後編 MADE IN JAPANの“360度こだわりUltrabook”を解剖する「FMV LIFEBOOK UH75/H」完全分解&開発者インタビュー(1/5 ページ)

» 2012年09月10日 16時00分 公開
[前橋豪,ITmedia]

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Ultrabookで“あえてHDD”を優先した理由

富士通初のUltrabook「FMV LIFEBOOK UH75/H」

―― UH75/Hの開発では、何よりもまず「HDD内蔵のUltrabook」にこだわったとのことですが、なぜHDDが必須という判断だったのでしょうか? ユーザーがUltrabookに期待する薄さや軽さ、高速なレスポンス、長時間駆動、耐衝撃性などを考慮すると、SSDのみの構成にしたほうが有利な点も多いです。

小中氏 これは開発前に富士通のUltrabookがどのような使われ方をするのか、ユースケースをよく考えた末の結論です。

 スマートフォンやタブレットなど、一般的なユーザーの方々にとって身近な情報機器が増えていますが、それらがPCに取って代わるわけではなく、データのハブ的な役割を担うPCの重要性はむしろ高まっていると考えています。

 こうしたスマートデバイスのデータを管理したり、それらで閲覧するためのコンテンツを作ることにPCを活用している人は多いでしょう。スマートデバイスの普及によって、PCで扱うコンテンツの量も増える一方ですが、現状ではすべてをクラウドサービスで共有するわけにはいかず、きちんと個人のデータを管理することを想定すると、ローカルに大容量のストレージは必要です。

 確かにSSDのメリットは多いですが、現状では記録容量に対して価格が高くなってしまう問題があります。スマートデバイスのストレージ容量が32Gバイトや64Gバイトに増えている中で、データ管理の母艦にもなるUltrabookが128Gバイト程度のSSDを搭載というのでは、少し物足りない印象です。その点、HDDは大容量で価格を抑えられ、より多くの方に製品を使っていただくことに通じるため、現時点でのベストだと思います。

 実際、UH75/Hは15.6ミリという薄さ、約1.44キロという軽さで500GバイトのHDDを内蔵していますので、持ち運びがしやすく、幅広い用途でお使いいただけるはずです。とはいえ、SSDだけの搭載を望まれる方もいらっしゃいますので、WEB MARTの直販カスタムメイドモデルでは、SSDだけの構成(128G/256Gバイト)を選べるようにしました。

15.6ミリ厚の薄型ボディにHDDを内蔵しているのが特徴だ(写真=左)。HDDは7ミリ厚の薄型ドライブを採用する(写真=右)。内蔵されているHDDは、HDDはHGST製のHTS5450A7E380(5400rpm/500Gバイト)だった

―― HDD搭載の標準モデルには、レスポンスを高めるSSDキャッシュ技術も加えていますが、ここにも独自のチューニングなどはしているのでしょうか?

小中氏 HDDの採用を決めた段階で、SSDに対してアクセス性能が劣る欠点は、カバーする必要がありました。そこで、HDDに加えてキャッシュ専用SSDも搭載し、この部分に関してもこだわりました。

 ハイバネーションからの高速復帰技術はIntel Rapid Start Technologyを採用していますが、SSDキャッシュ技術自体は別のソフトウェアを使っています。これはCondusiv Technologies(旧Diskeeper)のSSDキャッシュ技術であるExpress Cacheをベースに、富士通とSSDを供給するSanDiskの3社が協議し、Ultrabookに最適なSSDキャッシュシステムを作り上げ、初めてFMV LIFEBOOK UHシリーズに導入したものです。

 したがってファームウェアも、Ultrabook向けにさらなる低消費電力を目指して作り込んだものを使っています。単に既存のキャッシュ技術を組み込むのではなく、富士通としてのノウハウを使いながら、高い信頼性で十分に寿命が持つようなキャッシュシステムに仕上げています。

 実を言うと、HDD搭載PCのレスポンスを高めるSSDキャッシュ技術自体は、Ultrabookへの採用を決める前段階から、今後のPCでコアなテクノロジーの1つになると考えて検討していました。FMV LIFEBOOK UHシリーズを発売する1年以上前から温めてきて、今回ようやく日の目を見たことになります。

HDDに加えて、キャッシュ専用のSSDを搭載している(写真=左)。キャッシュ用SSDはSanDisk製のi100を採用(写真=右)。mSATAのSSDではなく、より小型のモジュールとなっており、マザーボード上のコネクタに直接装着してネジ止めしてある

薄型軽量と剛性を両立する「超圧縮デュアルグリッド構造」

―― HDDを内蔵したうえで徹底的に薄型化をして、さらに剛性を高めるため、独自の「超圧縮デュアルグリッド構造」を採用したとのことですが、これはどういった技術でしょうか?

小中氏 薄型のノートPCは見栄えがいいのですが、実際に使ってみると、キーボードが結構たわんだりして、質感に使用感が伴っていないものも少なくありません。特に今回は薄さをギリギリまで追求した製品ですので、全体の剛性感を確保しようとすると、内部に余計なすき間がない作りが求められます。

 そこで、キーボードの直下に格子状のグリッドを成型したプラスチックパーツをはめ込むことにより、キーボードの剛性を保ちつつ、装置自体の剛性も上げるという初めての試みをしました。

 具体的にはグリッドの桟の上に、キーボードに並ぶ各キーの中央部が位置するように設計していて、キーキャップのラバーが押されたときに硬いグリッドが力を受け、キーボードがたわまず、しっかり入力できるようになっています。グリッドがないと、とてもこの剛性感は出せません。また、グリッドは各パーツをギリギリで避けるように作ってあり、キーボードを支えながら、ボディ内部の余計なすき間を埋めています。

 ノートPCを組み立てる場合、通常は底面のボトムケースに各パーツを取り付けていきますが、UH75/Hはキーボードの裏側にこのグリッドを敷いて、各パーツを装着し、最後にボトムケースを閉めるという、逆から組み上げる製造方法を採用しました。中身はギュウギュウに詰まっていてすき間がなく、最後にギュッとボトムケースを閉めると、全体がグッと圧縮されて剛性の高いボディが完成します。これが超圧縮デュアルグリッド構造というわけです。

キーボードの直下には格子状のグリッドを配置している(写真=左)。グリッドの桟の上に、キーボードに並ぶ各キーの中央部が位置するように設計することで、キー入力時のたわみを抑え、使用感を高めている(写真=右)

取り外したグリッド。HDDや出っ張ったパーツを避けつつ、キーボード全面をカバーするように作られている

【468*60】LIFEBOOK UH
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