コラム
» 2013年12月05日 12時00分 公開

「3年先を行く」製造技術:タブレット市場に注力するIntelのモバイルプロセッサ戦略 (2/2)

[本間文,ITmedia]
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半導体製造技術で大きくリードするIntel

 Intelの強みは、競合他社よりも優れた半導体製造技術を有していることにある。しかし、新生Intelは、その半導体製造技術を、今後はより広範に提供していく考えだ。

 同社は、すでに14ナノメートルプロセスを立ち上げ、10ナノメートルプロセスの開発にも取りかかっているなど、プロセス技術では競合他社を大きく引き離している。また、2012年には、立体構造トランジスタ技術である3Dトライゲートトランジスタを実用化するなど、最先端の半導体製造技術を誇る。

Intelの半導体製造技術が、業界を大きくリードしていることは誰もが認めるところ。2015年には10nmプロセスを立ち上げる予定になっている。その同社の半導体製造技術を、他社にも供与する半導体製造サービスを本格的に展開する意向を示す

 同社で半導体製造技術の開発や製造を統括するウィリアム・ホルト上級副社長は、同社が22ナノメートル世代で3Dトライゲートトランジスタ技術を採用したことにより、半導体製造技術が微細化するごとに、チップ面積を削っていく道筋を確立したが、競合他社は20ナノメートル以降、立体トランジスタ技術のFinFETを確立するまでは、配線パターンの微細化ができないため、チップサイズを小さくすることができず、チップの製造コストにも跳ね返ってくると指摘。Intelの製造技術が、競合他社よりも、3年強のアドバンテージを保っていると、その優位性をアピールする。

 同社の半導体製造サービスについては、すでにAlteraが14ナノメートルプロセスを利用したFPGAを製造する計画を明らかにしているが、こうしたサービスを、より広範に提供していくことで、Intel最大の強みである半導体製造技術も、収益源としたい考えだ。

Intelの半導体製造サービスは、Intelアーキテクチャを採用するセミカスタムチップの開発だけでなく、フルカスタムのチップ開発にも利用できるように、その範囲を拡大(写真=左)。Intelは、3Dトライゲートトランジスタ技術の採用により、1xナノメートルプロセス台でもトランジスタの集積度を高め、トランジスタあたりのコストを低減できているが、競合他社は20ナノメートルプロセスから集積度やコスト面で苦戦するという分析(画面=右)

Intelの14ナノメートルプロセスを利用するAlteraは、チップの微細化を可能にするが、その競合となるXilinxは、16ナノメートルFinFETを利用してもチップサイズを縮小できず、コストがかさむという(画面=左)。Intelの製造プロセスは、競合他社よりも3年以上進んでおり、この技術を利用できるメリットは大きいとアピール(画面=右)

 しかし、半導体業界関係者は、Intelの半導体製造サービスを自社製品に利用できるベンダーはほとんどないだろう、と見る。その最大の理由として挙げるのが「これまでベールにおおわれてきたIntelの半導体製造技術に対応した半導体設計ツールがないことだ」と、大手半導体メーカー関係者は語る。

 また、「Intelの半導体プロセスはCPU向けに特化しており、GPUやセンサーなど、広範に利用できる製造プロセスではない」(半導体製造ベンダー関係者)。それでも、今後Intelが、半導体製造サービスを前提に、プロセス開発を進めていくようになれば、高性能化のためには、より多くのトランジスタを必要とするGPUなどの高性能化を加速することが可能になる。しかし、「Intelの最先端プロセスを利用したい筆頭は、TSMCの半導体製造プロセスの進化が鈍化していることから、GPUの高性能化が難しくなっているNVIDIAだろう。しかし、HPC市場では最大のライバルとなる企業に対しても、同サービスを提供する“度量”があるのか、注目したい」と、業界関係者たちは、その動向を注視している。

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