次はプリントとコピーの速度を計測した。PCからA4モノクロテキストおよびA4カラーチャート&テキストをプリント、そして単体でA4カラーコピーを行い、それぞれの所要時間を計測している。
測定方法は、接続したPCの処理速度に左右されないように、PCからのプリントでは用紙を引き込むと同時に計測を開始し、排紙が完了した時点で計測を終えた。コピーについては、処理速度も製品の性能に含まれるため、スタートボタンを押すのと同時に測定を開始している。
プリント/コピー速度のテスト結果 | |
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設定 | 出力時間 |
A4モノクロ(PCから印刷) 普通紙1枚 | |
はやい(最速) | 4秒7 |
標準 | 8秒4 |
高画質 | 18秒9 |
A4テキスト&チャート(PCから印刷) 普通紙5枚 | |
はやい(最速) | 42秒5 |
標準 | 2分39秒5 |
高画質 | 8分35秒5 |
A4カラーコピー 普通紙1枚 | |
標準 | 1分03秒6 |
高画質 | 2分10秒8 |
モノクロテキストのA4普通紙印刷では、JEITAのプリントテストパターン「J1.DOC」を使用したが、全般的になかなか高速だ。さすがに多ノズルのブラックを用意しているだけのことはある。はやい(最速)モードで4秒7と非常に高速なことに加えて、品質の高い標準モードでも8秒4という速さで出力され、モバイル機とは思えないスピードだ。
カラーチャート&テキスト混在データのA4普通紙印刷では、JEITAのプリントテストパターン「J9.DOC」(5ページつづり)を使用した。こちらはカラーインクも使うぶん、やや遅めの結果だ。はやい(最速)モードの42秒5はともかく、高画質モードになると8分35秒も要している。5ページとはいえ、これでは客先で印刷するのに時間がかかりすぎると感じる場合もあるだろう。状況に応じて使い分けたいところだ。
カラーコピーは独自のA4原稿を用いた。こちらもスキャン速度がゆっくりなので、標準モードで1分、高画質モードでは2分ほどの時間を要した。もっとも、モバイルでの運用で大量のコピーを行うシーンはさほどないと思われる。コピーに関しては、この速度でも要は足りるのではないだろうか。
なお、ボディがコンパクトで内部の駆動音が届きやすいためか、動作音も小さいというわけにはいかず、それなりに大きな音がなる。ただし、紙送りの音は抑えられているように感じた。例えば、カフェやファミレスといった場所でちょっと利用する場合、周囲の騒音を考慮したほうがよいだろう(騒々しいというほどではないので、多少注目を集める程度だろうが)。
このようにOfficejet 150は、モバイル向け複合機として完成度が高い。バッテリー駆動時とACアダプタ接続時でパフォーマンスの差は見られず、バッテリー駆動で大量部数の印刷が可能な点には驚いた。出先でプリントに加えて、スキャンやコピーも行いたいビジネスパーソン、あるいはこれらを実現できることで作業効率が向上するような業務では、待望のモバイル複合機が登場したといえる。
また、可搬性がウリの製品にも関わらず、据え置き機と比べて遜色のない性能を備えているのも好印象だ。携帯性を重視した製品は、得てして速度や操作性などに不満を感じるものだが、Officejet 150にはそれがない。つまり、狭い場所やデスクサイドに手軽に置ける省スペースな2台目の複合機としても有用だ。今後は無線LANも内蔵し、スマートフォンやタブレット用のアプリも提供されれば、さらに活用の幅は広がるに違いない。
価格は同社直販のHP Directplusで3万6960円となっている(2013年2月6日現在)。据え置き機に比べて高めではあるが、唯一無二の可搬性を備えていることは大きな魅力だ。スキャンやコピーの速度を重視しないならば、持ち運べる非常に省スペースなA4複合機として、ビジネスシーンに加えて、個人ユーザーにも受け入れられるだろう。
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