コラム
» 2019年04月21日 06時00分 公開

ITはみ出しコラム:AmazonとGoogleの動画サービス締め出し合戦が終結 そして新たな競争が始まる?

ユーザー不在の動画サービス締め出し合戦を続けてきたAmazonとGoogleが、ついに終戦宣言ともいえるプレスリリースを出しました。新たなライバル台頭の予兆もあり、ケンカどころじゃなくなったのかもしれません。

[佐藤由紀子,ITmedia]

 米Amazon.comと米Googleは4月18日(現地時間)、動画サービスの締め出し合戦をやめると発表しました。両社の動画サービスを両社のストリーミング端末でようやく相互に視聴できるようになる、ということです。

 まだ「向こう数カ月中」と言っているので気は抜けませんが、両社共同のプレスリリースを出したので、確定とみていいでしょう。

 これで、Googleの「YouTube」にある動画がAmazonの「Fire TV」で、Amazonの「プライム・ビデオ」にある動画がGoogleの「Chromecast」や「Android TV」で視聴できるようになります(ちなみに、BRAVIAなどのAndroid TVは「プライム・ビデオアプリ」でプライム・ビデオを視聴できましたが、ストリーミングはできませんでした)。

Amazon and Google Googleの「YouTube」にある動画がAmazonの「Fire TV」で、Amazonの「プライム・ビデオ」にある動画がGoogleの「Chromecast」や「Android TV」で視聴できるようになります

 この「はみ出しコラム」でも何度か話題にしてきましたが、長い道のりでした。いろんなことを商売にしている2社は、各市場でライバルです。

 締め出し合戦は、どちらが先に始めたと決めつけるのは難しいですが、Amazonが2015年に、「プライム・ビデオをサポートしていないから」とChromecast(とApple TV)をAmazonで販売しなくなったことがきっかけといえそうです。この確執でユーザーが最もダメージを受けたのは、2018年1月1日からFire TVでYouTubeが見られなくなったことでしょう。

 GoogleがYouTubeの引き上げを(メディアを通じて)発表した数日後、AmazonはChromecastの販売を再開して歩み寄りの姿勢を見せましたが、それから終戦の合意に達するまでに4カ月近くかかりました。

 プレスリリースには、両社の担当者がそれぞれのコメントを載せています。Google側の担当者は、YouTubeの製品パートナーシップ担当ディレクターという肩書のヘザー・リベラさんで、Amazon側はプライム・ビデオの配信・ビジネス開発担当責任者のアンドリュー・ベネットさん(肩書はいずれもLinkedInより)。2人とも、「お客さまにいろんな方法でうちの動画サービスを見てもらえるようになってうれしい」と言ってます。

Amazon and Google YouTube製品パートナーシップ担当ディレクターのヘザー・リベラさん(左)と、Amazonプライム・ビデオ配信・ビジネス開発担当責任者のアンドリュー・ベネットさん(右)。今回のプレスリリースにコメントを載せています(肩書はいずれもLinkedInより)

 ところで、この発表があったのは4月18日ですが、同じ日にGoogleとAmazonは、お互いには無関係そうだけど、ものすごく似た発表をそれぞれにしています。

 Googleは、スマートスピーカーの「Google Home」シリーズで「YouTube Music」を無料で聴けるようにするよ、と発表。

 Amazonは、スマートスピーカーの「Amazon Echo」シリーズで「Amazon Music」を無料で聴けるようにするよ、と発表(米国のみ)。

Amazon and Google 「Amazon Echo」シリーズで「Amazon Music」を無料で聴けるように、「Google Home」で「YouTube Music」を無料で聴けるようになりました

 偶然とは思えません。ここからは臆測ですが、今回の冷戦終結の大きな理由は、他の競合に対する両社の危機感が一致したからかもしれません。YouTubeのリベラさんとAmazonのベネットさん、「Appleが5月にApple TV channelsを立ち上げるし、Disney+も来るし、うちらがケンカしている場合じゃなくね?」ということになったんじゃないでしょうか。

 そして、ベネットさんが「そういえばうち、AlexaでApple Musicを聴けるようにしちゃったんだよね」と言ったりして、リベラさんも「スマスピを使ってもらうにはいろんなサードパーティーのサービスを使えるようにしたいけど、それで競合するうちのサービスが圧迫されるのはなんだかねー」ということになり、「やっぱり自分のとこのサービスを使ってもらって、あわよくば有料会員に移行してもらいたいよねー」なんて話になって、それぞれが無料版を用意して「せーの」で発表したんじゃないかな、などと想像します。

 さらに、Alexaの「ミュージック」のメインサービスとしてYouTube MusicあるいはGoogle Play Musicを選んだり、Googleアシスタントの「音楽」のデフォルトを「Amazon Prime Music」にしたりできるともっと便利かなと思いますが、今のところ、そこまではいっていません。

 久しぶりにGoogleアシスタントに「Alexaって知ってる?」と聞いてみたところ、以前は「私では力不足だったでしょうか」などとちょっといじけた返事をしていたのが、今日は何度聞いても「一度会ってみたいです! お天気の話とかで盛り上がりそうです!」とか「すてきな声ですよね」とか「私はAlexaのクールなブルーライトが好きです」とか「Alexaの歌はすばらしいですよね。いつかデュエットができるといいなと思います」とか、好意的なコメントしか言いませんでした。

 Alexaは相変わらず「うわさを聞いたことはあります」とクールなお返事だけでした。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

この記事が気に入ったら
ITmedia PC USER に「いいね!」しよう