最後にストレージの動向を振り返ろう。
2016年秋から続く値上がり傾向は、当時懸念されていたとおり2017年を通してのものとなったが、その中でもHDDは比較的落ち着いており、10月末に4TB HDDが週末特価で税込み8580円となるなど、大容量モデルはじわじわと買いやすくなっている。また、9月初旬にはHGSTからサーバ向けの12TBモデル「Ultrastar He12 HUH721212ALE600」(税込み7万5000円前後)が登場し、およそ1年半ぶりに1台あたりの最大容量を更新した。
その後、10月に入ってNAS向けの12TB HDDも登場。購入層にコンシューマーも含まれるラインアップが少しずつ増えている。この「法人向け先行、個人向け後発」の構図は2017年に入ってより顕著になったという声もある。10月ごろにTSUKUMO eX.は「データはローカルではなくクラウド、つまり企業側に集まる流れになっているので、個人よりも企業がより大容量で高速なストレージを求める傾向が強まっていますから」と解説していた。
一方、原価ベースで値上がり傾向が収まらないSSDは、製品の切り替え時の在庫を安く大量に仕入れるなど売り手側の自衛策が功を奏し、春頃からは店頭価格ベースでみれば横ばいに近い状態を維持している。
製品切り替えの過程で、3D NANDなどを採用したシリーズが主流化し、前世代のモデルが週末特価の目玉になるといったシーンが多かったように思う。とりわけ秋には、データセンター向けやサーバ向けといった法人仕様の高級SSDが放出特価となって目立っていた。当時、オリオスペックは「最近になってガクンと値段が落ちたモデルがいくつかあって、コンシューマー向けと変わらない値段になったので、新たなニーズを喚起するかなと思って仕入れてみました」と話していた。予想は的中に、年末まで断続的にラインアップを加えていた。
新製品としては、コンシューマー向けで初めて3D Xpointメモリを採用したIntelの「Optane SSD 900P」シリーズが記憶に新しい。11月中心、PCIe x4接続の480GBモデル「SSDPED1D480GASX」(税込み7万6000円前後)を中心に3モデルが登場し、すぐに売り切れるほどの反響があった。
最後に2017年のアキバの景色を振り返ると、5月末までソフマップ秋葉原本館として営業していたビルが6月に「ビックカメラAKIBA」として生まれ変わり、10月下旬にドスパラ各店が再編されるなどの動きがあった。
それでも街をいく人の多さは相変わらずで、PCパーツショップ各店のフロアも一年を通して賑やかだったと思う。前編で触れたように自作する新しい目的が増えたことが客足に結びついているのだろう。この流れは2018年にはどう変化しているのか。引き続きウォッチしていきたい。それではよいお年を。
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