「VAIO Pro」の“超軽量ボディ”を丸裸にするVAIO完全分解&開発秘話(前編)(2/5 ページ)

» 2013年08月09日 15時45分 公開

VAIO Z超えの作り込みを海外生産でチャレンジ

かつての13.1型モバイルノートPC最上位機「VAIO Z(Z2)」。薄型軽量のノートPC本体に、GPUや光学ドライブ内蔵のドッキングステーションを組み合わせた、ユニークな2ピース構成となっている

 VAIO Proは「新シリーズであり、特定機種の後継ではない」(宮入氏)とのことだが、従来のモバイルノートPCのラインアップと照らし合わせてみると、13.1型のフラッグシップモデル「VAIO Z(Z2)」シリーズ、光学ドライブ内蔵モデル「VAIO S」シリーズの13.3型、Ultrabookである「VAIO T」シリーズの11.6型と13.3型を集約したような位置付けにある。ソニーストア直販のVAIOオーナーメード(VOM)モデルは、VAIO Pro 11が12万3800円から、VAIO Pro 13が13万3800円からとなっており、価格帯はVAIO TとVAIO Zの中間辺りだ(価格は2013年8月9日現在)。

 通常電圧版のCPUを採用したVAIO Zに対し、低電圧版(Uシリーズ)のCPUを用いたVAIO Proは、VAIO ZのUltrabook版、もしくはその普及モデルに見えるかもしれないが、宮入氏は「決してVAIO Zの普及モデルではない」と明確に否定し、「これまで培ってきた技術をもとに、新世代のプラットフォームに最適化した製品であり、全体の作り込みではVAIO Zを確実に上回るクオリティで提供できたと思っている」と自信をのぞかせる。

 そんなVAIO Proだが、製造は海外で行われている。ここで、VAIO Z(長野県安曇野市の自社工場で製造)を超えた作り込みが海外で可能なのか? という疑問が湧くが、宮入氏は「すべてのVAIOがベストでありたい、という思いがある。過去の蓄積と最新技術を組み合わせ、モノに対する思いと目的を共有し、海外でもしっかり作れる体制を整えている」と答える。同氏は初代VAIO Z(VAIO type Z)の開発を手がけた後、海外での製品展開を一時担当したが、そのときの経験も生きているという。

 具体的には「アルミニウムのパームレスト部を自動機で貼り付けるなど、CCDやレーザーを使って画像処理しながら部品を高精度に組み立てるといった、かなり先進的な設備を使っており、ある意味、人の手を超えた作り込みが多くなっている。VAIO Proほど凝った製品では、部品の取り付け精度や組み付け精度が重要だが、製造設備の進化などで国内製造に追いつくようなクオリティを確保しており、発売前の量産出荷も順調に行えた。開発の最後までソフトウェアを含むチューニングを続けたので、製品として完成したのは量産ギリギリだったが(笑)」(宮入氏)と、その量産体制と品質面をアピールする

パームレストを下げるために、くさび型ボディに回帰

VAIO Proは開発当初から13.3型(左)と11.6型(右)の2サイズ展開を決めていたという

 VAIO Proの開発に際しては、ワールドワイドで幅広く展開するモバイルノートPCとして、欧米で主流の13.3型と、日本や東アジアで根強い人気がある11.6型の2サイズで展開すると最初から決め、同時進行で行った。

 もちろん、2013年PC夏モデルの商戦時に、Haswellこと「第4世代Coreプロセッサー」が投入されるので、それと同時に発売することが前提だ。宮入氏は「我々が思い描いていた世界。オールウェイズコネクテッドでより魅力的なモバイルPCを提供できるプラットフォームがまとまる1つのタイミングだと分かっていたので、そこで最良のPCをいち早く出せるように開発した」と当時を振り返る。

 ただし、検討は開発スタート前から進められており、「単にHaswellのUltrabookを作ったのではない、このフォルムを追い求めるのにも数カ月前から練っており、専用カスタム品の液晶パネルを作るのにも時間を要した」と宮入氏は語る。

 考え抜いたというボディのフォルムは、前面が薄く、背面に向かって徐々に厚みが増していく、いわゆる「くさび型」を採用している。ソニーはVAIO Z(Z2)、VAIO S、そしてUltrabookのVAIO Tでも、前面と背面の厚みが変わらない「フルフラット」なボディを踏襲してきた。今回はなぜ、くさび型に回帰したのか?

 その回答には、前述した使い勝手へのこだわりが現れている。「クラムシェル型ノートを選ぶ人がこだわるのは、やはりキーボードの使いやすさ。VAIO Proではパームレストの高さが低くなり、設置面にギリギリまで近づくよう設計することで、長時間の利用でも手首に負担がかからず、キーボードを打ちやすくしている。そのため、手前側が薄くなるくさび型のフォルムを採用し、さらに液晶ディスプレイを開くと天板がボディの下に回り込んで、後部が持ち上がる構造とした」(城重氏)と、見た目の薄さを優先したものではなく、機能美の観点から生まれたデザインであることが明かされた。

上がVAIO Pro 11、下がVAIO Pro 13を側面から見た様子。いずれも「くさび型」ボディを採用し、パームレストと設置面の距離が近い。液晶ディスプレイを開くと、天板がボディの下に回り込み、本体後方が持ち上がるため、さらにパームレストと設置面の段差が抑えられる構造だ

 加えて、VAIO Proはキーボード自体の打ち心地にも配慮している。「VAIO Pro用に0.2ミリ厚の薄型バックライトモジュールを新開発した。かなり薄い導光板を備えたLEDバックライトのモジュールを、溶着したキーボードに貼り付けている。従来はボディ全体の厚みの中で、キーボードバックライトのモジュールが厚かったため、キーストロークが浅くなりがちだったが、今回はこの部分の薄型化により、従来より約0.2ミリ深い約1.4ミリのキーストロークを確保できた」と、薄型軽量ボディながら、キーストロークをVAIO Z(Z2)の約1.0ミリやVAIO Tの約1.2ミリより深くしているのだ。たったコンマ数ミリの差だが、実際に比べてみるとストロークの違いははっきり体感できる。

 VAIOおなじみのアイソレーションキーボードは、標準的な6段配列を採用し、キーレイアウトにクセがない。実測のキーピッチはVAIO Pro 11が17(横)×16.5(縦)ミリ、VAIO Pro 13が19(横)×18.5(縦)ミリと十分なサイズがあるので、高さを抑えたパームレストと、深めのキーストロークと合わせて、長文の入力も難なくこなせる。強めにタイプすると、キーボードユニットの中央部がやや沈むが、ここは軽量化とのトレードオフだ。軽めの力でのタイピングならば、快適に行えるはずだ。

VAIO Pro 11(写真=左)とVAIO Pro 13(写真=右)のキーボード。いずれもキーストロークは約1.4ミリの深さがある。VAIO Z(Z2)やVAIO Tよりもコンマ数ミリながら深いストロークを確保した
VAIO Pro 11(写真=左)とVAIO Pro 13(写真=右)のキーボードは、LEDバックライトを備えている。バックライトの点灯の設定(常に点灯、周囲が暗い場合に点灯、点灯しない)は、ACアダプタ接続時とバッテリー駆動時でそれぞれ変えられる

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