セキュリティ性の向上はもちろん、モバイル利用でこそ便利なのが「指紋認証センサー」だ。薄型・軽量化を推進するUltrabookにおいては採用例が少ないのだが、筆者からするとモバイルで使うのにそれを省いてどうするの? と思うほど重視する機能である。
というわけで「dynabook R632」は標準で指紋認証センサーがきちんと備わっている。まずWindowsのログオン認証に利用できるので、複雑なWindowsパスワードを設定しておいても0.5秒もあれば認証が終わり、素早くデスクトップにアクセスできる。超ラクだ。
こちら、パスワードそのものは文字列が多少長くても、自分で設定したものならおおむね覚えているだろうし、入力にもさほど手間はかからないかもしれない。ただ、タイプミスがあると(自分のミスなのに)イラっとするし、それだけムダな時間が発生する。そして、駅や公園などでヒザに乗せ、片手で本体を押さえながら使う──ようなシーンにおいては、入力作業そのものが苦痛だ。そうといって、この時代にセキュリティ対策の初歩であるWindowsパスワードロックさえなしにモバイル環境で使うなんて……筆者は怖くてとてもできないが、みなさんもそうだろう。
もちろんスリープなどからの復帰も認証作業は必要になるが、指紋認証センサーならば面倒はほぼ感じない。面倒と思わせない。これは人的ミスが多い情報漏えい事例において、セキュリティ意識の向上に確実につながる手段だ。会議や喫茶店でPCに向かいながらちょっと思考するといった、ごく短時間PCを使わない時に勝手にスリープ状態になるとしても復帰に手間がかからなければよいし、それだけバッテリー動作時間の延長にもつながるとポジティブに考えればよいではないか。
ちなみに、本機の指紋認証センサーはBIOS起動の認証にも利用でき、「シングルサインオン機能」により1度の指紋認証でWindowsログオンまで一気に処理してくれる。意外と使っている人は少ないと思うが、利便性とセキュリティ性を両立したい人は超便利なのでぜひ活用してほしい。

BIOSパスワード認証でも指紋認証センサーを利用できる。シングルサインオン機能を使うと、BIOSとWindows、2つの異なるパスワード入力を1度の指紋認証で済ませてしまえるのが超便利(画像=左)。サードパーティ製パスワード管理ソフトでも指紋認証が行えた。専用ソフトだけでの利用に止まらない点も便利だ(画像=右)このほか、指紋認証センサーを活用する「指紋認証ユーティリティ」において、ファイルの暗号化解除やWebブラウザ(Internet Explorer、Firefox、Chrome)で使うパスワードマネージャーのマスターパスワード認証用としても活用できる。こちら、サードパーティ製パスワードマネージャーとしてAndroidスマートフォン/タブレット、iPhone、iPad、Windows Phone、Blackberryなどスマートデバイスにも対応する「LastPass」のInternet Explorer向けアドオンでもマスターパスワードの入力代わりに利用できたりもする。
筆者は以前からスマートフォン用としてLastPassの利用者だったが、PC用ブラウザのパスワード管理までは行っていなかった。さまざまな会員サイトの自動ログインを可能にするパスワード管理機能は便利だが、そのマスターパスワードがもろいと重要な被害を被る可能性がグンと高まる。マスターパスワードは強固な文字列にしつつ、それを指紋認証センサーと組み合わることで、完ぺきとは言えないまでも個人で使うモバイルPCとしてセキュリティ性をしっかり意識しつつ、利便性も大きく高めた運用が行えるわけだ。
ほかのUltrabookは、モバイルで使うPCなのになぜ指紋認証センサーが付いていないんでしょうかね……。
(続く)
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