。
グリーンがわずかに足りていない印象だが、この程度であればドライバの調整で容易に対処できる。シャドーが浮き気味なので、そちらも合わせて調整すれば良好な結果が得られる。
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