ソニー初のUltrabook「VAIO T」が2012年6月9日に発売された。VAIOのモバイルノートPCラインアップでは、最上位の「VAIO Z」、光学ドライブ内蔵型の「VAIO S」より下位に位置し、エントリークラス寄りのボリュームゾーンを狙った製品だ。
ソニー初のUltrabook「VAIO T」。画面サイズは11.6型と13.3型から選べる。フルフラットなボディは、天面にヘアライン加工が施されたアルミニウムを採用し、光の反射によって違った表情が楽しめる画面サイズは11.6型と13.3型が用意され、いずれも厚さ17.8ミリのフルフラットなボディに仕上げている。基本スペックは、Ivy Bridgeこと第3世代Coreプロセッサー・ファミリーの中から、TDP(熱設計電力)が17ワットと低電圧のモデルを採用。Intel Smart Response Technology(ISRT)によるキャッシュ用SSDとHDDのハイブリッドストレージ(直販モデルはSSDのみの構成も可能)を用いることで、レスポンスのよさと大容量ストレージの両立を図った。
重量は11.6型モデルで約1.32〜約1.42キロ、13.3型で約1.50〜約1.60キロだ。薄型軽量ボディを得意としてきたVAIOのモバイルノートとしては重く、他社のUltrabookと比較しても重いほうだが、アルミとマグネシウム、強化樹脂を組み合わせたボディの剛性感は高い。国内大手メーカーのUltrabookでは、抑えめの価格設定もポイントだ。


VAIO Tの11.6型ワイド液晶搭載モデル(写真=左)。VAIO Tの13.3型ワイド液晶搭載モデル(写真=中央)。画面サイズやキーボードのレイアウトが一部異なるが、基本的なボディデザインは11.6型と13.3型で共通化されている(写真=右)。店頭モデルと直販モデルで外観に違いはない先に掲載したレビューの前編では、製品ラインアップにおけるVAIO Tの位置付けをはじめ、ボディデザイン、基本スペック、通信機能、拡張性、液晶ディスプレイの品質、キーボードやタッチパッドの使い勝手を調べた。
今回のレビュー後編では、起動や復帰のレスポンス、パフォーマンス、バッテリー駆動時間、動作中の発熱や騒音といった、Ultrabookに求められる要素をじっくりテストしていく。
テストしたのは、店頭販売向けの標準仕様モデルと、ソニーストア直販のハイスペックなVAIOオーナメードモデルの両方だ。11.6型の店頭モデル「SVT11119FJS」、11.6型の直販モデル「SVT1111AJ」、13.3型の店頭モデル「SVT13119FJS」、13.3型の直販モデル「SVT1311AJ」の計4台を横並びで比較する。
各テストではUltrabookとして標準的なスペックの店頭モデルと、ハイエンドの構成となる直販モデルでどれほどパフォーマンスに差が出るのかに注目したい。店頭モデルと直販モデルはそれぞれ画面サイズが違う以外、ほとんど同じスペックだ。画面サイズとボディサイズが異なることで、バッテリー駆動時間や発熱、騒音にどのような影響があるのかもチェックしていこう。


11.6型モデル(写真=左)/13.3型モデル(写真=中央)の内蔵バッテリーと付属の小型ACアダプタは共通化されている。バッテリーはコインネジで固定されており、容量は45ワットアワー(11.1ボルト/4050ミリアンペアアワー)だ(写真=右)。付属のACアダプタは、突起部を除くサイズが37(幅)×92(奥行き)×26.5(高さ)ミリ、重量が本体のみで150グラム、電源ケーブルを含めた総重量で202グラム(実測値)とコンパクト

11.6型店頭モデル(写真=左)と13.3型店頭モデル(写真=中央)にて、バッテリーを外し、メモリスロットとHDDのカバーを分離した状態。ネジ止めされたカバーを外すだけで、メモリとHDDに簡単にアクセスできるUltrabookは貴重だ。Intel Smart Response Technology(ISRT)によるキャッシュ用SSDとHDDのハイブリッドストレージ(直販モデルはSSDのみの構成も可能)を採用する(写真=右)。SSDはmSATA仕様、HDDは7ミリ厚の薄型ドライブだ| 今回入手したVAIO Tの仕様 | ||||
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| 分類 | 11.6型店頭モデル | 11.6型直販モデル | 13.3型店頭モデル | 13.3型直販モデル |
| 製品名 | SVT11119FJS | SVT1111AJ | SVT13119FJS | SVT1311AJ |
| CPU | Core i5-3317U(1.7GHz/最大2.6GHz) | Core i7-3517U(1.9GHz/最大3.0GHz) | Core i5-3317U(1.7GHz/最大2.6GHz) | Core i7-3517U(1.9GHz/最大3.0GHz) |
| チップセット | Intel HM77 Express | Intel HM77 Express | Intel HM77 Express | Intel HM77 Express |
| グラフィックス | Intel HD Graphics 4000 | Intel HD Graphics 4000 | Intel HD Graphics 4000 | Intel HD Graphics 4000 |
| 液晶(サイズ、解像度) | 11.6型ワイド、1366×768ドット | 11.6型ワイド、1366×768ドット | 13.3型ワイド、1366×768ドット | 13.3型ワイド、1366×768ドット |
| メモリ | PC3L-10600 4Gバイト(オンボード) | PC3L-10600 8Gバイト(オンボード4Gバイト+4Gバイトモジュール) | PC3L-10600 4Gバイト(オンボード) | PC3L-10600 8Gバイト(オンボード4Gバイト+4Gバイトモジュール) |
| データストレージ | 500GバイトHDD(5400rpm)+32GバイトSSD(ISRT) | 512GバイトSSD | 500GバイトHDD(5400rpm)+32GバイトSSD(ISRT) | 512GバイトSSD |
| OS | 64ビット版Windows 7 Home Premium(SP1) | 64ビット版Windows 7 Home Premium(SP1) | 64ビット版Windows 7 Home Premium(SP1) | 64ビット版Windows 7 Home Premium(SP1) |
| オフィススイート | Microsoft Office Home & Business 2010 | − | Microsoft Office Home & Business 2010 | − |
| バッテリー駆動時間 | 約6.5時間 | 約6.5〜約7.5時間 | 約6.5時間 | 約6.5〜約7.5時間 |
| 本体サイズ | 297(幅)×214.5(奥行き)×17.8(高さ)ミリ | 297(幅)×214.5(奥行き)×17.8(高さ)ミリ | 323(幅)×226(奥行き)×17.8(高さ)ミリ | 323(幅)×226(奥行き)×17.8(高さ)ミリ |
| 重量(公称値) | 約1.42キロ | 約1.32〜約1.42キロ | 約1.6キロ | 約1.50〜約1.60キロ |
| 重量(実測) | 1.394キロ | 1.346キロ | 1.539キロ | 1.503キロ |
| 価格 | 11万円前後(量販店の実売価格) | 17万8800円(ソニーストア直販価格) | 12万円前後(量販店の実売価格) | 18万8800円(ソニーストア直販価格) |


11.6型店頭モデル「SVT11119FJS」のデバイスマネージャ画面。CPUは2コア/4スレッド対応のCore i5-3317U(1.7GHz/最大2.6GHz、3次キャッシュ3Mバイト)、メモリは4Gバイトオンボード(DDR3L-1333)、ストレージは500GバイトHDD(5400rpm)+32GバイトSSD(ISRT)を採用する。SSDはSamsungのMZMPC032HBCD、HDDはHGSTのZ5K500-500を搭載していた。IEEE802.11b/g/nの無線LAN(最大送受信150Mbps)アダプタはAtheros AR9485WB-EG、Bluetooth 4.0+HSアダプタはAtheros AR3012とある

11.6型直販モデル「SVT1111AJ」のデバイスマネージャ画面。CPUは2コア/4スレッド対応のCore i7-3517U(1.9GHz/最大3.0GHz、3次キャッシュ4Mバイト)、メモリは8Gバイト(オンボード4Gバイト+4Gバイト/DDR3L-1333)、ストレージは512GバイトSSDを採用する。SSDはTOSHIBA THNSNS512GCSPを搭載していた

13.3型直販モデル「SVT1311AJ」のデバイスマネージャ画面。画面サイズ以外の主な仕様は、11.6型直販モデルと同様だ。ただし、こちらの512GバイトSSDはSamsung MZ7PC512HAGH-000だったCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.