1つ確かなのは、今回の発表がThunderboltそのものを広げるきっかけにはならないものの、ハイエンド市場で今後も生き続けることがある程度約束されたことだ。
Intelによれば150以上のPCデバイスでThunderboltが採用されたというが、実際にはそのほとんどがMacBook ProやMac Proなど比較的ハイエンドのMac製品で、残りはワークステーションやサーバが中心だ。
これらユーザーにはすでにThunderbolt接続のストレージなどを所有しているユーザーや、動画のリアルタイム編集などでThunderboltの帯域をどうしても必要とするユーザーがおり、こうしたユーザーに「高速接続可能なI/O」としてThunderboltの後継規格を示す必要があったとみられる。これらデバイスでは今後もThunderbolt 3兼USB 3.1 Type-Cポートが搭載される可能性が高く、引き続き使われていくだろう。
一方で、新型MacBookやMacBook Airなど、可搬性や低価格をセールスポイントとする製品では、高コスト体質でバッテリー消費も大きいThunderboltのコントローラが搭載されず、USB 3.1 Type-CやIntelチップセット標準のコントローラがそのまま採用される可能性が高い。
米Intelクライアントコンピューティング部門CCDのマーケティングディレクターであるジェイソン・ジラー(Jason Ziller)氏によれば、Thunderbolt 3では周辺機器などPC以外のデバイスに搭載される安価なコントローラは提供されないとのことで、Thunderbolt 3対応でハイエンド以外のデバイスが市場に出回る可能性は非常に低いと考えられる。
つまり、Thunderbolt 3はハイエンド以外の市場はターゲットにしておらず、残りはType-Cとのコネクタ共通化でUSBに任せる……というシナリオが浮かび上がってくる。USBが追いついてくるその日まで、ハイエンド規格としてのThunderboltは残り続けるのかもしれない。
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