―― キーボードの設計もUH75/Hから変更しているのでしょうか?
山田氏 もちろん、キーボードのタッチ感もこだわりの1つです。薄型ボディのUltrabookはキーストロークが浅くなり、打ち心地が悪くなりがちなので、キータッチを改善したいと考えました。
そこでUH90/Lでは、各キーに内蔵されたゴム製ドームを調整し、主要キーのタッチと、EnterキーやShiftキーなどのタッチを少し変えています。主要キーはクリック感をしっかり確保し、ほかのキーはクリック感を軽めにすることで、快適にタイピングできるよう仕上げています。
立神氏 実は、UH90/Lはキーボード裏面の支持板金を軽量化しました。これにより、キーボードユニットの強度低下が懸念されますが、前述した超圧縮ソリッドコア構造の片面実装基板でしっかり支持することで、軽さと頑丈さを両立しています。

ゆとりのあるレイアウトのアイソレーションキーボードを採用(写真=左)。主要キーのピッチは横19ミリ、縦18.5ミリだ。キーストロークは約1ミリと浅いが、タッチ感にはこだわった。基板類を外すと、キーボードの裏面が現れる(写真=左)。キーボード裏面の支持板金を軽量化しているが、片面実装基板のフラットな裏面でキーボードを支える構造になっているため、キー入力時のたわみなどはない。キーボードの裏には透明シートが貼ってあり、表面に熱が伝われるのを抑えている
キートップの側面に別の色を採用し、視認性を高めながら、デザインにアクセントを加える「サイドカラードキー」は健在。「サテンレッド」(写真=左)と「スパークリングブラック」(写真=右)のボディカラーにマッチした色を選択している―― UH75/Hよりタッチパッドを大型化していますが、こちらの操作性も手を加えたのでしょうか?
山田氏 タッチパッドは、大型化しつつ、ガラス製に変更しました。UH75/Hのタッチパッドは樹脂製で、端のほうをクリックしにくい、という声がありました。そこでUH90/Lではガラス製にして、端を押してもたわむ感覚がないよう改善しています。

タッチパッドは左右のボタンを一体化したタイプだ。大きめのタッチパッドでストロークが浅いが、ガラス製なのでたわまずに端のほうもしっかり押せる(写真=左)。タッチパッドにはシナプティクス製のドライバが導入され、マルチタッチジェスチャーやWindows 8固有の操作にも対応する(画像=右)―― UH90/Lの最終的な完成度には満足されていますか? また、今後の課題があれば聞かせてください。
松本氏 合格点を与えられると思います。ただし、現状に満足せず、さらによい製品を提供できるよう、今後も頑張りたいです。タブレットが普及したことにより、モバイルノートPCの厚さや重さがよりシビアに見られるようになってきています。そこで、14型のUltrabookとはいえ、約1.39キロという重量はまだ改善の余地があるでしょう。今回は薄さや質感をかなり突き詰めることができたので、今後は軽さに対するこだわりを強くしていきたいです。
立神氏 機構設計の担当として、自分が掲げた堅牢性の目標はクリアできた部分も多かったのですが、完全ではありません。次回は従来比で1.5倍といわず、2倍の堅牢性を目指しつつ、さらに薄く、軽く仕上げるチャレンジをしたいです。
山田氏 超高精細な液晶ディスプレイが最大の特徴に見えるかもしれませんが、今回はタッチパネルを搭載しながら、薄さ、軽さ、頑丈さ、バッテリー駆動時間といった要素もすべて従来機を上回ることができました。第4世代Coreの採用に伴い、片面実装の貫通基板にチャレンジしたのも今回のポイントです。キーボードとタッチパッドの使い勝手も改善でき、トータルでの完成度は大きく上がっています。
―― ありがとうございました。
UH90/Lを構成するパーツ群。ストレージやメモリは汎用(はんよう)性の高いパーツを使い、放熱機構のスペースを十分確保している一方、メイン基板を片面実装により薄型化し、薄さと剛性を両立する超圧縮ソリッドコア構造を採用するなど、さまざまな工夫が見られる←・「FMV LIFEBOOK UH90/L」分解&開発陣インタビュー(前編):IGZO液晶+第4世代Coreの“日本製”Ultrabookはこうして生まれた

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