冷却パーツやサプライ品を扱うPCパーツショップ「CUSTOM」が2013年6月上旬に閉店する。閉店の日時は「在庫処分の目処が立ったら。明確な日付は決めていないが、6月9日(日)あたりを予定している。Web通販も5月末までの注文で閉鎖する予定」(CUSTOMスタッフの田中宏氏)という。
同店は1999年6月にオープン。ファンや水冷キットなどの冷却パーツを中心に、グリスやケーブルといったサプライ品を取り扱ってきた老舗のショップだ。閉店を告知した5月11日にはPCのWebサイトがダウン、翌日(5月12日)は多くの人が店を訪れたそうだ。
今回の閉店に関して、創業時からCUSTOMを支えてきた田中宏氏は「時代の流れですかね。ここ1〜2年はまわり(自作PC市場)の状況を見つつ、常に店を続けるかどうか考えてきた。余力があるうちに店舗を畳もうとは思っていた。破産して突然閉店というパターンも見てきましたし」と心境を語った。
閉店を決めた理由はいろいろとある。まずは来客数の減少だ。「ショップが減ったことで、巡回ルート(参考記事)がなくなり店舗に人が来づらくなったとは思う」(田中氏)。PCパーツショップが集まるパーツ通り付近に移転を考えたこともあったが、コストの問題などで見送った。「一時的に売り上げが上がっても、移転のコストを取り戻せるかは怪しい。大きな決断だった」と同氏は振り返る。
Web通販の充実も理由の1つだ。「Webならば少量で多品種の製品を取り扱える。うちは大手が手を回せなかった商品を扱う“スキマ産業”みたいな部分をウリにしていた。だが、大手のPCパーツショップや通販サイトがラインアップを充実させたことで、差別化が難しくなってきた。そちらは資本があるから送料無料にもできる。うちのような中堅のショップはかなり厳しいんじゃないかな」(同氏)という。
しかし「それでもまだやりようはある」と田中氏は語る。「量販店に並ばないようなパーツを用意して差別化できるかがカギかなと。ショップ独自の色を出すことがこれまで以上に重要になると思う。リスクやコストの問題もあるから、資本があるかどうかが大きな問題になるけれど」(同氏)
同店もファン口径変換アダプタや丸形ケーブルを採用したSATAケーブル、PWMに対応する高回転数のファンなどオリジナル商品の開発に注力していた。「ほかにはないオンリーワンの機能ならば価格が高くても買ってくれるし人気も出やすい。ユーザーのニーズを汲み取ったオリジナルの製品が求められていると思う」と同氏はコメントした。
CUSTOMでは現在閉店セールを実施しており、8割近くの商品が特価で販売されている。「人気の製品から次々と売り切れていく状況。定価の6〜7割引きになっている製品もあり、量販店よりも確実に安い価格に設定した」(田中氏)という。アキバに行く機会があれば、チェックしてみてはいかがだろうか。
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