スマートホームなセキュリティカメラ「Arlo Q」を試す 競合製品と何が違う?(3/3 ページ)

» 2018年07月24日 16時00分 公開
[山口真弘ITmedia]
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モード切り替えなど便利な機能もめじろ押し

 一方で、Arlo Qならではのメリットも多い。例えば、カメラの解像度と視野角はSafie(CC-2)が1280×720ピクセルで水平111度・垂直58度であるのに対して、Arlo Qは1920×1080ピクセルで130度と上回る。同じ場所を撮影してみても、Arlo Qの方が広い範囲を撮影できるので、室内の監視には死角ができにくい。

Arlo Q 解像度はフルHD(1080p)と、Safie CC-2(1280×720ピクセル)より上だ。ただしフルHDに設定していても、ダウンロードできる録画データはSafie CC-2と同じ1280×720ピクセルとなるようだ

 動作の組み合わせを定めた「モード」を手軽に切り替えられるのもArlo Qのメリットだ。これは、動作や音声の検知、検知時に実行するアクション、通知方法などをワンセットにして「モード」として保存しておき、ワンタップで切り替えられる機能だ。

 例えば外出時は、動作音声検知ともにオン、検知すると録画を開始する「警戒」モードにしておき、在宅時は動作音声検知ともにオフの「待機」モードにする、といった切り替えが簡単にできる。

 その点、Safieはモードという考え方がなく、個々の機能を手動でオン・オフするか、あるいはカメラそのものをオン・オフすることしかできない。常時撮影というコンセプト故の仕様だが、通知をしばらくオフにしたい場合など、簡単に切り替えられるArlo Qの方が利便性が高い。

 またiOSアプリにログインする際、Arlo QはTouch IDを使ってログインできるのに対して、Safieはメールアドレスとパスワードによる認証が必要で、またログイン中はアプリを起動するだけでカメラ画面に遷移する仕様になっている。この点、手軽さとセキュリティを両立させているArlo Qの方が上だと感じる。

Arlo QArlo Q 外出時や在室時といったステータスごとに「モード」を切り替えられる(画像=左)。GPSによる位置情報と連動させることも可能。動作や音声の検知、検知時に実行するアクション、通知方法をワンセットにして「モード」として保存しておける(画像=右)
Arlo QArlo Q こちらはSafieの設定画面(画像=左)。機能自体は同等なのだが、モードに相当する考え方がなく、機能を個別にオン・オフしなくてはいけない。Arlo QのiOSアプリ版は、Touch IDでのログインにも対応しているため手軽で、かつセキュリティも高い(画像=右)

 一方、Arlo Qでやや困りモノなのが、スマホで閲覧している最中にPCでページを開くと、先に開いていたスマホが強制ログアウトさせられるなど、同時ログインに対応しないことだ。確かにセキュリティは重要だが、ここまでされると利便性まで下がってしまう。この他、PCでのライブ映像視聴に、いまだにFlash Playerが必要なのもマイナスだ。

Arlo Q スマホアプリを開いている際に同一アカウントでPCからログインすると蹴り出される。ここまで厳格なセキュリティを求めないユーザーのために、オフにする機能もほしいところ

 またArlo Qは、動体検知や音声検知による自動録画、もしくはライブ映像の手動録画を最大5分にわたって行えるが、CVR(Continuous Video Recording)プランを契約して24時間分のデータをサーバに保存していても、そこから任意の範囲を切り取ってローカルに保存する機能がない。この辺り、実際に使っているとややもどかしい。

 その点、Safieが備えているムービークリップ機能では、タイムラインを見ながら任意の範囲を切り取ってローカルに保存できる。長さは1クリップ当たり15秒もしくは30秒に制限されており、かつトータル30分までしかサーバ上に置けないのだが、こちらであれば気になる部分だけを自由に残せる。この辺りは何を求めるかによっても評価が変わってきそうだ。

組み合わせによってはやや割高になる場合も?

 以上のように、クラウド録画対応のネットワークカメラとしては、どちらも一長一短というのが、しばらく試用した感想だ。両製品の利点を1つずつ挙げるならば、Arlo Qは無料プランで録画にまで対応すること、Safie CC-2は安定性の高さということになるだろうか。双方の良さを取り入れた製品が出てきてほしいというのがユーザーの願いだろう。

 最後に、ライブ映像だけでなく24時間分の映像を一定期間サーバに保存し、タイムラインで見られることを前提に、両製品の有料プランを契約した場合の月額料金を比較してみよう。どちらもカメラ1台での利用を前提に、ホームユーザー向けのプランでの比較となる。

 Safieについては、録画データの14日間保存プランの月額利用料が1650円(税別、以下同)となり、これでタイムラインの映像を14日分さかのぼって見られる。

 対するArlo Qは、無料のBasicプランに14日分保存のCVRオプション1190円を組み合わせると同等の機能で安く済む……と言いたいところだが、Basicプランは「7日分をクラウドに記録」であり、取扱説明書によるとCVRオプションが追加できるのは上位のPremierプラン(30日分保存)およびEliteプラン(60日分保存)のみとされている。

 そのため、仮にCVRオプションの追加を前提に、BasicプランをPremierプランにアップグレードした場合、CVRオプション1190円にPremierプラン1190円を追加した2380円が必要となり、Safieよりも高額になってしまう。14日分ではなく30日分の録画データ保存を前提にした場合、Safie(CC-2)は2000円、Arlo QはCVRオプション2290円にPremierプラン1190円を追加した3480円と、さらに価格差が開いてしまう。

 つまり24時間録画を前提とするならば、Safieの方がコストがかからない計算になる。従来のクラウド対応ネットワークカメラの運用費に比べると、どちらも段違いに安いのだが、ホームユースでは毎月数千円の費用は出せないケースも多いはずで、何を優先するべきなのか、導入前によく見極める必要はありそうだ。

Arlo Q 試しにBasicプランのままCVRオプションの追加契約を試みたところ、本来できないはずがなぜか契約できてしまった。この辺りもやや不明瞭だ
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