今回はファーストインプレッションということで、機能別の詳細なチェックまでは行えていないが、気づいた範囲でEcho Showと使い比べた結果をまとめておこう。
まずマイクの感度については、これはEcho Showの圧勝だ。Alexaデバイスには、ユーザーの声に近い位置にあるデバイスが応答するモードがあるが、本製品とEcho Showを真横に並べて正面から呼びかけると、返事を寄越すのは100パーセントEcho Showだ。Echo Showの方が、それだけユーザーの声をよく拾っていることになる。
スピーカーの性能も、Echo Showの方が上だ。タブレットとしてのスピーカー性能についてはFire HD 10も決して悪くはないのだが、さすがにパッシブラジエーターまで搭載したEcho Showとは勝負にならない。Fire HD 10はスピーカーが本体底面にあり、置き方によってはスピーカーの口を遮ってしまうのもマイナスだ。
筆者が普段利用するアラームや天気予報などの基本機能、音楽再生機能、スマートリモコンと連携しての家電操作といった機能面については、特に問題はなかった。ただ、多彩な機能を持つAlexaデバイスだけに、どうしても使えなくては困る機能については、本製品で使えるかどうか、事前に情報収集を行うことをお勧めする。
やや気になったのは、先にも述べたようにウェイクワードが「Alexa」「Amazon」の2択と少ないこと、ウェイクワードを省略して会話を続ける「会話継続モード」に対応しないことだ。すでにAlexa端末を使っていてさまざまなカスタマイズを行っている人は、不便に感じる場合もあるだろう。
以上、ざっと使ってみたが、実用性は非常に高い。これまで「Fire HD 10」といえば、解像度が高く価格もリーズナブルだが、Amazonのコンテンツ専用で用途は限られるイメージが強かったが、この機能があれば、据置型のスマートスピーカーがなくても、一通りの事は(マイクとスピーカーの性能はやや低めとはいえ)こなせてしまう。
現状、Windows 10向けにもAlexaアプリは配信されているが、対応機種は現時点NECのLAVIEシリーズの一部機種に限られるし、PCの場合は置き場所にも制約がある。それだけに、タブレットとして身近に置いておけるFire HD 10で、Echo Showと同等の使い勝手でAlexaが利用できるのは、独自の付加価値という意味でも大きな強みだ。
既存のEchoデバイスにはない大きな利点として、可搬性の高さが挙げられる。部屋から部屋へと移動させられるので、普段はリビングに置いておき、就寝時は枕元に置いて朝まで使うことができる。各部屋に1台ずつ、Echoデバイスを購入せずに済むのだ。
最も、自宅内の移動ならまだしも、旅行や出張などに持参し、宿泊先で利用するという使い方は、サイズが大きすぎてかさばるため向かない。Fireタブレット自体、GPSが搭載されないなど、移動中に使うことを想定したデバイスではなく、ラインアップもWi-Fiモデルしかないので、移動中はせいぜいオフラインコンテンツの再生くらいしか役に立たないのもマイナスだ。
ちなみに海外では、8型モデルの「Fire HD 8」もAlexaに対応しており、個人的にはこちらの方が、身の回りに置きやすいことに加え、画面サイズもEcho Showとの差別化はしやすいように思う。ぜひ早期に対応させてほしいものだ。
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