ただし例外的に、その他やむを得ない事情で、閉店にあたって格安で処分される商品は存在する。
一つは、もともと量販店がチラシ商材として特売に使うことを前提に、返品不可という条件で格安で仕入れた商品だ。こうした品は、量販店としてもさすがに返品を言い出しにくいし、そもそも好条件で仕入れているため、補填なしでも閉店セール向けの商材となり得る。量販店の側としても無理に返品する必要がない。
もう一つは、既にそのメーカーとの取引口座がないか、あっても日常の取引が少ない場合だ。量販店とメーカーがけんか別れしたケースの他、量販店側が無理をいって仕入れたために返品を申し出るのがためらわれるケースもある。一般的にメーカーは量販店に対して弱い立場にいるが、取引の継続を考慮しないならば話は別だ。こうした商品は、量販店が自腹を切って特価処分することになる。
また、店頭に陳列されていたデモ機は、閉店時に特価処分の対象になりやすい。これらはメーカーが棚卸外で専用のサンプルを用意していることもあれば、在庫を開封してデモ機として使用している場合もあり、前者の場合はメーカーが回収するが、後者の場合は新品再生が不可能なため、補填を入れて店頭で処分する流れになる。
もっとも、こうした品は実際で店頭で使われていただけに、ユーザーからするとかなりの地雷だ。例えばノートPCであれば、キーボードやディスプレイは店頭での使用がたたって劣化している可能性が高いし、また正常なプロセスに従わないシャットダウンなどで、ドライブに致命的な傷を負っている可能性もある。
また何よりも肝心の店舗が閉店しており、修理なり返品を申し出ようにも窓口がなくなっているという問題もある。たとえチェーン店であってもたらい回しされることは避けられず、メーカーに直接持ち込もうにも、特殊なプロセスを経て販売されただけに、通常と同じサポートが受けられる保証はない。外観展示だけで電源が投入されていないならばともかく、基本的には手を出すべきではないだろう。
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