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» 2012年10月31日 10時00分 公開

発売直前!!:アップルが作り出した2つの“魔法”――「iPad mini」と第4世代「iPad」を徹底検証 (5/5)

[林信行,ITmedia]
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大幅な性能向上で魅力増の第4世代iPad

 さて、iPad miniという、あまりにも魅力的な兄弟分が登場したために、やや目立たない存在になってしまってはいるが、おそらく今後も教育やビジネスの分野では、iPad miniではなく、標準サイズのiPadが重要な存在になっていくだろう。

 この9.7型サイズの最新版、第4世代iPadにも触れておこう。スペックで言えば、第3世代と比べてCPUの速度が2倍になり、グラフィックスの表示速度も2倍になった。さらにWi-Fi接続も2倍高速化している。

 処理能力が2倍になったことで操作も非常に快適だが、実際のところ実用系アプリの利用では、これまでの第3世代iPadでも困らないスピードだったし、ゲームアプリをプレイしても、キャラクターが2倍速く動くわけではない。それでは、違いはどういったところに表れるのか。

 例えば、電子雑誌などの表示は高精細表示への切り替えが速くなり、より快適に読めるようになる。また、ITmediaのような、表示が完了するまでに時間がかかるWebサイトを閲覧する際でも、表示完了までが速くなる。実際、第3世代iPadで約10秒かかっていた表示が、ピッタリ半分の5秒で完了した。

 RBB TodayのSpeedTestというアプリを使ったWi-Fi接続スピードのテストでは、上り(情報のアップロード)のスピードは大差がなかったものの、下り速度(ダウンロード速度)では倍以上の差がついた。

ITmediaのトップページの表示速度はiPad miniの2倍だった(グラフ=左)。筆者の自宅のNTTフレッツ光回線に、Time Capsuleを接続し、そこに5GHzのIEEE 802.11nで第3世代iPad、iPad mini、第4世代iPadを接続。RBB Today Speedtestというアプリを使って、上りおよび下りの通信速度を5回ずつ計り、それぞれの最大値を掲載した。最新2製品は第3世代iPadと比べて下り速度が約2倍の速度になっていた。なお、なぜか下り通信速度では、常にiPad miniが第4世代iPadすらも上回る結果を出し続けた(画面=右)※記事初出時、グラフに一部誤りがありました。おわびして訂正いたします

 もう1つ、筆者がかなりやり込んでいて、指先の感覚でマシンの調子が分かってしまうEA Sportsの「FIFA 13」をプレイしてみたところ、確かに性能差を体感できた(これにはちょっと自分でも驚いた)。非常に主観的なので、もしかしたら思い込みもあるのかもしれないと断ったうえで付け加えておこう。

 FIFA 13は、前バージョンと比べて、グラフィックスをRetinaディスプレイに対応させるべく、大幅にグレードアップしている。このためか、第3世代iPadでは、操作したときにプレーヤーの動きが多少重くなる感じがあった。好天のグラウンドで走っていても、何かぬかるみを走っているような足の重さがあり、急に方向転換をしたときはなんだか腰が重い印象があった(もっとも、敵の動きも同様なので、それで勝ちやすくなったり、負けやすくなったりすることがないのだが)。ところが、第4世代iPadで同じFIFA 13をプレイしたところ、まるでかつての(画質は劣るが動作が軽い)FIFA 12をプレイしていたときのような軽快さが、筆者のプレイするFCバルセロナのプレイヤーに戻ってきた。

第3世代と第4世代のiPadでは、本体手前側のFaceTimeカメラの画質が大幅に向上、720p動画が撮れるようになった(静止画の場合は120万画素)。これにともないレンズの口径なども変わった

 こうした違いは、おそらく普通に第4世代iPadを使っている分には、なかなか分からないところだと思う。しかし、第4世代iPadに使い慣れた後に、いざ第3世代に戻ってみると大きな差を感じるはずだ。

 一方、第4世代iPadは端子がLightningポートになってしまったために、iPad用に作られていた専用スキャナやスピーカーが使えなくなった、と不満に思う人もいるかもしれない。一応、従来の30ピンをLightningに変換するアダプタもあるにはあるが、ドック型の周辺機器にかまして本体を載せるという使い方は、重量的にiPhone 5ではできても、iPad miniではかなりギリギリな感じで(おそらくやめておいたほうが無難)、第4世代iPadに至っては完全にアウトだ。

 そう考えると、すでにドック用周辺機器を持っていて、かつRetinaディスプレイを使いたいユーザーには第3世代iPadも価値がある。しかし、これから増えていくLightning対応周辺機器や今後の展開も考えると、今から第4世代iPadに移行したほうが賢明かもしれない。ちなみに、一時は充電/同期用ケーブルの1種類しかなく、入手も困難だったLightningケーブルだが、現在では写真のように純正品だけでも、かなり豊富なアダプタ類が入手可能になった。

iPad miniも、第4世代iPadも同期・充電端子はLightningコネクタに。iPad用に作られた周辺機器の多くは使えない可能性がある(写真=左)。アップル純正のLightning対応ケーブルやアダプタも充実してきた。左から順に従来のドックにiPhone 5をさせるようにする「Lightning to 30-pin Adapter」、iPadとデジタルカメラをUSB接続可能にする「Lightning to USB Camera Adapter」、SDメモリーカードをiPadで読み込む「Lightning to SD Card Camera Reader」、従来のドック端子からケーブルを経てiPadに指すLightning端子に変換する「Lightning to 30-pin Adapter(0.2m)」、そして充電しながらHDMI画像出力を可能にする「Lightning Digital AV Adapter」。これ以外にLightningからVGAでの画像出力をする「Lightning - VGAアダプタ」も出荷予定だ(写真=右)


 2010年のiPad登場は、IT業界における1つの事件だった。この誰にでも簡単に使えるマルチタッチ操作を備えたまったく新しい形のデバイスが世の中に出たことで、それまでIT化が遅れていた人々が、一気にパソコン系ユーザーを飛び越すような変化を体験し始めた。

 年配の方々は、画面が大きく見やすいiPadでWebページを見たり、写真を撮ったりといったライフスタイルを楽しみ、お母さんたちはiPadを育児に活用し始めた。オリンピックでも話題になったが、マラソン選手から女子バレーの監督、フェンシングのチームまで、iPadはスポーツの世界も大きく変えつつある。さらには教育市場や医療業界、ファッション業界やホテル業界、展示業界や漁業、そしてアートシーンまで、iPadほど短期間にさまざまな分野に革命をもたらしたデバイスは、そう見つからないはずだ。

 この魔法のようなiPadに、小さく軽く、値段も手ごろな弟分と、Retinaディスプレイに見合う高性能を備えた第4世代モデルが加わったことで、ポストPCのIT革命はさらに加速していくことだろう。

 中にはこれだけ読んでも、やはりiPad miniがいずれはRetinaディスプレイになるのではないか、いま買って損はないのかなどと心配している人がいるかもしれない。もし、この新しいサイズによる快適さをあと1年近くも待てる人は、出るか出ないか分からないが、出ると賭けて1年待つという手もある。だが、実際の製品を見てそれを手にしたとき、本当に我慢できるかはあなた次第だ。

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