ハウステンボス(長崎県佐世保市)は、米Intelとhapi-robo st(東京都港区)と共同で「インテル Shooting Star ドローン・ライトショー」を8月5日まで開催している。光るドローン300台が佐世保の夜空を一糸乱れずに舞う――このショーの最大の魅力だ。
ハウステンボスは以前からドローンを利用したエンターテインメントショーの開催を検討し、諦めた過去がある。「夢」が再びよみがえり、現実となった背景には、何があったのか。
ハウステンボスの富田氏は、中国DJI製のドローンを日本で初めて操縦した人物としても有名だ。自らを「ドローン・ラジコンの神」と称するほどに、ドローンやラジコンに対する深い知見も有している。
「3Dの絵を描き、音楽と一緒に舞うこと」こそがドローンの“究極の姿”であると語る氏は、あるネット動画をきっかけに「天才チームを集めて」(富田氏)エンターテインメントショー用ドローンの自社開発を検討した。しかし、相当な額の先行投資と莫大(ばくだい)な時間を必要とすることが分かり、自社開発は断念することにしたという。
エンターテインメントショー用ドローンの開発を断念した富田氏。彼の「ドローンが3Dの絵を描き、音楽と一緒に舞う」という夢をよみがえらせるきっかけとなったのが、Intelのエンターテインメントショーに特化したドローン「Shooting Star」との出会いだ。
2016年1月、ロボット開発会社(現在のhapi-robo st)の設立を検討していた富田氏は、「CES 2016」のIntelブースでRealSenseを用いたロボットやドローン(参考記事)を見かけ、Intelをはじめとする関連企業とのつながりを得た。
その後、2016年6月にオーストラリア・シドニーで開催された「Drone 100」をきっかけに、Intelはドローンを使ったライトショーに本腰を入れ始めた。それを見た富田氏は「自分で夢をかなえなくても、誰かかなえてくれるものなのだ」と、Intelに対する期待を高めていった。
そしてShooting Starが登場した後の2016年12月、国内初のドローンショーをハウステンボスで実現すべく、富田氏はIntelへの働きかけを開始した。まず、米国にいるIntelのドローンライトショー関係者にテレビ会議でハウステンボスがどういう場所なのかを説明した。次に、Intelのドローンライトショー担当ジェネラルマネージャーであるナタリー・チェン(Natalie Cheung)氏と、Shooting Starの開発担当者をハウステンボスに招き、いかにドローンショーに最適な場所であるかをレクチャーした。
結果、チェン氏らにはハウステンボスが理想的な場所であることを分かってもらえた。しかし、相手はグローバルに活動するIntelである。「なぜ日本なのか?」「なぜハウステンボスなのか?」という点を中心に、Intel上層部との「ハードな話し合い」(富田氏)が何度も持たれたという。
その結果、ハウステンボスが日本初のドローンライトショーの会場として選ばれたのだ。
ドローンショーの夢を一度は諦めたハウステンボス。しかし、IntelのShooting Starと出会うことで夢は現実となった。
一方で、Intelがエンターテインメントショー用ドローンに力を入れる理由はどこにあるのだろうか。Intelの立場から見たドローンショーへの取り組みと、実際の近未来・ドローンショーの様子は別記事でお伝えする。楽しみにしていてほしい。
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