3200×1800ドットという驚異的な高解像度の14型ワイド液晶ディスプレイを備えるUltrabook「FMV LIFEBOOK UH90/L」が富士通から登場した。CPUにHaswellこと第4世代Coreを採用しているのも見逃せない。2013年6月28日の発売を前に試作機を入手したので、早速各部をみていこう。
※今回レビューする試作機は、細部のデザインや仕様が製品版と異なる場合があります。
今回試用したのは、このLIFEBOOK UH90/LをベースにしたWeb直販限定モデル「LIFEBOOK WU1/L」だ。同社直販サイト「富士通 WEB MART」のみで取り扱うカスタムメイドモデルで、用途や予算に応じて仕様を選択できる。
UH90/LとWU1/Lの主な違いは下表にまとめた。
店頭モデル「UH90/L」と直販モデル「WU1/L」の違い ※赤字はWeb限定仕様 | ||
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製品名 | UH90/L | WU1/L |
OS | Windows 8 | Windows 8 Pro、Windows 8 |
CPU | Core i5-4200U(1.6GHz/最大2.6GHz) | Core i7-4500U(1.8GHz/最大3.0GHz)、Core i5-4200U(1.6GHz/最大2.6GHz) |
グラフィックス | CPU統合(HD 4400) | |
メモリ | 4Gバイト(4Gバイト×1/DDR3L-1600) | 8Gバイト(8Gバイト×1/DDR3L-1600)、4Gバイト(4Gバイト×1/DDR3L-1600) |
ストレージ | 500Gバイト ハイブリッドHDD (5400rpm HDD+NANDフラッシュメモリ内蔵) | 256GバイトSSD、128GバイトSSD、500Gバイト ハイブリッドHDD (5400rpm HDD+NANDフラッシュメモリ内蔵) |
ディスプレイ | 14型ワイド液晶(3200×1600ドット/IGZO) | |
無線通信 | IEEE802.11a/b/g/n無線LAN、Bluetooth 4.0+HS | |
Office 2013 | Office Home and Business 2013 | なし、Office Home and Business 2013 |
拡張ユニット | − | ポートリプリケータ |
価格 | 実売価格19万円強 | 直販価格16万4800円(最低価格)〜※ |
※15%クーポン適用で14万80円から購入できる |
直販モデルのWU1/Lは第4世代Core i7-4500U(1.8GHz/最大3.0GHz)、8Gバイトメモリ(8Gバイト×1/DDR3L-1600/交換不可)、128Gバイト/256GバイトSSD、Office Home and Business 2013の有無、専用ポートリプリケータ(4基のUSB 3.0、有線LAN、DisplayPort出力、DVI-D出力、アナログRGB出力を搭載)の追加などが選択でき、全体にハイスペックな構成にまとめられるのが魅力だ。
一方、店頭モデルのUH90/Lは、第4世代Core i5-4200U(1.6GHz/最大2.6GHz)、4Gバイトメモリ(4Gバイト×1/DDR3L-1600/交換不可)、500Gバイト/5400rpmのハイブリッドHDD(NANDフラッシュメモリ搭載)を採用する。大抵の用途で不満の出ない仕様といえるが、超高解像度のUltrabookをバリバリ使いたいならば、WU1/Lで8GバイトメモリとSSDを組み合わせた構成を検討すべきだろう。
それでは最大の特徴であるディスプレイを見ていこう。持ち運びを意識したUltrabookとして大きめの14型ワイド画面は、3200×1800ドットの“超”高解像度を誇るIGZO液晶パネル。4K2K(4000×2000ドット前後)とまではいかないが、単体の27型ワイド液晶ディスプレイでも2560×1440ドット程度の製品が多い現時点では、非常に高い解像度だ。これをノートPCの14型ワイド画面に収めているのだから驚かされる。
液晶の画素密度は約262ppi(pixel per inch:1インチあたりのピクセル数)と、ノートPCでは突出した高精細表示だ。画素密度の高いノートPCとして注目されている東芝の「dynabook KIRA V832」は約221ppi(13.3型2560×1440ドット)、Appleの「13インチMacBook Retinaディスプレイモデル」は約227ppi(13.3型2560×1600ドット)、「15インチMacBook Retinaディスプレイモデル」は約220ppi(15.4型2880×1800ドット)、そして日本で発売されていないGoogleの「Chromebook Pixel」でも約239ppi(12.85型2560×1700ドット)となっており、表示の細かさでこれらを大きく上回る。
画素密度が高いということは、それだけ精細な表示が可能ということ。目視でドットの粒々が見えにくくなり、斜めの線はよりシャープに、曲線はより滑らかに描画できることを意味する。実際は15インチMacBook Retinaの約220ppi表示でも目視でドットを感じないほど精細だが、WU1/Lの約262ppiという数字はノートPCよりも目の近くで画面を見るタブレット「iPad Retinaディスプレイモデル」の約264ppi(9.7型2048×1536ドット)とほぼ同じだ。つまり、現状のノートPCではオーバースペックなほどの高精細表示を実現している。
高画素密度ディスプレイを搭載したノートPC比較 | |||||
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製品名 | FMV LIFEBOOK UH90/L(WU1/L) | dynabook KIRA V832 | 13インチMacBook Retinaディスプレイモデル | 15インチMacBook Retinaディスプレイモデル | Chromebook Pixel (日本未発売) |
メーカー | 富士通 | 東芝 | Apple | Apple | |
画素密度 | 約262ppi | 約221ppi | 約227ppi | 約220ppi | 約239ppi |
画面サイズ | 14型ワイド | 13.3型ワイド | 13.3型ワイド | 15.4型ワイド | 12.85型ワイド |
画面アスペクト比 | 16:9 | 16:9 | 16:10 | 16:10 | 3:2 |
解像度 | 3200×1800ドット | 2560×1440ドット | 2560×1600ドット | 2880×1800ドット | 2560×1700ドット |
試しに、約112ppi(14型1366×768ドット)の従来機である(今回のモデルチェンジでUH90/Lの下位機という位置付けになった)「LIFEBOOK UH75/K」と並べてデスクに置き、2つの画面を見比べてみたが、その差は明らかだ。UH75/Kはドットがはっきり分かり、色温度が高め(やや青っぽい)なのに対して、WU1/Lはドットがまったく見えず、アイコンや文字が滑らかに表示でき、色味も自然な印象を受ける。色域も広がっており、表示の美しさは誰もが体感できるだろう。
また、UH75/Kが採用しているTN方式の液晶パネルに比べて視野角は大きく向上しており、左右や上下の斜めから見ても色味が崩れにくくなった(ただし、IPS方式の液晶パネルに比べて、斜めから見ると少し白っぽく見える傾向にある)。
なお、ディスプレイの表面はマルチタッチに対応する静電容量式タッチパネルを備えた光沢仕様で、ユーザーの姿や照明はかなりはっきり映り込む。
タッチ操作がしやすいように、指の滑りをよくする「スーパーグライドコーティング」や、指で押した際に傾きにくいヒンジ設計を採用しているのもポイントだ。
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