世界の船乗りが求める「ナナオの品質」──「SEA JAPAN」リポート勝手に連載!「海で使うIT」(1/2 ページ)

» 2012年04月20日 19時27分 公開
[長浜和也ITmedia]

可能性を求めてナナオは海に出る!

 「SEA JAPAN」は、本船向けの製品情報を日本の関係者に向けて紹介する展示イベントだ。エンジンからバルブ、ネジ、海水から真水を作る造水器、そして、最近の環境問題を意識して、バラストに使う海水(おもり。船に積んだ荷物を降ろして軽くなると安定が悪くなるので、おもりを積んでバランスをとる。おもりには扱いが容易で入手が簡単な海水を用いるが、積み込んだ海水を別な場所で捨てることで、捨てた海水に生息している生物が、その海の生態系を破壊する)の最新ろ過技術など、造船や船の運用に関連する新技術を紹介している。

 「ええー、なんでそんなイベントの記事をPC USERに掲載するの?」と思うかもしれないが、これは、決して担当記者の公私混同ではない。システム化が進む舶用機器や衛星通信機器には、PC USERでもなじみのあるメーカーが参入している。その1つが、ディスプレイメーカーのナナオだ。

 電子海図の普及によって、机においた紙の海図をディバイダと三角定規で線を引きながら航路を引くことはほとんどなくなり(ただ、バックアップとして、紙の海図を使う航海に対応できるようにはしてあるが)、ブリッジに並んだディスプレイに表示した電子海図を航海に利用するのが通常となっている。電子海図は、自船位置の表示や航路設定に使うだけでなく、AISによって取得したほかの船の情報表示や、レーダー表示など、総合的な航海情報デバイスとして位置づけられている。ディスプレイは、ブリッジだけでなく、機関室のコントロールコンソールや無線室のステータス表示など、船の航海や運用に関するあらゆる情報の表示デバイスとしても利用されている。

 そうなると、船を預かる船乗りや船の持ち主である海運会社としては、視認性に優れ、かつ、高い信頼性を持つディスプレイを求めるようになる。ナナオは、PC用をはじめとして、業務用ディスプレイメーカーとして、日本のみならず、世界でも高い評価を得ている。そういう国の造船会社から、「ナナオのディスプレイを船舶でも利用したい」という要望が多く聞かれるようになり、ナナオは舶用ディスプレイに参入することになった。その第1弾として2012年の1月から出荷を開始しているのが、「DuraVision FDU2101」と「DuraVisoin FDU2101T」だ。どちらも21.3型ワイドの液晶ディスプレイで、そのディスプレイとしての仕様はほぼ共通する。FDU2101Tでタッチパネルを搭載するのが数少ない相違点だ。

ナナオが舶用ディスプレイとして投入した「DuraVisoin FDU2101」は(写真=左)、解像度が1600×1200ドット、コントラスト比が1000:1、最大輝度が245カンデラ/平方メートルとなる(写真=中央)。発熱を少なくしたのも特徴で、冷却は底面から外気を取り入れ、内部の熱で温まった空気が上から抜けていくパッシブエアフローを採用する。船上や機関室に多い塩分や油分の付着による故障を防ぐため、基板と実装したチップを樹脂でコーティングする(写真=右)

 DuraVision FDU2101とDuraVision FDU2101Tで重要なのは、世界の船に搭載してもらうため、各国で制定している舶用機器の耐久基準などを示した船級規格をクリアしなければならないことだ。日本の日本海事協会以外に、主な船級規格を策定する団体としてイギリスのロイド船級協会やノルウェーのデット・ノルスケ・ベリタス、アメリカのアメリカ船級協会などがあるが、海外、特にデット・ノルスケ・ベリタスの基準はレベルが高く、「これをクリアできれば、すべてがクリアできる」とまで、舶用機器メーカーがいうほどだ。この船級規格をクリアするため、ナナオは自社工場にこの基準を満たすテスト施設を設けて、船級規格をクリアする製品品質と耐久性能を実現した。

 出荷しているFDU2101とFDU2101Tは、主に機関室の制御ルームでの利用を想定したモデルで、SEA JAPANでは、ブリッジで使うモデルを参考展示していた。ブリッジ利用を想定したモデルは、25.54型ワイドで解像度1920×1200ドットとサイズを大きくしたほか、日光が当たる比較的明るいブリッジで利用することを考慮して、反射を抑えるために、ディスプレイ面とパネル面の空間に透明な樹脂を充填する「グラスボンディング」処理を施している。製品の投入は2013年になる見込みだという。

ブリッジ設置用のディスプレイは参考展示で2013年の出荷を目指している(写真=左)。ブリッジ利用を想定してディスプレイサイズを25.54型と大きくしたほか、「グラスボンディング」処理でコントラストと強度を向上している(写真=中央、右)

 ナナオ 営業1部産業機器営業課エンジニアリングソリューショングループの吉野誠氏は、舶用機器では後発となるナナオの優位性として、先行する北欧メーカーと比べて、高く評価されている品質とサポート体制の充実度、そして、10年という長期間にわたって同じ製品を提供し続ける保証を挙げる。舶用機器の分野でも、日本製品に対する信頼性は高いので、その期待を裏切らないサポートが重要だとナナオは考えている。

ほかにも、PCとネットワークで接続して利用するネットワークモニターキットも展示していた。有線LAN、無線LANに対応して、12台のPCと6台のディスプレイを接続できる。ディスプレイ側にUSBでキーボードを接続した場合、そのキーボードでPCを切り替える機能も備える。船長や上級職員の個室などに設置して航海情報を表示する用途を想定している

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