PC界の“ワークマン”GPD MicroPCの「立って使う幸せ」を考察する立ち姿勢で使えるPC(1/2 ページ)

» 2019年09月13日 12時20分 公開
[長浜和也ITmedia]

 超小型PCを展開する中国のPCベンダー GPD Technologyのラインアップでひときわユニークなのが「GPD MicroPC」だ。2018年12月からクラウンドファンディングで出資者を募り、すでに店頭でも販売されている。

本当のワークマシンは「親指で使いやすい」

 GPD MicroPCにおいて、それは「立って使うためのPC」といえる。このPCは机の上において両手打ちをする省スペースなノートPCではない。何らかの理由によって立ったまま、もしくは机がない状況における作業で使用する“端末”として使うことを想定した特定の用途に適したPCワークマシンだ(GPD Technologyも「産業用小型PC」と呼んでいる)。

GPD MicroPC 6型の超小型PC「GPD MicroPC」

 そして、ボディーを両手で持ち、親指だけでキーボードをタイプし、ポインティングデバイスを操作しクリックする、こういった一連の動作を無理なく扱えるという意味で、GPD MicroPCの153(幅)×113(奥行き)×23.5(厚さ)mmというボディーサイズと、約440gの重量、そしてキーボードとポインティングデバイスの配置は高く評価できる。

GPD MicroPC キーピッチは実測値で横が約11mm、縦が約10.5mmで、バックライト機能も備える

 両手の親指で操作する場合、重要になるのが本体の幅と重量だ。本体の重量は実測で約440グラムと両手で持って何ら苦もなく手の動きを阻害するものではない。重量に関しては他にコメントすることがないほどに良好だ。

 一方、本体の幅については、ボディーの左右側面を両手で抱えた状態で、両手の親指が全てのキートップとポインティングデバイスのタップ領域、クリックボタンに届くサイズでなければならない。手のサイズには個人差があるため、ここでは評価者の身長172センチ男性の例ではあるが、親指がカバーできる制御圏は人差し指の付け根から親指の“腹”までの距離、実測で約95mmとなる。

 ただし、PC本体の幅は190mmまでなら親指だけで操作できるのかというとそういうことでもない。キーボード上段/下段をタイプすると親指が斜めに向くため、その分の余裕が必要になる。また、(これは評価者のクセなのかもしれないが)キーボード運指の関係で利き手である右手親指が左側のキーをタイプする機会が意外と多い。

 そういう意味でも153mmの本体幅は、全てのキートップとポインティングデバイスとして右上に配置された、実測で31(縦)×47(横)mmのタッチパッド、左上に並ぶ左右のクリックボタンを、親指だけの操作で無理なく可能にしている。

GPD MicroPC 両手持ちの親指操作でも、無理のない動きで扱える

 評価作業は約2週間にわたったが、キーボードとタッチパッド、そして、クリックボタンのレイアウトで指の動きに無理を感じることはなかった。キーピッチは実測で約11mmだが、親指によるタイプには全く問題ない。物理QWERTYキーを搭載したスマートフォンでの経験上、これより小さくてもタイプに問題があったことはなく、逆に中途半端に大きいと運指に無理が生じることがあったぐらいだ。

GPD MicroPC クリックボタンとタッチパッドの配置も良好で、まさに両手持ちデバイスにふさわしい

 キートップの刻印も(ASCII配列の英語キーボードということもあるが)アルファベットが大きなサイズでドンッと記されているため視認性はよく、Fnキーとの組み合わせで有効になる機能(ファンクションキーやPage Down、Page Up、画面輝度の変更、そして、「’」「”」の入力)に関する刻印も黄色で見やすい。

 なお、使用頻度がそこそこ高い「”」がFnキーとの組み合わせが必要ということで、文章入力中にストレスを感じるかと思ったが、Fnキーが親指で押しやすい位置にあることと、ASCII配列ながら「”」がシフトキーを押さずに入力できることもあって、こちらも問題なくタイプできた。

 1つだけ難点と感じたのが、日本語入力ソフトの切り替えだ。ASCII配列であるため、JIS配列で用意している「半角/全角」や「変換」などの専用キーはなく、「Alt」+「〜」キーの組み合わせで日本語入力ソフトを立ち上げなければならない。

 しかし、本機のキーボードでは「右Alt」キーがないので「左Alt」キーと「〜」キーを左親指だけで同時押ししなければならない……、ということはできないので、右親指を“ぐにょーん”と伸ばして左Altキーを押すことになる。この操作、できなくもないが、右手がちょっと持ち替えに近い動きになる(本体右側の支えを右手人差し指から右手中指に変える)なるので、ちょっと手間だ。

 しかし、キーボードで不満に感じたのはこれだけ。タイプしたキーはぐらつくことなく、押した指の力はたわむことなく支えてくれる。キートップを“柔らかく”触ると周囲のキートップも巻き込んでゆらゆらと揺れることと、キートップを押すのに必要な力が少々強いせいで、親指タイプのキーボードに慣れていないユーザーはストレスを覚えるかもしれないが、これはNokiaやBlackBerryなど物理QWERTYキーを搭載したハンディーデバイス共通の傾向なのでやむを得なし、というところではある。

 ただ、NokiaやBlackBerryのキーボードと比べて(キートップのサイズが大きいためか)それほど固くはなく格段にタイプやしやすい。

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