LTE内蔵の法人Windowsタブレット、HPが投入──「これまでビジネスに足りなかった機能、すべてそろえた」ElitePad 900にドコモ/auのLTE内蔵版(2/2 ページ)

» 2013年05月27日 17時00分 公開
[岩城俊介,ITmedia]
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思うように進まないタブレットのビジネス導入、なぜ?

photo 日本HP 取締役の岡隆史副社長執行役員

 2013年のタブレット機器は総数600万台弱ほどの出荷が見込まれ、そのうち2割が企業/ビジネスシーンで使われると予測される。また、直近2013年5月の同社調べによると、9割顧客がタブレットのビジネス活用を望むとする調査結果も出た。タブレットの企業導入も「不要なので導入しない」わけではない。

 なぜこれまで導入していなかったか。導入の足かせは「バッテリー利用時間」「セキュリティ面での不安」「ネットワーク設定」「(iOS/Androidタブレットがあるのは知っているが)とはいえ、法人ユーザーはOffice(Windows)ベースの業務環境を望んでいる」など、これまでの機器では、ビジネス利用者のニーズにおいてどこかに足りない機能・性能があったためと岡副社長は述べる。

 「ビジネス向けといっても実際に利用するのは個人。デザイン性や使い勝手、業務に合わせた拡張性の高さは特に重要。一方、IT部門からすると、管理しやすく、システムにつなぐ/会社の資産として減価償却まで利用できるか=最低限満たすべき要件を満たさなければ導入できない。ビジネス導入機器で評価軸となる性能・機能を全方位的にカバーすべく追加投入するのが今回のLTE内蔵モデル。なお、2013年6月中旬より、ElitePad 900もドメイン/インストールソフトウェアなど導入顧客のマシン設定にカスタマイズを済ませた状態で出荷するカスタムインテグレーションサービス(CIC)の対象にする」(日本HPの九嶋本部長)日本HP 取締役の岡隆史副社長執行役員)


photophotophoto 2016年までの国内PC/タブレット市場予測。9割がビジネスでも活用したいと考えるが、ビジネスに必要なセキュリティ性や機能が足りず、これまで積極導入はできなかったという人が多かったという

 2013年2月に販売を開始したElitePad 900シリーズはすでに数十万台単位での引き合いがあり、特にデザイン性やサイズ感・軽さ、MIL規格の頑丈さ、業務シーンに合わせた拡張性(周辺機器オプションの豊富さ)などが評価されているという。10.1型サイズで重量約630グラム、Windows XPマシンのリプレース需要も含め、Windows搭載でこれまでの業務ソフトウェアも継続運用可能。さらに、モバイルでの運用範囲を広げるLTEモジュールの内蔵化、モバイル機器遠隔マネジメント(MDM)「Computraceサービス」、セキュアエレメント付きのNFCリーダーによる本人認証ソリューションを主要ベンダーと連携して提供し、ビジネス機器としてのセキュリティ性/業務運用の容易性もより高めた。

 Computraceサービスは現在位置の確認や遠隔操作によるPCロック機能(以上、4年間無償添付する「Find My PC」サービス)に加え、ソフトウェアの更新・追加状況、端末持ち出し状況の管理、紛失・盗難時の端末回収などもサポートする追加メニューを用意。NECによるICカード本人認証機能も、大手セキュリティソリューションベンダー大手2社(ARCACLAVIS、SmartOn)の動作検証を済ませた状態で展開し、NFCを用いた、より高いレベルでのセキュリティ管理も容易に実現できる。

photophotophoto “ビジネス向け”に特化した工夫が光る、HP ElitePad 900シリーズの特徴。標準で付属する遠隔ロック機能に加え、資産管理ツールも付属したサービス(4年:1万2495円)、さらに紛失機器の回収も行う上位サービス(4年:1万6590円)といった、企業・IT部門が悩む「スマートデバイス時代の情報漏えい対策」をサポートするメニューも新設する

 これら「ビジネスタブレットとしてほぼ全部入り/ビジネス利用に完全対応、これならOK」とする仕様で、ビジネスユーザー/IT管理者の双方の「これから業務用タブレットを導入したい」と考える法人層に積極アピールする考えだ。

 「私の気持ちとしては、ビジネスPCマーケットシェアの約14%と同等、それ以上のシェア獲得を目指したい」(岡副社長)



 法人向け/業務シーンへ導入するタブレットの需要は日に日に増している。IDCによると、PC単体の販売数は2016年まで横ばい傾向、対してタブレットの販売数はかなりの伸びがあると予測。結果としてPC+タブレットの総数にて市場は伸びていくとみられている。

 「正直、PC対タブレットの議論に意味はないと思っている。トレンドがPCからタブレットに変わった──のではなく、ビジネスクライアントの主戦場としてタブレットも加わったという認識。現時点では、減っていくというより新たなものが加わったので、買い換えサイクルが一時的に長くなっているだけという見方をしている。

 HPはその答えを出し、ビジネスニーズに合う製品を出していく使命がある。ElitePad 900 LTEデータ通信モジュール搭載モデルは、ElitePad 900の従来から持つメリットに加え、ネットワーク面とセキュリティ面もさらに強化したシリーズ。ようやくタブレットもビジネスで使えるようになった。ビジネス導入にはこのビジネスタブレットだ──と思ってもらえるものになったと自信がある」(岡副社長)

photophotophoto ElitePad 900専用の「キーボードジャケット」「ハンドル+首提げキット付きプロテクションケース」は、(ようやく)2013年5月27日に登場。学校/工場などの共有・複数台導入部門に向く「10台収納+キー付きマルチタブレット充電モジュール」も登場する。ハードウェアキーボード(Bluetooth)によるElitePad 900専用キーボードジャケットにより「時にはノートPCで」といったシーンにて運用できる

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