サードウェーブデジノスの「Diginnos DGM-S12Y」(以下「S12Y」)は、Core m-6Y30(0.9〜2.2GHz)を搭載するデタッチャブル(キーボード着脱式)の2in1 PCだ。キーボードカバーとデジタイザーペンが付属して、6万4800円(税別)から購入できるリーズナブルさが大きな特徴だ。
この度、このモデルは4GBメモリ・128GB SSDという構成の中位モデル「S12Y-4128」を2回に分けてレビューすることになった。今回は、S12Yの外観についてお伝えする。
S12Yは、12.2型のWUXGA(1920×1200ピクセル)液晶を搭載している。フルHD(1920×1080ピクセル)と比較すると縦方向が200ピクセル多いため、画面比16:9の動画をフルスクリーンで再生すると上下に100ピクセルずつ「黒帯」がどうしても生じてしまう。
しかし、この200ピクセルが、表計算ソフト(Excelなど)を使うときは「ゆとり」となる。表示できるセルが増えて作業効率が向上するのだ。表計算ソフトを使う機会が多いなら、この「フルHD+α」が生産性を上げてくれるはずだ。
デタッチャブルタイプの2in1 PCは、キーボードを自由に脱着できる身軽さもメリットだ。しかし、付属(場合によってはオプション)のカバーキーボードが不出来では文字入力時の生産性に悪影響を及ぼしてしまう。
S12Yに付属のカバーキーボードは、しっかりとストロークを確保している上、剛性もそこそあるのでキーを強く打ちがちな人でも安心して使えそうだ。タッチパッド部分にはWindows 10の生体認証機能「Windows Hello」に対応する指紋認証センサーも備えているので、セットアップさえすればパスワードレスで快適にログインできる。
キーは日本語配列となっているが、US配列のものを無理に日本語配列にしたようで、一部のキー配列が通常のものとは異なっている。ここまでするなら、US配列のままにした方がうれしいという人もきっといるだろう。キータッチは良好なだけに残念な部分だ。
タッチ対応のPC、とりわけタブレットPCでは「デジタイザーペン」に対応していると利便性が一気に向上する。簡単なメモ書きはもちろん、筆圧を多段階で検知できるものであれば絵を描くこともできる。
S12Yはデジタイザーペンに対応しており、N-trig製のデジタイザーペンを1本付属している。このペンは1024段階の筆圧検知に対応しており、単6電池1本で駆動する。ペンと画面の摩擦もしっかりとあるため、書き込みに際しての違和感はそれほど感じない。
ペンを使わないときはカバーキーボードのホルダーに挿しておけるので、紛失リスクを減らせる。
タブレットPCやデタッチャブルタイプの2in1 PCでは、外部機器を接続するためのポート類が少ないことが悩みの種になることがある。
しかし、S12Yではそこまで心配する必要はない。まず、USB 3.0 Type-C端子が1つ付いている。今のところUSB Type-Cに対応する周辺機器は普及途上ではあるが、確実に増えてはいる。裏表のないコネクター接続は、一度慣れるとやみつきになるだろう。
なお、この端子は「USB Power Delivery(USB PD)」非対応なので、S12Y自身の充電には使えない。ただ、「充電しながらUSB機器も使う」という観点では、S12Yのように別に充電端子が付いている方が良いかな、とも思う。専用端子とType-C端子の両方で充電できるとベストなのだが……。ちなみに、ACアダプターは非常にコンパクトで持ち運びも苦にならない。
フルサイズのUSB 3.0 Type-A端子も付いている。先述の通り、Type-C対応機器は普及途上だ。USBメモリを始めとするUSBストレージやUSBキーボード・マウスを接続する際にはきっと役に立つだろう。
また、microSDXCメモリーカードスロットも付いている。Android・Windows 10 Mobile端末のデータをmicroSDを介してバックアップしたり、常に本体にmicroSDを挿入しておいてSSDに置く必要のないデータを待避したりと、工夫次第でとても便利に使える。
映像出力は、microHDMI端子で行う。そのため、通常のHDMI端子を備える機器との接続には、対応するケーブルあるいは形状変換アダプターが必要となるので注意しよう。
これらのポート類は、全て本体の左側に集中して配置されている。右側は電源スイッチとボリュームキーだけでシンプルだ。
ビデオ会議システムや動画配信サービスの普及で、PCでも一定の需要があるインカメラ。一方、タブレットやデタッチャブル2in1では、アウトカメラがあると仕事上必要な写真や風景を撮撮影できて便利だ。
S12Yでは、イン・アウト両方のカメラを備えている。インカメラは200万画素でビデオ会議システムや動画配信サービスで自撮りするには十分だ。アウトカメラは500万画素で、ハイエンドスマホのそれと比べると画素数こそ低いが、記録用の写真を撮るなら十分すぎる。デジタイザーペンを使ってアウトカメラで撮った画像に文字情報を加える、といった使い方をすると間違いなく便利だろう。
ここまで、Diginnos DGM-S12Yの外観をチェックしてきた。次回は、実際に使う上で気になる点をチェックする「実用編」をお送りする予定だ。
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