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Surface Pro XとSurface Laptop 3にみる、MicrosoftがSnapdragonとAMDプロセッサを採用した理由Windowsフロントライン(2/3 ページ)

» 2019年10月08日 12時00分 公開

未来に必要なパワーをGPUに

 一般に、SoCやプロセッサの顧客ごとのカスタマイズはコストを伴い、盛り込んだ機能によってはダイサイズを拡大させるため、さらにコストを押し上げる。それでも今回MicrosoftはRyzenとSQ1でカスタマイズを実施したわけだが、その多くはGPUの強化に割り当てられている。

 SQ1のプロセッサ部であるKryoは、8cxの2.84GHzから3GHz超までクロック周波数を引き上げられているが、両誌のインタビューではGPUはそれ以上に強化されていることが示唆されている。

 Ryzenの場合は、同クラスのTDPの製品と比較して特に強力なGPU機能が利用できることをセールスポイントにしており、SQ1については元々Snapdragonシリーズで弱かった(とMicrosoftが認識している)GPUを大幅に強化している。「多少電力消費を犠牲にしてもいいので、より高いパフォーマンスがほしい」というのが開発チームの要望であり、PC向けにカスタマイズした8cxでも不足だったものをSQ1で強化させたことになる。

2018年12月のQualcomm Snapdragon Tech Summitで発表された「Snapdragon 8cx」

 ただ、問題となるのはGPUの強化で何をするかだ。The Vergeもインタビュー中で指摘しているように、OpenGLなどのサポートもない上、ARM64向けにアプリを“リビルド”する必要があり、そもそもWindows on Snapdragonは現状のゲームプラットフォームには不向きだ。

 それはおそらくSQ1でも変わらない。では、GPU強化で何をするのかといえば、例えばUSB Type-Cポートを通じて複数の4Kディスプレイに画面表示を行うといった、今日のPCが実現している「ごく自然なタスク」を実現することにある。

 もちろん既存のGPUをフル活用するアプリがARM64向けにリリースされる可能性もあるが(Adobeなど)、「Armだから」という言い訳ではなく、既存のIntelやAMDプロセッサクラスの性能を可搬性に優れた2in1 PCでも実現したいというのが開発チームの考えなのだろう。また、GPUが必要なのはゲームだけではない。ダブルリ氏の次のコメントは、そうしたPCコンピューティングの先を見据えた発言といえる。

「世間が伝統的なアプリケーションの世界から、多くのスクリプトで記述されたアプリケーションやWebエンジンへと移りゆく中で、WebレンダリングのワークロードがGPU機能を著しく消費することをわれわれは発見した。今日見られないようなアプリやサービスのような……未来のワークロードを実現するデバイスとして、Surface Pro Xを設計している」(Davuluri氏)

 前回のレポート中でも少し触れたが、Surface開発チームは「市場でどのような製品が受け入れられるのか」というよりも、「自分が使いたい製品」あるいは「将来的に重要となるコンセプトを実現するための先駆者となるもの」を主眼に製品開発を行っていると筆者は考えている。

 わざわざ高コストになるカスタマイズの道を選んでまでも製品作りを続けるのは、「コンセプト実現が最優先」という意図があってこそのものだと思う。同時に、これはOSやソフトウェアを含めてコンセプトをスクラッチから実現できるMicrosoftという企業だからこそのものでもあるが、今回のSurface製品群はそれが如実に表れたものではないだろうか。

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