本連載の前々回で、Google Homeは「今日の予定を教えて」は認識するが「次の予定を教えて」を認識できないという話を書いたが、該当記事が公開される前後にアップデートが行われ、「次の予定を教えて」という言い回しも問題なく認識されるようになった。音声アシスタントのエンジンはクラウド上にあるため、知らず知らずのうちに挙動が変わっていることも多い。まさに日進月歩だ。
などと書いているうちに、先日いよいよAmazonのスマートスピーカー「Amazon Echo」の日本上陸が発表された。その心臓部たるAlexaを拡張するための265ものスキルも発表された他、時を同じくしてサードパーティー製のAlexa内蔵スピーカーも発表されるなど、日本国内でもいよいよ本格的にスマートスピーカー戦争の火ぶたが切られた印象だ。
本連載ではこのAmazon Echoについてもお届けしていく予定だが、ここまで取り上げてきたGoogle Homeについても、まだまだ紹介すべき機能などが大量にある。今回は10月に発売されたGoogle Homeの小型版「Google Home Mini」について、その特徴や、Google Homeとの違いなどを紹介する。
もともとスマートスピーカーは、各部屋に1台設置することが理想とされる。Google Homeにせよ、Amazon Echoにせよ、標準サイズのモデルに加えて低価格の小型モデルが用意されているのは、家庭内の各部屋にくまなく設置するためのもの、という前提だ。
逆に言うと、どの製品であっても、内蔵マイクは室内どこからでも声を拾えるわけだが、それはあくまでも一般的な声の大きさでの話。小声ではうまく反応してくれないことも多いため、夜間などあまり大きな声を出せない場合は、なるべくスピーカーに近づくか、スピーカーの方向を向いて話し掛ける必要がある。
筆者の場合、これまでは作業用デスクとベッドの中間点にあたる場所に、Google Homeを設置していた。距離はどちらからも約1mで、普通の声量で話し掛けるぶんには全く問題ないのだが、なるべく小声で済ませたい夜間は、わざわざGoogle Homeの方向に向き直って話し掛けなくてはならず、やや面倒さを感じ始めていた。
そんなわけでこの度、Google Homeをベッドの枕元付近に移動させたうえで、作業用デスクの近くにもう1台、スマートスピーカーを設置することにした。こうして新しく我が家にやってきたのが、他ならぬGoogle Home Miniというわけである。
Google Home Mini(以下Mini)は、スピーカー部分を簡略化することでボディーを小型化したGoogle Homeだ。直径は10cm弱、やや大きめのドーナツ程度のサイズである。このコンパクトさ故、設置場所を選ばないのが最大の利点だ。
セットアップの手順および機能のほとんどは、Google Homeと同じだ。本体に電源ケーブルを接続した後、スマートフォンでGoogle Homeアプリを起動すると製品が見つかるので、セットアップ手順に従って設置場所を決め、Wi-Fiに接続したうえで、声が認識できるかどうかのテストを行い、残る幾つかの設定を完了させれば使えるようになる。
余談だが、音声ガイダンスの音量が、隣室まで響き渡るほどの爆音なのもGoogle Home譲りだ。本製品は本体上部の左側をタップすれば音量を下げられるのだが、この時点でそれを知っている人はごくわずかだろう。故に多くの人は爆音のまま、セットアップを続行することになる。ここは何とかしてほしい点だ。

スマホでGoogle Homeアプリを起動すると製品が見つかる(画像=左)。末尾の4桁数字が何を意味するのかは謎だ。設置場所を決める(画像=右)。今回は仮に「書斎」とした。既に要領を把握しており、後日変更できることを知っているせいで、選び方が雑になりつつある
Wi-Fiへの接続完了後、指示された文章を本体に向かって読み上げる(画像=左)。筆者のように1つのGoogleアカウントに複数のGoogle Homeをひも付ける場合は、どちらをデフォルトにするか尋ねられる(画像=右)。1製品だけであればこの画面は表示されないところで、2台のうちMiniをデスク側に、Google Homeを枕元に持っていったのには、幾つかの理由がある。
1つは単純に設置スペースの問題だ。Miniは高さがわずか42mmなので、ディスプレイの下のスペースにもすっぽり収まる。チェアに座って作業している筆者から見るとほぼ真正面なので、姿勢を変えることなく小声で操作するには最適だ。体積のあるGoogle Homeでは、このような置き方は難しい。
もう一つは、枕元での操作性だ。Google Homeは天板がタッチパネルになっており、音楽などをワンタップで停止できる。実はMiniも発売前のバージョンでは同様の機能が実装されていたのだが、幾つかの問題により無効化され、今Miniで音声をミュートするには、音声コマンドを使うしか選択肢がない。
特に枕元でアラーム機能を使う場合は、音声コマンドを使うよりも、目覚まし時計と同じ感覚で物理的に止められた方が、何かと重宝する。こうしたことからGoogle Homeはベッドサイド、Miniはデスク側という布陣になったというわけだ。
もう1つ、これは実際に設置してから分かったことなのだが、Google HomeよりもMiniの方がスピーカーの最小音量が小さいのも、筆者の用途に合致している。
Google Homeは最小音量でもそこそこの音量があり、もう少し小さくするようリクエストするとミュート状態になってしまうことが度々あった。その点、MiniはGoogle Homeよりも最小音量が明らかに小さいので、音量を絞りつつBGMを流しっぱなしにする用途であれば、Miniの方が重宝する。
実のところ、Google Homeは音量を下げれば下げるほど、高音が聞こえづらくなる傾向がある。PCの冷却ファンなどがある部屋ではその傾向が顕著で、ある曲などはボーカルとギターが完全に消えてしまい、最初から最後までベースの音だけしか聞こえないこともあったほどだ。
本製品のレビューではよく「音はMiniよりもGoogle Homeが上」と評価されており、それは確かにイエスなのだが、それは部屋中に響き渡る音量で音楽ソースを再生した場合の話。スマートスピーカーは必ずしも音楽再生にだけ使う製品ではないので、用途によっては音質では劣るMiniの方が、使い勝手がよい場合もある。製品を選ぶに当たっては、そうした観点もあってよいのかなと思う。
つづく。
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