使い始めてまず気付くのが、Echo Dotで用意されていた設定項目の幾つかが、Eufy Genieでは省かれていることだ。
1つは、ウェイクワードが「Alexa」に固定されていることだ。本家のEchoでは、「Alexa」の他に「Amazon」「Echo」「Computer」という選択肢が用意されているが、Eufy Genieは「Alexa」一択で変更ができない。筆者は「Alexa」で慣れてしまっているので問題ないが、人によっては困るかもしれない。
むしろ深刻なのは、話し掛けた際に「ポン」と鳴って反応する、いわゆる応答音を設定する機能が省かれていることだ。筆者はこれまでEcho Dotで応答音のあるやりとりに慣れてしまっているので(ちなみにGoogle Homeでも同様だ)、こちらは非常に困る。米Amazon.comのカスタマーレビューを見ても、この点をマイナス評価している声はかなり多い。
またマイクの性能も高くはないようで、Echo Dotに対して話し掛けるのと同等の声量で話し掛けても反応しないのは日常茶飯事だ。時間を聞いたはずが音楽の再生を始めたり、特定のスキルを起動しようとしたらそのワードで検索を始めたりと、見当違いな動作が目につく。
Echoでもこうした症状は皆無ではないが、Eufy Genieはその頻度がやや(というよりも、かなり)高い。しかも前述のように応答音が省かれているため、きちんと聞き取られたか確認する方法が、目視でLEDを見て判断するしかないのが痛い。
もっとも改善策はある。なるべく至近距離から、できるだけ大きな声で話し掛けることだ。そうすれば、上に述べたような問題はかなり低減される。つまり音声コマンドを把握した後の動作は問題がなく(中身がAlexaなので当然だろう)、やはりマイクの聞き取り性能の問題である可能性が高そうだ。
この他、最小音量がかなり大きく、音声コマンドを使って音量を最小の1%に指定しても、なおそこそこの音量で音が出る。海外製品によくみられる特徴だが、夜間に音量を絞って枕元で音楽を聴く用途では、Echo Dotの方が向いているように感じる。
以上、1週間ほど使ってみての評価をお届けした。実際に試用するまでは、その外見からしてEcho Dotのボディーを差し替えただけのOEMモデルかと予想していたが、実際には全く別物のようだ。少なくとも日本向けに販売されている第2世代のEcho Dotとは、機能も性能も、2ランクくらい違う印象だ。
もともとEcho Dotは、既にEcho(DotではないAmazon Echo)を導入済みの家庭で、「各部屋に1台ずつ」を実現する低価格モデルであり(現在の日本での売られ方は若干異なっているが)、Eufy Genieもこれに近いターゲット層を狙っていると考えられる。その上で、Bluetoothを省いて価格を下げることで、Echo Dotと差異化しているというわけだ。
しかし今回使ってみた限りでは、Echoと混在させて使うのはあまりおすすめしない。というのも、Echoと性能差がありすぎて、同じ感覚で使うのが難しいからだ。特に隣室になるべく聞こえないよう、小声で話し掛けざるを得ない環境での利用には、あまり向いていないと感じる。
あるとすれば、大きな声で話し掛けても違和感のないリビングや、オフィスなどでの利用が中心になるだろうが、その場合も応答音が設定できないなど、機能面での違いを許容しなくてはいけない。同じAlexa対応スマートスピーカーでここまで違うのかと驚くほどで、既存のEchoユーザーはなかなか違和感が抜けないだろう。
一方、これまでEchoを使ったことのない人であれば、マイク性能の違いも機能差も「まあこんなものか」と許容できてしまう可能性はある。ただしその場合も、Echo Dotとの価格差はわずか1000円で、Eufy Genieを選ぶ決定的な理由になりにくい。ひとまずメーカーには、ソフトウェアで改善できる部分、具体的には応答音の追加を望みたいところだ。
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