続いて、23〜24型ワイド液晶ディスプレイだ。現在主流の画面サイズなだけあって選択肢は豊富だが、視野角の広さと回転機能の有無を見ていくと、あてはまる機種はそれほど多くない。
導入コストの低さを考えると、デルの23型モデル「P2314H」と23.8型モデル「P2414H」がまず候補になる。21.5型で紹介した同社製品と同様、非光沢のIPSパネルを搭載し、縦位置表示および高さ調節が可能なスタンドを備えており、さらにVESAマウントにも対応する。23.8型モデルは横幅がやや広いのと、国産メーカー製品のような調光系の機能が少ないことは気をつけたい。
iiyamaの「ProLite XUB2390HS」も面白い。幅532.5ミリというコンパクトさは、横に並べて置くには最適だ。先ほど紹介した同社の21.5型モデルにはなかった回転機能を搭載する点もマルチディスプレイに適している。非光沢のAH-IPSパネルにより、視野角も広い。気になるのは、3年保証ながら液晶パネルとバックライトが1年保証となる点くらいだろうか。
EIZOの23型モデル「FlexScan EV2336W-Z」も、先ほど紹介した21.5型モデルと同じく複数のディスプレイの色味を統一できる「Multi-Monitor Match」機能に対応するほか、回転機能、高さ調節機能、充実した疲れ目対策および省電力機能、さらに標準で5年保証(使用時間は3万時間以内、液晶パネル含む)と抜かりがない。また前述の21.5型モデルと違って、視野角が広い非光沢IPSパネルを搭載しており、マルチディスプレイにより適した製品だ。
このほか、フルHD解像度を超える1920×1200ピクセル(WUXGA)表示に対応したEIZOの24.1型モデル「FlexScan EV2436W-Z」も候補となるだろう。ネックとなるのは23〜24型フルHDモデルより割高な価格と、重量が6キロオーバーとやや重いことだろうか。
最後に大画面の27型ワイド液晶ディスプレイだ。このサイズになると、横に2台並べるのは物理的に可能であっても、端から端まで視線を移動させる際にその距離が1メートルを大きく超えてしまう。したがって、マルチディスプレイで使う場合は縦向きでの設置も活用したいところだ。
また、マルチディスプレイ環境では視聴距離が1台で使う場合より長くなりがちなため、フルHD(1920×1080ピクセル)の製品ならともかく、WQHD(2560×1440ピクセル)の高解像度になると、初期設定のままでは文字が細かすぎると感じるかもしれない。こうした点は注意が必要だ。
まずはフルHDの製品について見ていこう。非光沢パネルで回転機能ありという条件が必須の場合、AH-IPSパネル採用のiiyama「ProLite XUB2790HS」が候補となる。21.5型および23〜24型で紹介している同社製品と同様、ベゼル幅が12ミリと狭いため、大画面モデルとしては場所を取らない。また、左右だけでなく上下についても同じベゼル幅なので、回転させた状態で2台並べても違和感が生じにくいだろう。一方、3年保証ながら液晶パネルとバックライトは1年保証に限られる。
フルHDよりもワンランク上、つまりWQHD(2560×1440ピクセル)の高解像度モデルになると、逆に回転機能のない製品のほうが少ない。低予算で選ぶのであれば、PLS液晶採用のASUSTeK Computer(ASUS)「PB278Q」やIPS液晶採用のデル「U2713HM」がいずれも実売5万円前後ながら回転機能も備えている。
また機能の豊富さを重視するのであれば、IPS液晶採用のEIZO「FlexScan EV2736W-FS」も候補になるだろう。やや価格帯は上がるが、標準での5年保証(使用時間は3万時間以内、液晶パネル含む)を考慮すると、十分に元は取れるはずだ。
なお注意したいのは、フルHDを超えると、PC側(GPU側)で解像度をサポートしない危険性があることだ。特にUSBディスプレイアダプタは、解像度が2048×1152ピクセルまでしかサポートしない製品が多いので、高解像度ディスプレイを購入したのに低い解像度で使わざるを得なくなった、という危険がある。接続方式だけは購入前にしっかりと確認しておこう。
次回はマルチディスプレイ環境のもう1つの亜流といえる「ノートPCと組み合わせてマルチディスプレイを構築する場合」のポイントについて紹介する。
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