“画素密度No.1”の国産Ultrabookを徹底分解して秘密に迫る「FMV LIFEBOOK UH90/L」分解&開発陣インタビュー(後編)(2/6 ページ)

» 2013年08月23日 11時30分 公開

圧倒的な高精細表示が可能な「IGZO」液晶

14型ワイドで3200×1800ドットという高画素密度の「IGZO」液晶パネルを採用

―― UH90/Lで大きな特徴となるのが、非常に高精細な「IGZO」液晶ディスプレイの採用です。14型ワイド画面で3200×1800ドット表示、画素密度は約262ppi(pixel per inch:1インチあたりのピクセル数)を達成していますが、なぜここまで突出した高解像度化を行ったのでしょうか?

山田氏 インテルがUltrabook構想を立ち上げて2年が過ぎ、各社から製品が出そろいました。軽さが特徴の製品、駆動時間が特徴の製品と、現状では三者三様です。

 その中で富士通がどうアドバンテージを示すかを考えた末、これからユーザーの扱うデータ量が飛躍的に増えていく中で、優れた情報一覧性を提供できる「高解像度」というキーワードに注力すべきと判断しました。やるからには中途半端なスペックではなく、ドットを視認できないような圧倒的な高解像度を実現したいという思いがあり、3200×1800ドット表示の14型ワイドIGZO液晶パネルを選んでいます。

 実際、2つのウィンドウを並べての作業も楽ですし、Webデザインなどクリエイティブ系アプリケーションではスペースを広く使えます。デジタルカメラで撮影した写真やフルHD動画を縮小表示で見るより、ドットバイドットで美しく精細に見たいといったニーズも今後ますます高まると予想し、それを先取りできる液晶ディスプレイに仕上げました。

安藤氏 UH75/Hは、13型クラスのボディに一回り大きな14型ワイド液晶ディスプレイを詰め込んだことが仕様上の大きな特徴でしたが、解像度は標準的な1366×768ドットだったため、もっと大画面を生かす高解像度にしてほしいという要望もいただきました。そこで、UH90/Lでは画面サイズを維持しつつ、解像度を一気に3200×1800ドットまで高めたことで、この課題を大きくクリアしています。

松本氏 今後、高解像度のコンテンツはますます増えていくため、長期間満足して使っていただくため、高解像度化のトレンドをいち早く押さえておく必要がありました。実際にこの液晶ディスプレイで高画素の写真を表示すると、2D画像ではなく、まるで3D画像であるかのような立体感があり、従来機と精細さの違いは明白です。これを見た後は、低解像度の液晶ディスプレイがコンテンツの感動を阻害するようなことがあってはならない、実にもったいない、と感じるようになりました。

左がUH90/L、右がUH75/Hの表示。どちらも14型ワイド画面だが、1366×768ドットの画像を等倍表示すると、ここまで解像度の差があることに驚く。UH90/LはUH75/Hの約5.49倍も解像度が高い
初期状態のアイコン表示をデジタルカメラで接写し、ほぼ同じサイズに拡大した画像。左がUH90/L、右がUH75/Hの表示。UH90/Lはアイコンの表示サイズがUH75/Hより小さいため、拡大したにもかかわらず、細部まで緻密に描かれ、文字の描画も整っている

―― 確かに非常に高精細で美しい表示ですが、ここまで画素密度が高いと、Windows 8のデスクトップ画面では表示が細かすぎて、視認性と操作性の最適なバランスを取るのが難しい面もありませんか?

無償ダウンロード提供中のユーティリティ「かんたんサイズ設定」を使えば、拡大モードを手軽に切り替えられる

松本氏 その通りで、Windows 8でここまで画素密度が高い液晶ディスプレイをどのようにして快適に使っていただくのか考える必要がありました。

 出荷時には拡大率(dpiスケーリング)を144%と大きめに設定していますが、それでも文字やアイコンが小さいと感じられる方は少なからずいらっしゃると思います。そこで、専用ユーティリティの「かんたんサイズ設定」(無償ダウンロード提供)を用意し、出荷時の拡大率よりも大きな拡大率に変更できる2つのモードから、お好みのサイズに変更できるよう工夫しました。

山田氏 なお、右側面に搭載したHDMI出力端子はHDMI 1.4aをサポートし、4K(4096×2160ドット)の解像度まで映像出力が可能です。UH90/Lは非常に解像度が高い液晶ディスプレイを搭載していますが、それ以上の高解像度を外部出力できるようにしています。

かんたんサイズ設定の「情報量優先」は144%拡大、「バランス優先」は165%拡大、「見やすさ優先」は211%拡大となる(クリックすると、3200×1800ドットで等倍表示)。拡大率によって、アイコンと文字のサイズ、Webブラウザの表示領域は大きく異なる。拡大率が低いほど、デスクトップの作業領域を広く確保できるが、表示が細かくなり、視認性や操作性も低下する。ユーザーの視力や用途によって、拡大率の設定を使い分けたいところだ

富士通 FMV LIFEBOOK UH

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