「VAIO Pro」の“超軽量ボディ”を丸裸にする:VAIO完全分解&開発秘話(前編)(4/5 ページ)

» 2013年08月09日 15時45分 公開

10年間の蓄積が生んだ、軽く、強く、美しいUDカーボン天板

ボディの断面が六角形になるようデザインし、剛性を高めた「ヘキサシェルデザイン」は健在

 薄型軽量を突き詰めると、犠牲になりがちなのが本体の剛性だ。ここは城重氏が「剛性を保ちながら薄型軽量化するための構造は、VAIO Z(Z2)のノウハウを用いた」と語るように、「ヘキサシェルデザイン」を引き続き採用している。

 ヘキサシェルデザインとはその名の通り、六角形の断面になるようにボディを組み上げることで、剛性を高めたものだ。薄型軽量と剛性を両立するため、天面と底面には東レ製の「UDカーボン」を採用した。UDとはUni Directionalの意味で、単一方向に繊維をそろえたカーボン素材となっており、これを90度ずつ縦横に繊維方向を変えて積層している。加工が難しいUDカーボンだが、ニットのように繊維を縦横に編み込んだ通常のクロスカーボンより高い剛性を確保できるのが特徴だ。

 宮入氏は「2003年に出した『バイオノート505エクストリーム』の時代から、UDカーボンをVAIOに採用し続けている。UDカーボンは堅牢性が非常に高い半面、加工が難しいが、10年間ノウハウを積み上げているので、両端を緩やかに美しくカーブさせて加工するといった、難度の高いUDカーボン天板を実現できた。たわみの強度に対しては、表面層が一番効くので、表面を横目の繊維にして、X方向(横方向)に曲がりにくく、両端に折り目をつけて、Y方向(縦方向)に曲がりにくく仕上げている。最近は他社でもカーボン素材のPCが見られるが、VAIOのカーボンはその先を行く」と先進性をアピールする。

加工は難しいが、堅牢性が非常に高い「UDカーボン」を採用した天板(写真=左)。VAIO Proに使われるUDカーボンは、東レの工場で製造される(写真=右)

 カーボン素材以外も、「各部に最適な素材を配置した」と宮入氏は説明する。使用時に手が一番触れるパームレスト部はヘアライン加工のアルミニウムで質感を高め、塗装ではなくアルマイト処理の染色により、長期利用での塗装剥がれを防いだ。キーボードのフレームとボディ側面には、グラスフィラーを50%含んだ硬質の樹脂を採用する。天板の背面には剛性を高めつつ、デザインにアクセントを加えるアルミニウムのオーナメントをあしらい、バーの周囲には光の反射で表情を変えるダイヤモンドカットを施した。底面にもVAIOロゴを配し、360度見られるデザインと主張している。

 液晶ディスプレイの表面は高剛性のガラスだ。ガラスの裏側からペイントで縁を描いており、その奥に樹脂のフレームを重ねている。タッチパネル非搭載のモデルは、表面のガラスを省き、アルミニウムのフレームをかぶせた作りだ。「VAIO Proは、画面周囲のフレームを極限近くまで細く作っており、狭額縁でできるだけ薄くシンプルに見せたいという意図があり、ここにもアルミニウムを採用した」と宮入氏は説明する。

 このように異なる素材をうまく組み合わせて、薄さ、軽さ、強さ、美しさを追求しており、それでいて見た目に統一感があるデザインにまとめているのは見事だ。

VAIO Pro 13の天面と底面。天面は継ぎ目のないUDカーボンの美しい1枚板で構成される(写真=左)。底面にはオプションの拡張バッテリーを装着するためのカバー付き端子と小さな2つの穴があるほか、ネジは1本も見えず、VAIOロゴもプリントして見栄えにこだわった(写真=右)
VAIO Pro 11の天面と底面。VAIO Pro 13と同様のデザインだ
質感を重視し、パームレストにはヘアライン加工のアルミニウムを採用(写真=左)。天板の背面には、剛性を高めつつ、デザインにアクセントを加えるアルミニウムのオーナメントをあしらい、バーの周囲には光の反射で表情を変えるダイヤモンドカットを施している(写真=右)。写真はいずれもVAIO Pro 11だ
VAIO Pro 11におけるタッチパネル搭載(写真=左)とタッチパネル非搭載(写真=右)の違い。タッチパネル搭載機は表面をガラスで覆っている。タッチパネル非搭載機は表面のガラスがなく、アルミニウム製のフレームが画面を囲っており、半光沢調の仕上げだ
“ものづくりへの情熱”をレッドのボディカラーで表現したという「VAIO | red edition」も用意。写真はVAIO Pro 11だが、VAIO Pro 13も同様のレッドが選択できる

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