ソニー初のUltrabookはやっぱり気になる――「VAIO T」特大レビュー(後編)店頭/直販モデルを4台まとめて集中テスト(4/5 ページ)

» 2012年06月19日 08時45分 公開

3D描画やゲーム系ベンチでCPU統合グラフィックスの進化を確認

・3DMark 11、3DMark Vantage、3DMark06、CINEBENCH R11

 グラフィックスのパフォーマンスをより詳しく調べるため、総合的な3D描画性能を計測する3DMark 11、3DMark Vantage、3DMark06も実行した。また、OpenGLとCPUの性能を計測するCINEBENCH R11.5も走らせた。

左が3DMark 11 v1.0.3、右が3DMark Vantage v1.2.0のスコア

左が3DMark06 v1.2.0、右がCINEBENCH R11.529のスコア

 今回テストした4台はすべて、グラフィックス機能にCPU統合のIntel HD Graphics 4000を利用しているが、CPUグレードとメモリの差もあり、直販モデルのほうが全体的に良好な結果となった。総合スコアは3DMark 11と3DMark Vantageで約1.2倍、3DMark06で約1.5倍も直販モデルがリードしている。

 もっとも、グラフィックスにIntel HD Graphics 3000を用いていた第2世代Core搭載のUltrabookでは、3DMark VantageのEntry設定で7000〜8000程度、Performance設定で1500〜1800程度のスコアだったため、店頭モデルでも着実に進化したといえる。

 一方、4台とも2コア/4スレッド対応の第3世代Coreを搭載しているため、キャッシュ容量の違いはあるものの、CINEBENCH R11.5のCPUスコアに大きな差は生じなかった。

・MHFベンチマーク【絆】/【大討伐】、ストリートファイターIV

 ゲーム系ベンチマークテストは、モンスターハンター フロンティア オンライン ベンチマークソフト【絆】および【大討伐】、ストリートファイターIVベンチマークを実行した。

左からMHFベンチマーク【絆】、MHFベンチマーク【大討伐】、ストリートファイターIVベンチマークのテスト結果

 テスト結果は3Dグラフィックス系ベンチマークテストと同様、店頭モデルと直販モデルで差が付いた。MHFベンチマークの結果は、直販モデルでまずまず(快適にプレイするには少々物足りない)だが、店頭モデルではプレイするのが厳しい結果だ。ストリートファイターIVでは、直販モデルが標準的な設定でランクB(快適にプレイ可能)を獲得しているが、店頭モデルはランクDと低かった。

 いずれにしても、Intel HD Graphics 4000は同3000からグラフィックス性能が大きく向上したが、まだまだ描画負荷が低い3Dゲームをどうにか動かせるエントリーGPUレベルといったところだ。

実際のバッテリー駆動時間は?

 バッテリー駆動時間の公称値は、11.6型/13.3型の店頭モデルで約6.5時間、11.6型/13.3型の直販モデルで約6.5〜約7.5時間(構成によって異なる)とされている。ここでは実際にWebブラウズにおけるバッテリー駆動時間を計測してみた。

 計測に用いたソフトはBBench 1.01(海人氏作)だ。BBenchは10秒ごとにキーボード入力、60秒ごとに無線LANによるインターネット巡回(10サイト)を行う設定とした。Windows 7の電源プランは、標準の「バランス」(液晶の輝度40%)と「省電力」(液晶の輝度20%)の2パターンでテストしている。いずれも満充電の状態からテストを開始し、バッテリー残量がなくなり、シャットダウンするまでの時間を計測した。

BBench 1.01で計測したバッテリー駆動時間

 テスト結果は、画面サイズの小さい11.6型モデルが13.3型モデルより有利、SSDのみ内蔵した直販モデルがHDD+キャッシュ用SSD構成の店頭モデルより有利といった傾向がみられるが、それほど大きな差は開いていない。直販モデルは低消費電力のSSDを備える一方、メモリやCPUといったスペックが店頭モデルより高いこともあり、システム全体としての消費電力は近づいたものと思われる。

 標準のバランス設定において、最もバッテリー駆動時間が短かった13.3型店頭モデルは5時間58分、それに続く11.6型店頭モデルは6時間13分、最も長かった11.6型/13.3型直販モデルでは6時間22分という結果が出ており、Ultrabookとしてのスタミナは十分満足できる。モバイルシーンでもかなり余裕を持って使えるだろう。欲を言えば、せっかくバッテリーをユーザーが着脱できる構造なので、オプションの交換用バッテリーを販売してほしいところだ。

 なお、VAIO Tのバッテリー駆動時間は複数の計測であまり安定しなかった。計測のため、各設定でBBenchを3回以上実行したが、低負荷時でも内蔵ファンが回転し続けたり、ファンの回転数が何度も切り替わったりと、環境に応じてファンコントロールをかなりダイナミックに行う印象だ。

動作中のボディ表面温度を調べる

 薄型ボディのUltrabookでは、ボディの放熱も重要なチェックポイントだ。4台のVAIO Tを樹脂製のデスクに離して設置し、ボディ各部で最も高温になる場所の表面温度を放射温度計で計測した。

 計測したのは、YouTubeでSD動画を30分間再生し続けた状態(低負荷)と、3DMark Vantage(Entry設定)を30分間実行し続けた状態(高負荷)の2パターンだ。いずれもACアダプタを接続し、電源プランはバランスに設定、液晶の輝度は最大、無線LANはオンに統一した。テスト時の室温は約24度だ。

YouTubeでSD動画を30分間再生し続けた状態(低負荷)でのボディ表面温度(グラフ=左)。3DMark Vantage(Entry設定)を30分間実行し続けた状態(高負荷)でのボディ表面温度(グラフ=右)

 テスト結果は4台でほとんど変わらなかった。フットプリントが広く、放熱設計に多少余裕がある13.3型モデルのほうが高負荷時でも比較的高温になりにくい傾向はみられたが、大きな差ではない。

 低負荷時でも高負荷時でも手を常時置いておくパームレストやタッチパッドは発熱しにくいため、不快な熱を感じなかった。グラフ上では高めの温度となっているキーボードについては、上部の中央付近(「5」〜「7」キーの周辺)が高温なだけで、ほかの多くのキーは30度台前半とクールに保たれている。ボディ表面で最も高温になるのは底面の排気口付近だが、それでも高負荷時で40度未満におさまっている(いずれも室温24度での計測値)。

 VAIO Tは薄さを極限まで追求した設計ではなく、排気口を遮へい物がない左側面に配置しているため、内部の空冷に無理がないのだろう(VAIO TやVAIO Sは排気口を液晶ディスプレイのヒンジ部に配置しており、液晶ディスプレイの下部がかぶさっているため、排気が干渉しがちだ)。今回のテストでは、ボディの放熱がしっかり行われていた。

負荷を変えながら騒音レベルを計測

 発熱に関係する動作時のファンノイズによる騒音レベルも調べてみた。本体を樹脂製のデスクに置き、騒音計のマイクを本体の手前5センチと近い位置に設置。室温は約24度、環境騒音は約29デシベル(A)で、周囲の雑音がほとんど聞こえない静かな環境でテストしている。

 計測したのは、アイドル状態で30分間放置した状態、YouTubeでSD動画を30分間再生し続けた再生時、3DMark Vantage CPU Testを実行した状態、3DMark Vantage Graphics Testを実行した状態の4パターンだ。

動作中の騒音レベル

 テスト結果は、システムの負荷に応じて、ファンノイズが次第に大きくなっている。ただし、アイドル時でもファンはかなり回る印象で、通常はエアコンなどが動作している室内で気にならないレベル(31〜32デシベル程度)だが、たまにアイドル時でもファンが高速回転する場合もあり(35デシベル程度)、放熱のために積極的にファンを回す設計のようだ(いずれも環境騒音29デシベルでの実測値)。

 YouTubeでのSD動画視聴くらいの低い負荷でも数分間続けると、ファンの回転数は変動するので、回転数が上がったときには少々気になった。3DMark Vantage実行中のようにグラフィックス機能を酷使するようなシーンではファンが高速回転するが、これは仕方がないところだ。

 VAIO Tはボディの表面が高温になりにくい半面、負荷がかかるとファンノイズはそれなりに大きくなる。Ultrabookのような薄型ボディは内部に熱がこもりやすく、ファンの回転を抑えて静かにしても、ボディが高温になると、パフォーマンスや使用感に悪影響が出てくるため、静音性より放熱を重視したバランスなのだろう。

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