ソニー初のUltrabookはやっぱり気になる――「VAIO T」特大レビュー(後編)店頭/直販モデルを4台まとめて集中テスト(1/5 ページ)

» 2012年06月19日 08時45分 公開

VAIO初のUltrabookを徹底的にテストする

 ソニー初のUltrabook「VAIO T」が2012年6月9日に発売された。VAIOのモバイルノートPCラインアップでは、最上位の「VAIO Z」、光学ドライブ内蔵型の「VAIO S」より下位に位置し、エントリークラス寄りのボリュームゾーンを狙った製品だ。

ソニー初のUltrabook「VAIO T」。画面サイズは11.6型と13.3型から選べる。フルフラットなボディは、天面にヘアライン加工が施されたアルミニウムを採用し、光の反射によって違った表情が楽しめる

 画面サイズは11.6型と13.3型が用意され、いずれも厚さ17.8ミリのフルフラットなボディに仕上げている。基本スペックは、Ivy Bridgeこと第3世代Coreプロセッサー・ファミリーの中から、TDP(熱設計電力)が17ワットと低電圧のモデルを採用。Intel Smart Response Technology(ISRT)によるキャッシュ用SSDとHDDのハイブリッドストレージ(直販モデルはSSDのみの構成も可能)を用いることで、レスポンスのよさと大容量ストレージの両立を図った。

 重量は11.6型モデルで約1.32〜約1.42キロ、13.3型で約1.50〜約1.60キロだ。薄型軽量ボディを得意としてきたVAIOのモバイルノートとしては重く、他社のUltrabookと比較しても重いほうだが、アルミとマグネシウム、強化樹脂を組み合わせたボディの剛性感は高い。国内大手メーカーのUltrabookでは、抑えめの価格設定もポイントだ。

VAIO Tの11.6型ワイド液晶搭載モデル(写真=左)。VAIO Tの13.3型ワイド液晶搭載モデル(写真=中央)。画面サイズやキーボードのレイアウトが一部異なるが、基本的なボディデザインは11.6型と13.3型で共通化されている(写真=右)。店頭モデルと直販モデルで外観に違いはない

 先に掲載したレビューの前編では、製品ラインアップにおけるVAIO Tの位置付けをはじめ、ボディデザイン、基本スペック、通信機能、拡張性、液晶ディスプレイの品質、キーボードやタッチパッドの使い勝手を調べた。

 今回のレビュー後編では、起動や復帰のレスポンス、パフォーマンス、バッテリー駆動時間、動作中の発熱や騒音といった、Ultrabookに求められる要素をじっくりテストしていく。

 テストしたのは、店頭販売向けの標準仕様モデルと、ソニーストア直販のハイスペックなVAIOオーナメードモデルの両方だ。11.6型の店頭モデル「SVT11119FJS」、11.6型の直販モデル「SVT1111AJ」、13.3型の店頭モデル「SVT13119FJS」、13.3型の直販モデル「SVT1311AJ」の計4台を横並びで比較する。

 各テストではUltrabookとして標準的なスペックの店頭モデルと、ハイエンドの構成となる直販モデルでどれほどパフォーマンスに差が出るのかに注目したい。店頭モデルと直販モデルはそれぞれ画面サイズが違う以外、ほとんど同じスペックだ。画面サイズとボディサイズが異なることで、バッテリー駆動時間や発熱、騒音にどのような影響があるのかもチェックしていこう。

11.6型モデル(写真=左)/13.3型モデル(写真=中央)の内蔵バッテリーと付属の小型ACアダプタは共通化されている。バッテリーはコインネジで固定されており、容量は45ワットアワー(11.1ボルト/4050ミリアンペアアワー)だ(写真=右)。付属のACアダプタは、突起部を除くサイズが37(幅)×92(奥行き)×26.5(高さ)ミリ、重量が本体のみで150グラム、電源ケーブルを含めた総重量で202グラム(実測値)とコンパクト

11.6型店頭モデル(写真=左)と13.3型店頭モデル(写真=中央)にて、バッテリーを外し、メモリスロットとHDDのカバーを分離した状態。ネジ止めされたカバーを外すだけで、メモリとHDDに簡単にアクセスできるUltrabookは貴重だ。Intel Smart Response Technology(ISRT)によるキャッシュ用SSDとHDDのハイブリッドストレージ(直販モデルはSSDのみの構成も可能)を採用する(写真=右)。SSDはmSATA仕様、HDDは7ミリ厚の薄型ドライブだ

今回入手したVAIO Tの仕様
分類 11.6型店頭モデル 11.6型直販モデル 13.3型店頭モデル 13.3型直販モデル
製品名 SVT11119FJS SVT1111AJ SVT13119FJS SVT1311AJ
CPU Core i5-3317U(1.7GHz/最大2.6GHz) Core i7-3517U(1.9GHz/最大3.0GHz) Core i5-3317U(1.7GHz/最大2.6GHz) Core i7-3517U(1.9GHz/最大3.0GHz)
チップセット Intel HM77 Express Intel HM77 Express Intel HM77 Express Intel HM77 Express
グラフィックス Intel HD Graphics 4000 Intel HD Graphics 4000 Intel HD Graphics 4000 Intel HD Graphics 4000
液晶(サイズ、解像度) 11.6型ワイド、1366×768ドット 11.6型ワイド、1366×768ドット 13.3型ワイド、1366×768ドット 13.3型ワイド、1366×768ドット
メモリ PC3L-10600 4Gバイト(オンボード) PC3L-10600 8Gバイト(オンボード4Gバイト+4Gバイトモジュール) PC3L-10600 4Gバイト(オンボード) PC3L-10600 8Gバイト(オンボード4Gバイト+4Gバイトモジュール)
データストレージ 500GバイトHDD(5400rpm)+32GバイトSSD(ISRT) 512GバイトSSD 500GバイトHDD(5400rpm)+32GバイトSSD(ISRT) 512GバイトSSD
OS 64ビット版Windows 7 Home Premium(SP1) 64ビット版Windows 7 Home Premium(SP1) 64ビット版Windows 7 Home Premium(SP1) 64ビット版Windows 7 Home Premium(SP1)
オフィススイート Microsoft Office Home & Business 2010 Microsoft Office Home & Business 2010
バッテリー駆動時間 約6.5時間 約6.5〜約7.5時間 約6.5時間 約6.5〜約7.5時間
本体サイズ 297(幅)×214.5(奥行き)×17.8(高さ)ミリ 297(幅)×214.5(奥行き)×17.8(高さ)ミリ 323(幅)×226(奥行き)×17.8(高さ)ミリ 323(幅)×226(奥行き)×17.8(高さ)ミリ
重量(公称値) 約1.42キロ 約1.32〜約1.42キロ 約1.6キロ 約1.50〜約1.60キロ
重量(実測) 1.394キロ 1.346キロ 1.539キロ 1.503キロ
価格 11万円前後(量販店の実売価格) 17万8800円(ソニーストア直販価格) 12万円前後(量販店の実売価格) 18万8800円(ソニーストア直販価格)

11.6型店頭モデル「SVT11119FJS」のデバイスマネージャ画面。CPUは2コア/4スレッド対応のCore i5-3317U(1.7GHz/最大2.6GHz、3次キャッシュ3Mバイト)、メモリは4Gバイトオンボード(DDR3L-1333)、ストレージは500GバイトHDD(5400rpm)+32GバイトSSD(ISRT)を採用する。SSDはSamsungのMZMPC032HBCD、HDDはHGSTのZ5K500-500を搭載していた。IEEE802.11b/g/nの無線LAN(最大送受信150Mbps)アダプタはAtheros AR9485WB-EG、Bluetooth 4.0+HSアダプタはAtheros AR3012とある

11.6型直販モデル「SVT1111AJ」のデバイスマネージャ画面。CPUは2コア/4スレッド対応のCore i7-3517U(1.9GHz/最大3.0GHz、3次キャッシュ4Mバイト)、メモリは8Gバイト(オンボード4Gバイト+4Gバイト/DDR3L-1333)、ストレージは512GバイトSSDを採用する。SSDはTOSHIBA THNSNS512GCSPを搭載していた

13.3型店頭モデル「SVT13119FJS」のデバイスマネージャ画面。画面サイズ以外の主な仕様は、11.6型店頭モデルと同様だ

13.3型直販モデル「SVT1311AJ」のデバイスマネージャ画面。画面サイズ以外の主な仕様は、11.6型直販モデルと同様だ。ただし、こちらの512GバイトSSDはSamsung MZ7PC512HAGH-000だった

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